■文・写真/杉山 慧
(※姉妹サイト Webカメラマンより)
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根室本線(石勝線)トマム~新得
日高山脈を越える狩勝越えは、長いアプローチで十勝平野と峠を結んでいる。麓の新得駅を出た列車に乗れば、右に左に進路を振りながら勾配を駆け上がり、気がつくと先ほどまで走っていた街並みが遙か眼下に見えている。
作例は狩勝越えを行く特急「スーパーおおぞら」。途中にある信号場での行き違いの有無で所要時間は異なるが、新得駅を出た列車は10分強でここまで到達する。列車により両数が異なるので、編成は時刻表などで確認したい。背後のカラマツは10月下旬に紅葉する。
新得駅付近から道道136号を西へ進み、畜産試験場の前を右折する。その後は2つ目の十字路を左折。ここから未舗装の道となる。しばらく道なりに進むが、2度目に線路をくぐる手前で動物避けのゲートがあるので、開けて入る。線路をくぐると勾配が急になり、右カーブを曲がりきった先で右に向かう道があるのでそこを入る。その先の道路の終点部分が撮影地で、南側の斜面が開け線路を見下ろせる。なおこの場所は増田山と呼ばれている。
室蘭本線 有珠~長和
砂浜に躍り出る室蘭本線を狙う撮影地である。作例はキハ40系の普通列車。豊浦や洞爺以東は普通列車の本数も増え、狙いやすい。日高色のキハ40系もこうして頻繁に運行されている。
撮影地はエントモ岬へ向かう道の途中。国道37号を走り、左カーブの途中にある交差点を右折。この道に入って300m程でT字路が2つ連続する交差点がある。車を付近に止めたら、この奥のT字路を右折する。
しばらくは整備された道が続くが、左手の畑が切れたところから、植物を掻き分けて進む。足元の砂利は見えているので、道を間違えることはないだろう。右手に線路が見える、開けた辺り一帯が撮影地だ。作例では手前の樹木を交わすため、道から少し逸れて撮影している。
室蘭本線 大岸~豊浦
室蘭本線は、崖が海に沈み込む厳しい地形を多くのトンネルでクリアしていく。そうした室蘭本線らしい景色を気軽に撮れるのが豊浦海浜公園だ。
作例はキハ261系の特急「スーパー北斗」。崖の色や列車の色は明るいので、逆光に浮かび上がった。順光で撮影したいなら昼前後が良い。立ち位置から線路までは遠く、列車の音が聞こえないため、いつでもシャッターを押せるように集中しよう。
付近はキャンプ場になっており、海に沿って遊歩道が作られている。撮影場所はとても広いので、大人数でも撮影が可能である。車は公園の駐車場に止めよう。
撮影・解説:杉山慧
1992年11月、静岡県出身。幼少期より鉄道に興味を持ち、日本大学芸術学部写真学科卒業後、ネコ・パブリッシングに入社し月刊誌[レイル・マガジン]の編集に携わる。2017年3月、鉄道写真事務所レイルマンフォトオフィスに入社。2018年12月レイルマンフォトオフィスを退社し、フリーの鉄道写真家として独立。独立後は月刊誌[鉄道ジャーナル]での写真撮影や原稿執筆のほか、レンズメーカー「タムロン」主催するに「タムロン鉄道風景Instagramコンテスト 2019」で審査員を務めた。