新春イッパツ目のアップがMotoGPだったので、今度はスーパーバイク!
ご存知のように、世界のオートバイレースの2つの最高峰といえば、MotoGPとワールドスーパーバイク(=WSBK)です。MotoGPがエンジン、フレームともオリジナル製作OK(これをプロトタイプっていいます)なのに対して、WSBKは1000ccクラスの市販車をベースに改造範囲を厳しく規制された市販車ベースのレース。
ホンダはCBR1000RR-SP、ヤマハはYZF-R1、スズキはGSX-R1000R、カワサキはNinjaZX-10RRがベースとなりますね。外国車では、ドゥカティがパニガーレ、BMWがS1000RR、アプリリアがRSV4-RF、そしてMVアグスタが1000F4と、世界8大スポーツバイクメーカーが最強決定戦を行うのがWSBKというわけです。スズキはこの数シーズン、参戦チームがありませんね。残念ッ!
このWSBK、この5年はカワサキvsドゥカティの一騎打ちといっていい状態が続いています。ここ10年のライダータイトルを並べてみると
2018 ①カワサキ ②ドゥカティ ③ヤマハ
2017 ①カワサキ ②ドゥカティ ③カワサキ
2016 ①カワサキ ②カワサキ ③ドゥカティ
2015 ①カワサキ ②ドゥカティ ③カワサキ
2014 ①アプリリア ②カワサキ ③ホンダ
2013 ①カワサキ ②アプリリア ③アプリリア
2012 ①アプリリア ②カワサキ ③BMW
2011 ①ドゥカティ ②ヤマハ ③アプリリア
2010 ①アプリリア ②スズキ ③ドゥカティ
2009 ①ヤマハ ②ドゥカティ ③ドゥカティ
ちなみに09年ヤマハ最後のタイトルはベン・スピーズ、10年ランキング2位のスズキはレオン・ハスラム、12年のBMWはマルコ・メランドリです。
ちょっと色分けして見てみるとよくわかるんですが、ちょっと着色が下手ですいません。
ドゥカティが勝てずに、カワサキ躍進、アプリリア失速
11年にサイクスを獲得したカワサキが12年から上位に顔を出してきて、2015年から4連覇。これは15年にホンダからジョナサン・レイが移籍してきて、そのまま4連覇、ってことになっています。アプリリアは表の前半では強豪であり、2014年にはシルバン・ギュントーリがチャンピオンになりますが、2015年以降は今ひとつ。そしてドゥカティは2011年にチャンピオン、その後3シーズン、ちょっとイケてない時期がありましたが、2015年から再び上位に顔を出すものの、レイの前に敗れ続けている、って感じでしょうか。かつてはスーパーバイクキングの名をほしいままにしていたドゥカティが、もう7年もチャンピオンを獲り逃しているのです。
2019年は、ここに注目! というのも、ドゥカティは2019年からマシンを刷新。それがブランニューモデル・パニガーレV4Rで、なりふり構わず「MotoGPマシンレプリカ」を投入してきた、って感じでしょうか。ライダーには、これもMotoGPからスイッチしてきたアルバロ・バウティスタを起用して、ライダーもマシンもヤル気マンマン。4連覇中のWSBKキング、レイにMotoGPライダーが挑むって、ちょっとコレ面白そうですね。
BMWも再挑戦!の2019年
ニューマシンといえば、BMWもWSBK再挑戦のシーズンです。というのもBMWは、S1000RRをデビューさせた2009年にワークスチームとしてWSBKに新規参戦……したものの、期待通りの成果が得られずに撤退してしまった、って経緯があるんです。それだけに、5年のブランクを経て捲土重来を期している、というわけ。
ライダーには、2013年のWSBKチャンピオンで、レイが加入してからはカワサキでずっと2番手に甘んじていたトム・サイクスを起用。サイクスにとっても正念場ですね。
