「接地点」を把握しやすいのは前後サスペンションのバランスが秀逸な証!

自分はオフロードの専門家ではないので、CRFラリーTypeLDのオフロードの走りについてはあまり語れませんけど、ローダウン仕様ということのネガも、オフロードを走って感じることはありませんでした。スイングアームが寝ている分だけトラクションはかかりにくく、後輪が逃げやすくなるかと思いましたが、そういうことはあまり感じませんでした。もっともオフロードをガチで攻めたい方は、Lかラリーのスタンダードを選ぶと思いますけど。

今回のもう1台の試乗車であるCRF250Mですが、前の型を弟が乗っていたので借りて乗ったりすることがありました。「M」の方はローダウン仕様の設定がないですが、ホイールが前後17インチになった分、Lよりもシート高が低くなっているんですね。自分自身モタードの経験はあまりなく、XR100でちょっとダートトラックをやったりするくらいです。でもモタードは足出してコーナー走ったり、簡単にフルバンクまで持っていけたり、フロントを上げたり、リアを流したりと、一般的なロードスポーツよりも遊びやすいのが良いですね。

250Mは、サスペンションが一般的なロードスポーツより長い割には、タイヤの接地点が本当に自分に近いところにあるように感じられるのが素晴らしいですね。どんなモタードでもブレーキを強くかければ、接地点を意識することはできますけど、Mはそういう操作をしなくても接地点をすごく掴みやすいです。ダイレクト感というより、タイヤが路面のどこを触っているかが伝わりやすい。前後のサスペンションのストロークの仕方や、作動のバランスも非常に良いです。

画像: タンデムだと、かなり後ろ下がりになるけど… 「2人乗りすると、スイングアームが水平になるくらいサスペンションが縮むけど、これでも違和感なく走れちゃうのはすごいと思いました」とは伊藤さんの感想。ただ、後ろの大関さんは長身ということもあって、タンデムステップに足を乗せるとかなり窮屈だった様子。「両手でどこを掴めばいいか迷ってしまいました」とは大関さんの弁。CRFラリーでのタンデムは、親密なカップル限定……かもしれませんね(笑)。

タンデムだと、かなり後ろ下がりになるけど…
「2人乗りすると、スイングアームが水平になるくらいサスペンションが縮むけど、これでも違和感なく走れちゃうのはすごいと思いました」とは伊藤さんの感想。ただ、後ろの大関さんは長身ということもあって、タンデムステップに足を乗せるとかなり窮屈だった様子。「両手でどこを掴めばいいか迷ってしまいました」とは大関さんの弁。CRFラリーでのタンデムは、親密なカップル限定……かもしれませんね(笑)。

どちらかと言うとリアから入り込んで行くハンドリングで、そのまとめ方も安定方向なので乗っていて安心感があります。車重もロードモデルとしては軽いので、街中なら一番速く走れるんじゃないでしょうか? これを設計した方はすごいなと思いました。本来オフロード車として作られた車両を、ここまで優れたロードスポーツに仕上げることは、とても難しいことだと思います。

エンジンもラリー同様に良いですね。あと、リンクを含むサスペンションやホイールを黒でまとめたスタイリングも、とても良いと思いました。もし自分が買うとしたら、LよりもMのほうを選びますね。街乗りに良くて峠も楽しめる。そしてライディングのトレーニングにも使えると思いますので。

250MにはABS仕様の設定はありませんが、モタードはABSも、コントロール性がすごく良くて使いやすく、前後のバランスも良いです。総じて足まわりの完成度が高い印象ですね。一方ラリーのタイヤはグリップ感がわかりやすいタイプではありますけど、ABSが用意されているので、こちらはあっても良いかな、と思います。

レブル250やCBR250RRなど、今年の連載で試乗したホンダの250すべてに共通して思ったのですが、Mもラリーのいずれも質感と高級感があって、ラリーのような価格が高いモデルでもこれは値段相応だなと思いました。最近の250モデルはなんでこんなに高額なんだろうと、それらに触れる前は思ったりもしたのですが、実際に見て、乗ってみると値段だけの価値があるとわかりますね。ホンダに限らず、どこのメーカーも売れ線のモデルにはコストをかけてでも良いものに仕上げるわけです。市場で一番競争するクラスですからね。

画像: 「接地点」を把握しやすいのは前後サスペンションのバランスが秀逸な証!

あえて……で言いますと、ラリーのTypeLDのスタイリングは、やっぱりスタンダードに比べてしまうと、もうちょっと……と思ってしまいます。足つきの問題は、小柄な方や女性にとっては切実な問題だし、乗って走っているときはTypeLDの素晴らしさしか感じないんですけどね。

シートレールを変えるとライディングポジションや設計すべてを見直すことになるし、コスト的にも非常に高価になったり、限られた条件でまとめるのは大変なことだとは思いますけど、やはりバイクって趣味のものですからデザインのスポーティさは大事だと思ってしまうんです。実用性も大事ですけどね……。

ということで見た目優先で、男は黙ってスタンダードのラリーを買いましょう(笑)。まぁそれは冗談半分で、シティコミューター的な使い方を考えている人はTypeLDを選んでも良いと思います。背の低い女性の方には、ずばりTypeLDをオススメします。足の着かないモデルに乗ってUターンで転んで、それでオートバイに乗ること自体嫌になってしまったら、それは残念ですからね。

HONDA CRF250 RALLY Type LD

画像: HONDA CRF250 RALLY Type LD

SPECIFICATION
●全長×全高×全幅:2175×900×1360㎜
●ホイールベース:1430㎜
●エンジン形式:水冷4ストDOHC4バルブ単気筒
●総排気量:249㏄
●ボア×ストローク:76.0×55.0㎜
●最高出力:24PS/8500rpm
●最大トルク:2.4㎏-m/6750rpm
●シート高:830㎜
●車両重量:154㎏
●タンク容量:10L
●タイヤサイズ(前・後):3.00-21・120/80-18

HONDA CRF250M

画像: HONDA CRF250M

SPECIFICATION
●全長×全高×全幅:2125×815×1150㎜
●ホイールベース:1445㎜
●エンジン形式:水冷4ストDOHC4バルブ単気筒
●総排気量:249㏄
●ボア×ストローク:76.0×55.0㎜
●最高出力:24PS/8500rpm
●最大トルク:2.3㎏-m/6750rpm
●シート高:855㎜
●車両重量:146㎏
●タンク容量:7.8L
●タイヤサイズ(前・後):110/70-17・130/70-17

伊藤真一の注目ポイント!

画像1: 伊藤真一の注目ポイント!

「初期型CBR250R単気筒のころに比べると、今のホンダの250単気筒は本当に出来が良いですね」ラリー及びMともに、新型CRFのエンジンの完成度の高さが、伊藤さん最大のお気に入りポイント。パワーフィールの良さと振動の少なさが素晴らしいとのことでした。

画像2: 伊藤真一の注目ポイント!

「コスト的には非常に難しいと思いますが、サスペンション長を短くするというローダウン化の手法以外の、足つき性を良くする試みを次期モデルではトライして欲しいですね。スタイリングの面では、スタンダードの方が格好良いので……」

写真/松川 忍、まとめ/宮崎健太郎

公式サイト

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