確かな品質と使いやすさでプロメカニックにも愛用者が多い工具メーカーがTONE(トネ)。設立78年周年を迎えた同社がハンドツールの開発・製造を行っている大阪の工場で、その高品質の秘密を探ってみた。
製造に対する、真摯な姿勢が光る!
工具専門店だけではなく、ホームセンターや自動車用品店などで目にすることも多くなってきた『TONE』だが、その歴史は古い。創業は大正14年で、昭和13年に法人化されて前田金属工業となり、建設現場や工場向けのプロ用工具を主力に成長。現在の「TONE株式会社」に社名変更されたのは4年前だから、ベテランなら「前田金属」の社名に馴染みがあるはずだ。
自動車やオートバイ関係者の間では古くからトネ(前田)ブランドのソケットレンチやトルクレンチが好評を博してきたが、近年では一般ユーザー向けのハンドツール全般に力を入れ、モータースポーツとの関りも深めている。本誌では用品テストページでツールセットを試用した際にテスターである僕はもちろん、工具好きなカメラマンやスタッフも使いやすさに感動。そこで最終的な組み立てから出荷までを行う大阪府河内長野市の工場にお邪魔して工程を見学させてもらった。
広々とした工場は実に清潔で、工具製造から想像する油っぽさも騒音もない。富田林工場で製造された半完成品はバリや傷、メッキのムラの有無などが厳しくチェックされ、ソケットレンチのヘッド部分などはベテランが丁寧に組み上げてから再度チェックを受ける。
興味深かったのはプレセット型トルクレンチの仕上げ作業。組み上げた後に温度と湿度を一定に管理した部屋に運び、専用の設備で負荷を掛けたり抜いたりしてヘッドを振らせてヘッドの動きを充分に慣らしてから校正を行う。時間も手間もかかるが、精度を出すためには必須の工程ということだ。
工場の一角にはショールームがあり、ハンドツールから電動ツール、エアツールまでがずらりと展示されている。医療関係や深海、宇宙で使われるステンレス製やチタン製のハンドツールもあり、トネの技術力を感じさせた。ホームセンターなどでも目にするTONE製品だが、製造に対する真摯な姿勢を知れば見る目が変わるはずだ。
歴史に裏付けられた熟練の職人軍団が製造‼
近隣の富田林工場で打ち抜きや切削などを施した半完成品を河内長野工場に運び込み、製品ごとに定められたチェック項目に沿って1個づつ検品。熟練の職人が丁寧に組み立てたのち、再度チェックを受けて製品となる。
徹底したクオリティ管理で精度の高さが光る‼
トネは一般ユーザー向けのハンドツールから建設や工場のプロ用まで圧倒的な工具ラインアップを誇る。トルクレンチもデジタル式とプレセット式があり、対応するトルクや差し込み角によって数十種類がある。
膨大な製品ラインアップから選べる‼
工具好きなら半日は離れられないショールーム。普段は目にすることのない特殊工具やチタン素材などのスペシャルツール、実際に試用できる工具も揃っている。残念ながら取引業者向けで、一般ユーザーには非公開だ。