異なるアプローチで着実に進化中!
ライダーを保護するプロテクター類の延長線上にあるのがエアバッグシステム。MotoGPライダーや各国の白バイ隊員が使用中で、一般ライダーへの普及が現実味を帯びてきた。開発中の2製品を軸に、可能性を探ってみよう。
自動車用エアバッグシステムは80年代から急速に普及し、今では多くの車両に標準装備されている。自動車は衝撃を受けるときにシートベルトで体が固定されているが、オートバイは車体とライダーが離れることから、車体側でエアバッグが展開しても効果を得にくい。
そこで考えられたのが車体ではなく、ライダーがエアバッグを身に着ける方法。98年に世界で初めてライダー用エアバッグを製品化したのは「HITAIR(ヒットエアー)」ブランドの無限電工で、炭酸ガスを使い、機械的にバルブを開くことでジャケットに内蔵したバッグを膨らませるシステムを完成。今では安全意識の高いツーリングライダーやレーシングライダーが積極的に着用し、世界各国の交通隊(白バイライダー)も採用するなど、その効果が広く認められている。
このシステムは車体とライダーをワイヤーで繋ぎ、ライダーが車体から離れた際にワイヤーが引っ張られてバルブが開く構造で、機構的には比較的シンプルだが、例えば転倒してライダーが車体に挟
まれたま滑走するような状況では展開しない。
そこで考えられたのが、エアバッグユニット側に加速度センサーを入れ、コンピューターが転倒を検知すると展開するタイプ。こちらはアルパインスターズやダイネーゼなどが開発していて、すでにモトGPではエアバッグ内蔵レーシングスーツを着用するライダーが多数派になっているし、18年からは着用が義務化される予定だ。
日本のアールエスタイチもアルパインスターズと提携してエアバッグ内蔵のレーシングスーツを開発中で、すでに契約ライダーが着用中。今後は実戦で検証を重ね、2〜3年後には一般ユーザー向けに市販化したいという。気になる価格はまったく未定とのことだが、スーツと一式で50万円台になりそうだ。
対して「元祖」のヒットエアーは、最初から展開した状態のエアバッグベストを開発中。炭酸ガスボンベやバルブユニットが不要なので軽く安く作れ、転倒時の効果は同じ。
ハイテクシステム路線とアナログベーシック路線。エアバッグシステムは、まったく逆のアプローチでライダーの安全を担保するべく進化している。
RSタイチ
世界グランプリを筆頭に、世界中のレースに契約ライ
ダーを抱えるRSタイチ。モータースポーツ対応の、
最先端エアバッグの導入を行なうことで、ライダーの
安全を確保している。エアバッグが膨らむ際の、レ
ザースーツ形状など、現在も開発は進められている。
RS TAICHI TEL: 072 - 874 - 3268 http://www.rs-taichi.co.jp/index.html
無限電光
様々なバリエーションのエアバッグを開発する無限電光では、世
界中で使用されているバイク用のほか、ロボット用やドローン用
など、その対象は幅広い。現在はキッズ用のエアバッグも開発に
着手しているとのこと。
無限電光株式会社 TEL: 052 - 807 - 7750 http://www.hit-air.com/top/main.html
最新アイテム情報も載ってます! 月刊オートバイ最新2月号発売中!!