もともと18インチだったフロントを17インチ化…
その“クセ”を前後足まわりのセティング変更で克服

実はCB1100を、公道で乗るのはこれが初めてなんです。最初のモデルが登場したころ、テストコースでちょっと乗ったことがあるくらいで……。その時の印象ですか? そうですね、なんと言ったらいいのかな。昔の味を残しつつ今風にしたオートバイ、という感じですかね。昔のCBナナハンのイメージを感じさせますが、装着するタイヤが18インチというのも、そういう風に思わせる一因かもしれません。また若者向けというより、CB1100はオジサン向けにも思えますね。まぁ年齢のことを言うと、自分もオジサンさんなんですけど(笑)。特にCB1100RSは、公道で乗ってみたらどんなモデルなのか、非常に関心がありました。

個人的にCBシリーズは、CB750FCを2台乗っていました。最初に買ったのは青白のカラーのモデルで、次に買ったのはCB750FBの限定カラーの黒銀仕様のFCでした。黒銀の方は排気量を上げたり、17インチホイールにしたり、カスタムも楽しみました。TSRでイジってもらったのですが、こちらのFCは今も所有しています。本当はCB1100Fが欲しいんですけどね。あと、CB1300SFも所有していました。限定車の赤フレームのモデルでした。

CB1100EXは、スタイリング的にはFよりも前の世代の、CB750Fourの「K」っぽいですね。個人的な好みとしては、CB1100RSのスタイリングの方が良いかなと思いました。RSのホイールはカッコいいデザインですね。RSは全体にカスタム車みたいなデザインで、フロントフェンダーも後付けのカスタムパーツみたいです。

画像: 「EXは全体のバランスが非常に良いオートバイですね。普段この企画では気に入ったポイント3点選ぶのですが。EXは"全体"を上げたい1台と言えます」

「EXは全体のバランスが非常に良いオートバイですね。普段この企画では気に入ったポイント3点選ぶのですが。EXは"全体"を上げたい1台と言えます」

あと、見た目の印象としては、フレームの太さが目につきますね。車両が250㎏を超えるくらいの重量になると、これくらい太くないとダメなんでしょうね。これくらい車重があると、女性のライダーですと駐車場から出す時とか取り回しが大変でしょう。女性でCB1100を選ぶライダーは、少ないとは思いますが。

まず乗ったのはRSの方ですが、走り出してちょっとタイヤの空気圧が低いのかな? と思ってしまいました。曲がるときに車体が倒れこむというか、フロントから切れ込んでいく感じだったので。空気圧を測定したところ問題なかったので、サスペンションのセッティングをイジってみました。

CBで前後17インチというと、2008年に生産終了となったCB750(RC42)がありましたが、あれは非常にハンドリングのバランスがいいオートバイでしたね。CB1100RSはもともと前後18インチだったモデルを、キャスターを変更するなど17インチの足まわりに合わせて煮詰めたのでしょう。乗り始めに感じたフロントがちょっと切れ込む感覚は、もともと18インチだったモデルを、17インチで仕上げることの難しさみたいなものを感じました。自分が所有しているCB750FCを17インチ化した理由ですか? それは見た目重視です(笑)。18インチに比べると、タイヤの選択肢が多い、というのもその理由ですけど……。

RSに乗った時の最初の印象が、後ろ側から前が押されることでフロントが切れ込みやすい…というフィーリングだったので、フロントサスペンションのプリロードアジャスターを2回転締め込み、一方リアショックのイニシャルは最弱の位置にしてみました。フロント側はプリロードを標準よりもかけたため、ちょっとサスペンションの戻りが早くなってしまいましたが、セッティングを変えたことで大分好みのハンドリングになりました。RSのサスペンション自体は、前後ともによく動いて、吸収性もいいですよ。

RSの後に、CB1100EXに乗ってみましたが、こちらはすごく乗りやすくて、完成されていますね。装着しているタイヤのスペックの差から、仮にサーキットでラップタイムを測ったらRSの方がEXよりも良いタイムを出すと思いますけど、CB1100はそういうオートバイではないですから。EXの良いところは、どこかのパーツが良いからというのではなく、全体のバランスがとれていて自然なことなんです。

走り出す前の取りまわしでは、やっぱり重さを感じますが、走り出してしまえば非常に扱いやすくて、ハンドリングもニュートラル。ニュートラルなハンドリングというのがどういうことか、わからないとおっしゃる方もいるみたいですが、コーナーで普通に走れると感じられるハンドリング、といえばわかりやすいですかね?

バンキングするときにちょっとフロントが心配だなとか、フロントタイヤのグリップが足りなく感じたり、舵の入り方が変だったり、舵が遅れた感じで入るように思ったら、車種によって調整できる幅は異なりますけど、サスペンションの調整機構を使える限り使ってみると良いと思います。悩んだらちょっとずつイジってみて、このセッティングのほうが感覚的に普通にコーナーに入れるな、と思ったらそれで良いです。EXはサスペンションの調整をしないで、標準セッティングそのままで乗ってもニュートラルに感じました。

ただし、だからと言ってRSよりEXが良いハンドリング、ということではありません。RSのようなハンドリングが好みの人もいれば、EXのハンドリングが好みの人もいる、ということです。サスペンション調整機構でセッティングを変えることができるので、好みのフィーリングにできますから。あと、最初RSに乗り出したときは後ろに大関さんを乗せての2人乗りだったのですが、そのときはフロントタイヤが切れ込む印象はなかったですね。

画像: EXは「このパーツが良いから」というのではなく、全体のバランスがとれていて自然なんです。 (伊藤)

EXは「このパーツが良いから」というのではなく、全体のバランスがとれていて自然なんです。 (伊藤)

HONDA CB1100 EX TypeⅠ SPECIFICATION
全長×全幅×全高:2200×830×1130㎜
ホイールベース:1490㎜
最低地上高:135㎜
シート高:780㎜
車両重量:255㎏
エンジン形式:空冷4ストDOHC4バルブ並列4気筒
総排気量:1140㏄
ボア×ストローク:73.5 × 67.2㎜
圧縮比:9.5
最高出力:90PS/7500rpm
最大トルク:9.3㎏-m/5500rpm
燃料タンク容量:16L
変速機形式:6速リターン
キャスター角:27゜ 00′
トレール量:114㎜
タイヤサイズ(前・後):110/80R18・140/70R18
ブレーキ形式(前・後):ダブルディスク・ディスク
価格:133万8120円

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