革新的技術を散りばめた「未来から来た」2ストマシン

オンロードバイクの世界では、もはや旧車しか存在しない2ストロークモデル。しかし、エンデューロの世界では未だ現役…どころか、最先端のマシンである。とくに昨今流行しているハードエンデューロ、エクストリームエンデューロ(大きな岩や急坂を乗り越えるようなエンデューロ)では最強で、トップライダーの大半が使用している。

その2ストエンデューロモデルの世界で、最も大きなシェアを誇るKTMが、2ストエンデューロモデル、250EXCをFI化したのが、この250 EXC TPIである。シリンダー背後の掃気ポート(Transfer Port)に2個のインジェクターを配置することが、TPIという名の由来だ。

画像: フロントとリアのフェンダーに入る「Iビーム」と呼ばれる独特の絞り込みにより、フェンダー自体の軽さと十分な強度を確保。シュラウドはいまや最小限のサイズである。

フロントとリアのフェンダーに入る「Iビーム」と呼ばれる独特の絞り込みにより、フェンダー自体の軽さと十分な強度を確保。シュラウドはいまや最小限のサイズである。

通常ならガソリンが送り込まれるスロットルボディからはオイルと空気だけが流入し、ガソリンは掃気ポートから直噴される。この仕組みにより燃費が向上し、サイレンサーエンドからのオイルの飛び散りや白煙が減少。分離給油なので事前に混合ガソリンを作る必要もない。吸気温度やクランクケース内圧力、水温などを感知する7個ものセンサーからの情報を基に、最適な燃料噴射を指示するECU(エンジンコントロールユニット)により、天候や標高に合わせたセッティングが不要になったのも大きなメリットだ。

実際、走り出してみると過去の2ストよりも明らかに滑らかに、緻密なコントロールが可能なマシンに変化している。過去のキャブレターモデルでは、ラフなスロットル操作では一瞬ツキが遅れたり、あるいは思った以上にパワーが出る傾向があったが、このTPIではすべてがライダーの操作に忠実だ。

画像: 今回最大の目玉が「TPI」エンジン。リアに配した転送ポートから直接混合気を噴射するフューエルインジェクションを採用して未燃焼燃料によるロスを低減。燃焼効率を高めて燃費を向上させた。また、今回からエンジンオイルは混合から分離給油となった。

今回最大の目玉が「TPI」エンジン。リアに配した転送ポートから直接混合気を噴射するフューエルインジェクションを採用して未燃焼燃料によるロスを低減。燃焼効率を高めて燃費を向上させた。また、今回からエンジンオイルは混合から分離給油となった。

このエンジンは、もともとバランサーが内蔵されているため振動も少なく、ストリートバイクとしても楽しめる乗り味に仕上がっている。そしてひとたび開ければ、2スト特有の強烈な加速感が味わえる。

メインスイッチもないコンペモデルだが、混合ガスから分離給油になって汎用性は大きく高まった。純正で用意されるモタードホイールを手に入れ、街で乗りたくなる軽さとパワーがある。始動もセルでラクラクだ。

もちろん、本来の狙いであるオフロード走行性能については文句のつけようがない。パワーを使い切るにはテクニックが必要だが、すべてにおいて最高、最先端のマシンを求めるライダーには心からお勧めできる、未来から来たマシンである。

SPECIFICATION
全長×全幅×全高:NA
ホイールベース/最低地上高:1482±10㎜/370㎜
シート高/車両重量:960㎜/103㎏(半乾燥)
エンジン形式/総排気量:水冷2スト単気筒/249㏄
ボア×ストローク:66.4×72㎜
圧縮比/最高出力/最大トルク:NA/NA/NA
燃料供給方式/燃料タンク容量:TPI/9L
キャスター角/トレール:63.5度/NA
変速機形式:6速リターン
ブレーキ形式 前・後:φ260㎜ディスク・φ220㎜ディスク
タイヤサイズ 前・後:80/100-21・140/80-18

250EXC TPI SIXDAYS

ISDEと呼ばれる、国別対抗の6日間エンデューロにちなんだモデルがSIX DAYS。今回は開催地のフランス・ブリーヴ=ラ=ガイヤルドに合わせたフランスカラーで、専用の外装や高精度の足回りパーツ、カーボン製チャンバーガードなどを装備する。119万円。

画像: 250EXC TPI SIXDAYS

PHOTO:KTM JAPAN、稲垣正倫

公式サイト

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