今週末は、いよいよMotoGP第2戦・アルゼンチングランプリ。待ちに待った開幕戦から中2週間、その間にWSBKがあったとはいえ、長く感じましたねぇ。

画像: 2019開幕戦、レースはドビツィオーゾvsマルケスの超接近戦! 最高に面白かった!

2019開幕戦、レースはドビツィオーゾvsマルケスの超接近戦! 最高に面白かった!

長く感じたひとつの理由は、ドゥカティへのホンダ、スズキ、KTM、アプリリアによる抗議でした。これは、開幕戦に出場したドゥカティMotoGPマシン、デスモセディチGPの、スイングアーム付近に取りつけられているフラップのようなパーツ(通称:スプーン 写真下)。これが「可動部に取りつけられている空力パーツだ」としてレギュレーション違反ではないか、と抗議が出されていたのでした。

画像: これが問題となった「スプーン」です 空力パーツなのかなぁ、「すごくスリップにつきにくかった」って証言しているライダーもいました

これが問題となった「スプーン」です 空力パーツなのかなぁ、「すごくスリップにつきにくかった」って証言しているライダーもいました

この抗議、一度はMotoGP/FIMのルール制定委員会で却下されていたんですが、それを不服として控訴され、国際スポーツ裁定書で再審されていたんですね。なんか、抗議とか控訴とかモノモノしいですが、要は学級委員長に言いつけてもわかってくれなかったから、先生にも言ってみた、って感じでしょうか。そうしたら先生が「じゃぁアルゼンチンGPが始まる前にどうなったか発表します」となったわけ。

結果、ドゥカティ・フラップはおとがめなし、ということになりました。MotoGPマシンは、ルール上、可動部に空力パーツを取り付けてはならない、と規定されています。可動部、というのはサスペンション下、つまりスイングアーム、リアホイールまわり、フロントフォークのボトムケース、フロントフェンダー、フロントホイールまわり。さらに取り外し可能なカウルにも適用されます。

可動部にパーツが取りついていること自体は問題ありません。これは、カウルにつけられているウィングの例でもわかるように、シーズン前の車両公認申請の時、ルール内であればOK。事実、ヤマハは昨年ウェットレースの時に、スイングアームの、ドゥカティの例の「スプーン」と同じような位置に、ディフューザーを取り付けていましたね。
これは、ウェットレースの時に雨しぶきが直接リアタイヤにかからないようにするフラップで、雨のレースの時にアンダーカウル後端に取り付けようとしたら、マシン認定時に取りつけた状態で申請していないことで「付加(=取り付け)」とみなされて却下、仕方なくスイングアームのあのへんにつけた、という経緯があったのです。取り付け状態で申請していたら、ドライレースの時に「取り外し」しているからOK、というルールなんだそうです。取り付けはダメ、取り外しはOKなんですね。なんだそれ(笑)。ヤマハのレインタイヤ用フラップについては、雨の日のみに取りつけるから、空力パーツではないからOK、となったのでしょう。

いずれにせよ、これでデスモセディチのスプーンは認定が下りたことになります。ドゥカティの主張では、あのスプーンはリアタイヤの冷却用ダクトの一種で、空力パーツではない、と。これも抗議が無効になったことで、今後も堂々と装着できる、と。今後、ホンダやスズキ、アプリリアやKTMのマシンにスプーンが装着されてきたら、空力的に効果がある、ということになりますね。
もちろん、抗議却下の内容には「まぁ今回はエエけど、ちょっと紛らわしいから今後は大っぴらに使わないようにね」なんて内容はありませんし、ドゥカティ側も「OKは出たけどちょっとギリだから今後は使うのやめとこう」とはなりませんから、今後も堂々とスプーンを使ってくるでしょう。そんなに甘くないからね。

マシン開発というのは、ルール以内なら何やってもOK。けれど、ルールに明記されていないようなスキマをつくかどうか――それが今回の騒動の発端なのだと思います。ドゥカティにすれば、あれは「可動部に取り付けてはいるけど、タイヤ冷却用ダクトだ」ということだし、「可動部に冷却用ダクトを取りつけてはならない」ってルールブックに書いていないだろう?と。
けれど、抗議した方にすれば「そう言うたってエアロダイナミクスもあるやん!ゼロじゃないやん!」と。そこが「解釈の違い」なんですね。いずれにしても、見る側、レースファンからしてみたら、勝利への執念なのか、ルールの間隙を突いたズルすれすれなのか、その境界線が揺らがないように願うばかりですね。このままじゃ例えば「ターボチャージは禁止されててもジェット噴射禁止とは書いてないだろ」なんて解釈だって成り立っちゃうからね。

これで、開幕戦カタールGPの結果も「暫定」から「正式」となりました。もちろん、チーム間ではちょっとぎくしゃくしてるだろうけれど、ライダー間にわだかまりなどなく、スッキリと第2戦が行われます。去年のアルゼンチンGPといえば、

こんな感じで、まぁ近来まれに見るハプニングだらけのレースとなりました。
ウェットからハーフウェットの予選で、スリックタイヤのジャック・ミラーが、ハーフウェットでがんがんマシンを振り回してポールポジションを獲得。
決勝レースでも、ミラー以外はサイティングラップ後にウェットタイヤからスリックタイヤに交換したことでグリッドを降格され、そのグリッドではマルク・マルケスはエンスト→グリッドで押し掛けエンジン始動→グリッド逆走でスタート→ライドスルーペナルティからガンガン追い上げて、最後はバレンティーノ・ロッシを弾き飛ばして転倒させて終了!と。

画像: 2018年のアルゼンチンGPスタート ポールポジションとそれ以下に3列分w 写真でも、マルケスがエンストして推し掛け始めているのがわかりますw

2018年のアルゼンチンGPスタート ポールポジションとそれ以下に3列分w 写真でも、マルケスがエンストして推し掛け始めているのがわかりますw

画像: 問題のシーン マルケスがロッシに接触(っていうか衝突) 濡れている芝生エリアに押し出してしまいました

問題のシーン マルケスがロッシに接触(っていうか衝突) 濡れている芝生エリアに押し出してしまいました

毎年のように天候不順に悩まされるアルゼンチンGP。今年の天気はどうでしょう。そうそう、気になる時差ですが、日本とアルゼンチンはちょうど12時間差! つまり現地時刻お昼の2時にスタートするMotoGPは、日本時間の深夜2時に行なわれます!

■3/29 金曜
21:00~ Moto3 FP1/21:55~ Moto2 FP1/22:50~ MotoGP FP1
01:15~ Moto3 FP2/02:10~ Moto2 FP2/03:05~MotoGP FP2
■3/30 土曜
21:00~ Moto3 FP3/21:55~ Moto2 FP3/22:50~ MotoGP FP3
00:35~ Moto3 Q1→Q2/01:30~ Moto2 Q1→Q2/02:25~MotoGP FP4
03:05~MotoGP Q1→Q2
■3/31 日曜
21:40~ Moto3 WUP/22:10~ Moto2 WUP/22:40~ MotoGP WUP
00:00~Moto3決勝/01:20~Moto2決勝/03:00~MotoGP決勝

大事だからもう1回言いますね。アルゼンチンの時差は12時間! 日本のま反対です!

写真/motogp.com MICHELIN 文責/中村浩史

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