ドゥカティとBMWの挑戦を受けて立つカワサキは、前人未到の5連覇を狙うレイのチームメイトに、同じイギリス出身のレオン・ハスラムを起用。このコンビ、2018年の鈴鹿8耐に出たコンビというだけでなく、そういや2013-14年にはPATAホンダでチームメイトだったことがあるんですよね。2015年にハスラムはアプリリアへ、レイはカワサキへ移籍して、レイはそれから2018年まで4連覇を成し遂げた、というわけです。
考えてみたらハスラムも長い。今年35歳、今でも覚えているのが、2003年のイギリス選手権・スーパースポーツクラス(=BSS)に参戦していた20歳のハスラムが、シーズン途中からスーパーバイククラス(=BSB)の代役ライダーに抜擢されて、このシーズンからBSBに参戦を始めていた加賀山就臣(現TeamKAGAYAMA代表)と戦ったのを。ブランズハッチだっけな、たまたま取材に行っていて「おー、これがロケット・ロンのせがれかぁ。少なくともマユは似てるなぁ」って加賀山と笑ったこと、思い出しますね。
ホンダ、モリワキ+清成起用でWSBK本格復帰へ
そして、本誌がWSBKレポートを再開しようと思った最大のきっかけが清成龍一のWSBK再挑戦です。清成は加賀山の後を追うように2004年からBSB参戦を開始し、2006-07年にチャンピオンを獲得。2008年からWSBKにステップアップしたのです。
清成はWSBKに2シーズンしか参戦しませんでしたが(ランキング9位/11位)、それからBSBに復帰して3度目のチャンピオンになると、2010年にはアジア選手権SS600クラスを制し、2011年には3度目のBSB復帰でBMWに、そしてスズキに乗って、2017年から全日本選手権にモリワキレーシングから復帰したのです。
全日本選手権では、ホンダCBR+ピレリタイヤの組み合わせで2シーズンを戦い、最後の最後、2018年最終戦のレース2でモリワキでの初優勝をゲット。その興奮も冷めやらないままに、WSBK復帰が発表されたのです。
考えてみれば、全日本選手権では珍しいCBRとピレリタイヤの組み合わせも、ピレリタイヤのワンメイクタイヤであるWSBK参戦を見据えてのことだった……わけじゃないみたいですが(笑)、ともあれ清成の2009年以来10年ぶりのWSBK復帰が決まったのです。
ホンダレーシングサンクスデーで出会った清成に、ちょっとだけ話を振ってみたんですが……。
「えーと、まだなんにも言えないんです、スイマセン」とひと言。ま、もうじきホンダからもモータースポーツ体制の正式発表があるでしょうから、それを待ちましょう!
GPもWSBKも、レースファンは忙しいよぉ^^
ちなみに2019年シーズンのWSBK日程は、下記のとおりです。
■2019WSBKカレンダー
開幕戦 2/24 オーストラリア/フィリップアイランド
第2戦 3/17 タイ/ブリラム
第3戦 4/7 スペイン/アラゴン
第4戦 4/14 オランダ/アッセン
第5戦 5/12 イタリア/イモラ
第6戦 6/9 スペイン/ヘレス
第7戦 6/23 イタリア/ミサノ
第8戦 7/7 イギリス/ドニントンパーク
第9戦 7/14 アメリカ/ラグナセカ
第10戦 9/8 ポルトガル/ポルティマオ
第11戦 9/29 フランス/マニクール
第12戦 10/13 アルゼンチン/サン・ファン
第13戦 10/26 カタール/ロサイル
年間19戦行なわれるMotoGPと比べると、WSBKは年間13戦しかありませんが、その分だけ開幕が早かったり(WSBKは2月24日、MotoGPは3月10日開幕)、でも開幕から第2戦まで1カ月近く空いたり、という変則日程はいつも通り。TV放送は。2019年もJスポーツさんが中継してくれる予定で、解説は本誌でもおなじみの八代俊二さんが務める予定です。
かけ足で紹介しましたが、これがWSBKです。残念ながら日本での開催がなくなってしばらく経ちますが、「清成大活躍→他の日本人選手も参戦開始→日本人ライダーがばんばん勝っちゃう→日本開催へ」という夢の図式が成り立つことを願いましょう! ツインリンクもてぎでMotoGPが開催されるんだから、WSBKは鈴鹿でやれるといいよね~。
写真/wsbk.com 文責/中村浩史