ツインリンクもてぎで行なわれているMOTULグランプリofジャパンは、土曜日までの走行を終了して、MotoGPクラス公式予選が終了! きょう日曜日は気持ちよくカラッと秋晴れです! 最高のコンディションで、地球最速オートバイ決定戦、第16戦が見られそうです♪
すでにお知らせしたように、予選でポールポジションを獲得したのはアンドレア・ドビツィオーゾ(ドゥカティ)、2番手にヨハン・ザルコ(ヤマハ)、3番手にジャック・ミラー(ドゥカティ)と、ちょっと意外な顔ぶれがフロントローを占めましたが、やっぱり気になる日本人ライダーたち。特にMotoGPクラスにスポットを絞って、ここまでの中上貴明(LCRホンダIDEMITSU)と、中須賀克行(ヤマルーブYAMAHAファックトリーレーシング)の戦いぶりをお知らせします。
中上はご存知のように今シーズンからMotoGPクラスにフル参戦を開始、このもてぎが16回目のレースで、MotoGPクラスとしては初の母国グランプリ。
「やっぱりほかのGPとはまったく違います。たくさん声援をもらえているのはもちろん、それがみんな日本語だってことがすごくうれしいです。期待にこたえたいし、みんなが喜んでくれるようなレースがしたいですね」と中上。中上のここまでの戦いぶりは、まだ正直言ってMotoGPクラスの「壁」に挑んでいる状態。予選も決勝も「まだ納得いく走りをしたことがないです」(中上)と言いますが、そこは日本人初のMotoGPライダーとして、全力で壁を乗り越えてもらわないと! 先日、2019年も同じチームから参戦継続、といううれしいニュースが聞かれたばっかりですから、今シーズンの残りのレースは来シーズにつながる走りをしてほしいし、かといって母国グランプリなんだもん、めっちゃがんばって、って言いたくなるのです。
もうひとりの日本人ライダーが、普段は全日本選手権JSBクラスに参戦している「絶対王者」中須賀克行。中須賀は日本のヤマハのエースとして、またヤマハYZR-M1の開発ライダーとして、この日本GPにワイルドカード参戦するのは、これが6回目になります。
「開発ライダーとして出場するので、ぼちろん自分好み100%に仕上げてレースする、っていうわけにはいかないんです。フリー走行や予選を通じて、テスト項目があったり、ファクトリーやサテライトチームからの要請があるパーツをチェックしたり。でも今回は『やらなきゃいけないこと』もスムーズにクリアできて、次期YZR-M1の役にも立つアイディアも試せました。例年より自分用のレースができていると思います」と中須賀。
中須賀がいう「開発ライダーの宿命」と戦いつつのレース。しかもそれが世界最高のレーシングライダーですから、その」プレッシャーや責任は途方もなく大きい。けれど、それをクリアして自分のレースができる、っていうところに、中須賀の風格を感じましたね。
MotoGPは、金曜午前にFP(=フリープラクティス)1、午後にFP2、そして土曜FP3と4、それから公式予選を行なって、日曜朝にフリー走行、午後2時に決勝レースを迎えます。今回の日本グランプリでは、まだ路面コンディションがよくないFP1で走り出し、FP2が雨、しかも土曜日曜の予報がよかったために、雨テストをするチームも少なく、土曜のFP3が曇りで路面温度が低く、FP4くらいから好路面コンディション、という流れだったんで、ちょうどFP2の1回分、走行時間が少ない感じ。こういう時は、やはり走行経験の少ないライダーに不利になってしまいます。
「FP2が一本分なくなったのは痛かったですね。通常、金曜でマシンの基本セットを出してタイヤを選んで、土曜にタイムを上げていきたいのに、それができなかった。もちろんみんな同じ条件なんだからしょうがないけど、やることがたくさんあるから、もっともっと走りたいです」と中上。
それでも中上は、公式予選Q1でトップ2のタイムを出し、Q2に進出。Q2の開始早々、ブレーキに不具合が出てきちんと走れなかったため、Q2は最下位の12番手。今日の決勝は4列目12番手からのスタート。もてぎで、それにTV観戦のみなさんは、4列目に熱烈注目しておいてください!
一方の中須賀は、普段はテストでしか乗っていないYZR-M1での参戦。乗り慣れてはいるけど、年に一度の実戦だからなかなか思うようにはいきませんが、世界最高のライダーたちのレース、中須賀ほんとうに楽しそうです。
「いままでのもてぎでの自己ベストを更新できているし、すごく順調に走れていたんですが、途中もうすこしペースを上げようと思って転んじゃって……。自分でいい流れを断ち切っちゃったところがありますね。それが悔しいなー、と思って」と7列目20番手のスタート。事実、中須賀はFP1で15番手、FP2はまぁ参考程度だけど12番手、ドライでの力戦となったFP3で14番手、転んじゃったけどFP4で17番手タイムをマーク。年に一度、1年ぶりのMotoGPとしては、望外の素晴らしい結果を残していたのに、残念!
そして、中須賀に禁断の質問をしてみました。
――中上君の走りはどーお?
レース前のこういう質問、普通なら『僕は自分のことを精一杯やるだけなんで』なんて答えが返ってきて当たり前なんですが(事実、インタビューに付き添いのヤマハ関係者の皆さんが『ピキッ』って雰囲気に・笑)中須賀はきちんと答えてくれました。
「中上君、1年目で大変だろうし、その大変さはよくわかる。ドライ1発目のFP3ではオレのほうが前におったけど、予選ではきっちり前に行かれたもんね。そこはスゴいと思うし、負けらんないぞ、っていう気持ちと、日本人唯一のMotoGPライダーなんだから頑張って!って気持ちが半々。でも、さすがやと思う。今年の8耐では中上君が来て、8耐はオレのテリトリーなんやから負けん、って気持ちが強かったし、それは今回、逆なんやない? 中上君のほうがGPは本職なんやから、ワイルドカードのオレに負けたくないでしょう」
きょう日曜朝のウォームアップ走行では、中上15番手、中須賀17番手のタイムをマーク。いいぞいいぞ、日本人ふたりでお互いにレベルを高めあって、もてぎの観客を熱狂させるレースやってほしい! 決勝レースは午後2時スタートです! ドンミスイッ!
写真・文/中村浩史