1985年当時、人気を誇っていたモデルを試乗テスターたちが熱く語ります! 当時の車両を分析する視点、熱量、生々しいコメントをお楽しみください。本来は限定記事なのですが、「前編」は無料公開!

SUZUKI GT380

「サンパチ!」アニキたちは親しげに呼んでいた。

画像: 「サンパチ!」アニキたちは親しげに呼んでいた。

空冷2ストローク3気筒4本マフラー

ラムエアーシステム+SRIS

最高速度 156.52km/h
ゼロヨン 14.89秒
(本誌 FISCO計測)

エピソード

●マカオGPで走ったんだぜ?

荘 利光(国際A級ライダー)
SRTアパッチ社長。
TVの解説も堂にいっている。

サンパチかあ......ありゃいいマシンだったよ。

オレがスズキのワークスライダーだった時にさ、マカオグランプリのノーマルレースにサンパチで出たんだもちろんまるっきりノーマルだよ。

今のNPⅡほどの改造もできなかったんだ。

で、マカオGPは公道でやるんだよ。

オレは公道が大得意だからさ、いきなりポールポジションだぜ!でも決勝スタートの時に後ろのマシンにぶつけられてブレーキペダルが折れちゃったんだ。

もちろんそれでも走ったぜ。

バンク角がすっごく浅くてさ、コーナー入るとマフラーやステップがガリガリ。

そのうちマフラーは穴が開くし、ステップは削れて無くなっちゃうしで、ホント、まいったね。

それでもしっかり9位に入ったよ。

エンジンは軽く吹けてよく回ったし、操安性がすなおですごく良かった。

全体にバランスがとれてんだよな。

エンジンの幅が広くてステップがさらにその外にあるからポジションはガニ股でカッコ悪かったなあ。

大柄だし、乗り心地もソフトでツーリング向きだったね。

あと、ブレーキがダメ。

最初のドラムタイプは、ぜんぜん止まんないし、ディスクになってもたいしたことなかった。

当時としちゃマシな方だったけどな。

マッハなんかに較べて全体にしっかりした造りで安心して乗れたよ。

トラブルも少なかったし...。

ただ、点火が3ポイント式なんで狂うと大変だった。

何しろ「サンパチ」って言うとスムーズでバランスのとれたマシンってのが頭に浮かぶね。

今乗ってもそれほど不満は出ないんじゃないかな。

こんな車だった!

●4本マフラー

2サイクル3気筒のカワサキSSシリーズ、4サイクル4気筒のホンダCB-FOURシリーズと、マルチシリンダーが全盛となった71~72年にデビューしたのが先発のGT750と同じく2サイクル3気筒エンジンを持つGT380。

54mmx54mmとスクエアなボア×ストロークは1気筒あたり約124ccで、実際の排気量は371cc。

だが大型車指向の当時は380とネーミングされた。愛称は“サンパチ”。

このマシンの特徴となるメカニズムは「ラムエアー・システム」と呼ばれるシリンダーまわりの冷却方法。

ヘッドフィンにカバーを設けることで発生する負圧を利用し、シリンダーフィン間の熱い空気を吸い出すというものだ。

これによってシリンダーヘッド温度は約8度Cほど下がったという。

また、クランクケース内にたまった潤滑油をシリンダーに送ってオイル消費量と排気煙を少なくするSRIS(スズキ・リサイクル・インダクション・システム)も採用している。

マシンは大柄で、当時の500ccクラスのサイズ。

3気筒ながら見かけのバランスをとり、より重厚に見せるため中央シリンダーのマフラーを途中から2本に分け、4本マフラーとしている。

操縦性は当時絶賛された軽快で安定性の高いもの。

スムースに吹け上がる3気筒エンジンの特性とマッチして大人気を博した。

ただ、ステップやマフラーの位置が低く、バンク角が著るしく少なかったため、ちょっとしたコーナーでも火花を散らし、左右のマフラーには、すぐに「穴」があいた。

当初はフロントドラムブレーキだったが、すぐに油圧ディスク化され、その後デジタルのギヤポジション・インジケータなど、進んだメカを採用、人気を保っていたが、アメリカでの排ガス規制で、4ストロークのGS400にバトンタッチすることを余議なくされ、79年に姿を消した。

最近のレーサーレプレカの200キロの数字と比較はできないが、ゼロヨンタイムは当時としては凄いデーターだ。計測はFISCO。

本誌77年5月号400ccフルテスト・データー集
スズキGT380(B6)
最高速156.5km/h ゼロヨン14.89秒
スズキGS400最高速158.8km/h ゼロヨン15.36秒
ホンダCB400(F1)
最高速162.5km/h ゼロヨン15.16秒
ヤマハRD400最高速159.3km/h ゼロヨン14.44秒
カワサキKH400最高速157.2km/h ゼロヨン15.03秒

画像: ●4本マフラー

最も初期型のGT380。

ドラムブレーキとタンクの形状でそれとわかる。

72年4月ディスクブレーキとなり、GT380Bとなる。

●中古車が欲しい!

中古車市場にはほとんど出廻らない。

入荷しても右から左の状況だ。

タマが極度に少ないため、マニアの間で売られる場合が多い。

本誌売買ニュースにも月に1台ぐらいの絶版希少車!

誰かのうちに眠ってませ んか?価格は程度によるが検無しで10~30万の間。

SUZUKI GT380主要諸元
●空冷2ストローク・ピストンバルブ3気筒
●371cc●38PS/7500rpm
●3.8kg-m/6500rpm
●183kg
●71年12月
■24万5000円(初期型)

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