ライディングウエアが「かわいい」と認識される時代

生まれて初めて買ったライディングパンツが、このクシタニの『Eライドパンツ』でした。

と書くと、もう何年も愛用しているかのようですが、じつは購入してまだ1年も経ってません。これでもバイク歴は十何年になるのですが、今まで一度もライディングパンツを買ったことがなかったんですよねぇ…なんでだろう? 考えてみると、バイクに乗り始めた頃の、あるすり込みの影響があった気がします。

そもそも私は、10代の頃は自転車ロードレースをやっていた体育会系。その反動で大学時代は、お酒とライブに行くことに熱中した超インドア派でした。当時から計画性が皆無だったせいで、ろくな就職活動もせずに卒業。「いい加減バイトしなくちゃ」と思って手に取ったバイト情報誌に、たまたま新雑誌立ち上げのスタッフ募集が掲載されていたのです。昔から文章を書くのは好きだし、編集って何だか面白そう~、と何も考えずに応募。面接の時に初めて、その新雑誌がバイク雑誌と知るユルさでした。バイクに関わったこともないし、「これは落ちたな」と覚悟していたのですが、なぜか採用に。正直、二輪免許を取ったのは、仕事で必要だったからでした。もちろん乗り始めれば大変楽しく、夜中にフラリと遠くの本屋まで出かけ、「いつでも好きなタイミングで、どこにでも行けるって最高だ〜!」と強烈に思ったのを覚えています。

その頃の私は、「いかに普通の格好でバイクに乗るか」をとても重要視していました。アウターはアウトドア系ブランドのウインドブレーカーや、スノボ用の防寒ジャケットで代用。ひたすら見た目重視で、もこもこのファージャケットを、冬の上着にしていたこともあります。私が取材する同世代の若者達も、専用ウエアを着るバイカー(ライダーじゃないんですよね)なんて全然いなくて、それが普通だと思ってました。いま考えると、なんであんなに頑なだったんだろうって思うんですけどね。気づけば、「バイクウエアはダサイ」という考えが、私の脳内にすり込まれていたのです。

でも、その雑誌が休刊になり、フリーランスとしてこの世界に関わるようになってから、徐々にその気持ちは薄れていきました。年齢と共に見た目を気にしなくなった、とも言えますが、それだけでなく実際に、ライディングウエアのデザインがどんどん良くなっていったんです。しかもファッション全体の流れが、アウトドアブランドの服を日常的に取り入れたり、「専用ウエアの機能やデザインがかっこいい」という空気になってきたのも大きかった。撮影用に着ていたライディングジャケットを、10代のバイク乗りに「かっこいいですね」なんて言われる時代が来るとは、私がバイクに乗り始めた時は想像もできなかったなぁ…。

クシタニのEライドパンツも、履いていると結構な確率で「かわいいね」とか「これどこの?」と言われます。バイク乗りはもちろん、バイクに乗らない人にも。私自身、普段使いできるデザインと、ちょっと個性的なダークオレンジのカラーが気に入って買ったので、そう声を掛けてもらえると、とても嬉しい。それにやっぱりバイク専用に作られているから、乗った時の腰回りや、ストレッチ具合など、すごく快適なんですよ。いや~、ライディングウエアってスバラシイ!(いまさらか)

そういう意味ではこのパンツ、私の悪しきすり込みを、やっと完全に解放してくれた存在、と言えるかもしれません。と、強引にまとめて、この原稿を終わりにします。

画像: 素材からパターン、縫製にいたるまで吟味を重ねた高品質な製品づくりで、国内外のライダーから信頼を寄せられているライディングウエアの老舗クシタニと、ジーンズメーカー・エドウィンのコラボレーションアイテム。シンプルなデザインに、履き心地が良く運動性にすぐれたストレッチ素材を用い、前身頃の太ももから裾にかけては、生地が 2重になっている。カラーは4色展開、サイズは 28~36インチ。膝のソフトパッドを標準装備している。1万7820円

素材からパターン、縫製にいたるまで吟味を重ねた高品質な製品づくりで、国内外のライダーから信頼を寄せられているライディングウエアの老舗クシタニと、ジーンズメーカー・エドウィンのコラボレーションアイテム。シンプルなデザインに、履き心地が良く運動性にすぐれたストレッチ素材を用い、前身頃の太ももから裾にかけては、生地が 2重になっている。カラーは4色展開、サイズは 28~36インチ。膝のソフトパッドを標準装備している。1万7820円

画像1: ライディングウエアが「かわいい」と認識される時代
画像2: ライディングウエアが「かわいい」と認識される時代
画像3: ライディングウエアが「かわいい」と認識される時代

※記事はオートバイ2015年9月号・別冊付録「殿堂用品」より

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