ドゥカティ、ホンダのファクトリーチームに続き、2019年のMotoGP初テストを前に、ヤマハのサテライトチームが2019年シーズンへの新体制発表会を行ないました。ヤマハのサテライトチームといえば、この20年ずっと「テック3」が運営していたんですが、テック3は2019年、KTMのサテライトチーム運営をすることになり、2018年シーズンまでのMoto2/Moto3を運営していた「SICレーシングチーム」(=セパン・インターナショナル・サーキット レーシングチーム)がMotoGPクラスにも乗り出した、というわけです。

画像: 発表されたのはカラーリング参考図、みたいな感じでしょう 2019モデルは、開幕までわからないもんです

発表されたのはカラーリング参考図、みたいな感じでしょう 2019モデルは、開幕までわからないもんです

SIC RTは、ご存知Moto3クラスで、日本の佐々木歩夢(18)が所属しているチームで、これが2018年夏にチーム名を改称して「ペトロナス スプリンタ・レーシング」と名乗り、2019年は「ペトロナス・ヤマハ・セパン・レーシング・チーム」つまりペトロナスSRT、というわけです。ペトロナスはもちろん、マレーシアの国営鉱業企業で、マレーシアに行くとあちこちで見かけるガソリンスタンドを運営していたり、天然ガス輸出メーカーだったり、という巨大企業です。古くはケニー・ロバーツのチームKRを持っていたことがあったし、カール・フォガティとWSBK戦ってたこともあった。調べてみたら日本にも液化天然ガスを輸出してくれているんですね。スペンインにREPSOL、日本にIDEMITSU、そしてマレーシアにPetronas、ってとこでしょうか。
つまり、そのMoto2/Moto3チームがMotoGPクラスにも乗り出して全クラスで戦うことになります。マシンはヤマハYZR-M1で、ライダーは2018年にMotoGPクラスにステップアップした2018年のルーキー・オブ・ザ・イヤーであり、2017年Moto2チャンピオン、フランコ・モルビデリ(24・イタリア)と、チームメイトは2019年にMotoGPにステップアップしてきた、スペインの「神の子」こと、ファビオ・クアルタラーロ(19・フランス)。ライダー2人の年齢を足した数としては、MotoGPチームで一番若い! 2番目はスズキファクトリーのアレックス・リンスとジョアン・ミルです。
ちなみにフランス人のファビオ、これまでカタカナで表記しにくい名前で、TVでも「クワッタハッホ」って言われていましたけど、今シーズンからはヤマハのカタカナリリースにも載るわけで、「ファビオ・クアルタラロ」と表記されていますから、本誌もそれに倣いますね。バイク芸人、福田ちゃんも、レギュラーラジオ番組「キョートリアル」(KBS京都)でボヤいてたもんね。

画像: 左がファビオ、右はフランコです ライバルチームはLCRホンダとプラマック・ドゥカティ!

左がファビオ、右はフランコです ライバルチームはLCRホンダとプラマック・ドゥカティ!

18年の日本GPの時に、フランス人のジャーナリストに名前の発音、聞いてみたんですけど、これがまずますもってワケわからんw 
--ファビオのファミリーネーム、なんて発音したらいいの?
「クワァタアーオだよ」
--なんて? クワタハーオ?
「クワァタアオね」
--クァーターオ?
「……ファビオにしとけば?」
2019年からはファビオ・クアルタラロで統一されそうです。
ペトロナスSRTは、マレーシア初のMotoGPチームになります。マシンはヤマハYZR-M1で、ヤマハはこれまで、サテライトチームには型落ちのマシンを供給するのが決まりだったんですが、2019年はモルビデリに2019年型(つまりファクトリーチームのバレンティーノ・ロッシ/マーベリック・ビニャーレスと同じ)マシン、クアルタラロに2018年型マシンを供給するようです。まずは2月6日から始まるセパンテスト、期待して見てみましょう!

画像: 左が佐々木歩夢、右ジョン・マクフィ マクフィ、2018年は真っ白なマシンで走ってましたね

左が佐々木歩夢、右ジョン・マクフィ マクフィ、2018年は真っ白なマシンで走ってましたね

Moto2クラスは、2018年にIDEMITSUホンダTeamアジアで長島哲太とチームメイトだったカイル・イダム・パウィ、そしてMoto3クラスは、引き続き佐々木歩夢と、ジョン・マクフィがエントリー。マクフィはブリティッシュ・タレントカップのチャンピオンですから、アジアタレントカップチャンピオンの歩夢と「タレントカップ」つながりコンビですね。
今、おそらく佐々木はHRCとライダー契約を結んでいますが、ここで実績を出していけば、自チームにMotoGPマシンがあるわけですから、MotoGPにステップアップすることだって充分に考えられるわけです。
まずは2019年、Moto3のチャンピオンになるとか、それに相当する成績を出してMoto2に、それから最短で2021年にMotoGP、もしくはジャック・ミラーみたいに飛び級して2020年にもMotoGP!とかね。そんな夢だって膨らみます♪

画像: 佐々木、18歳 初めてインタビューしたのは…14歳?15歳?オトナになりました!

佐々木、18歳 初めてインタビューしたのは…14歳?15歳?オトナになりました!

「チームの5人が揃って、すごくエキサイトしています。バイクもカッコいいし、コースでもどうなのか、早く見てみたい!もう3か月も乗ってないから、早くマシンに乗ってテストを始めて、バイクのこと理解したい。今シーズンの目標は高いところです。マクフィーは最高のチームメイト。ふたりで表彰台目指します!」と佐々木。

この2シーズン、ヤマハはマシンが上手く仕上がらなくて苦戦していました。苦戦しての3年目……巻き返さないと、って燃えているでしょう。その意味で、モルビデリとクアルタラロの走り、楽しみですね。Moto3の歩夢の走りとともに、2019年、注目のチームがひとつ増えましたね♪

文責/中村浩史

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