保護性能と防犯効果は『屋根付きガレージ』並み!
東京23区内のアパートやマンションを10軒ほど転々としたけれど、オートバイ用として駐車スペースが確保されていた物件は一軒もなし。大家さんと交渉して、自転車置き場や階段の下、自動車駐車場の僅かな空きスペースに遠慮がちに置かせてもらってた。
で、25年の間に盗難被害に遭うこと5回。そのたびにアラームやロック類の数が増え、着け外しに手間がかかってイラつくし、エンジンが冷めるまではカバーを掛けられず、外したカバーの置き場にも困る。雨の夜に濡れながら手探りでロックを着けていると泣きたくなるほど。「ちゃんとしたオートバイ置き場のあるところに住みたい」というささやかな願いさえ、23区内の賃貸物件ではなかなか叶わないんだよね。
結局、子供が二人に増えたのを機に庭と駐車場付きの一戸建てに引っ越して、これで落着! と思ったら、駐車スペースは即座に妻の自動車や子供たちの自転車に占有され、残った場所は芝生の庭だけ。しかたなくサイドスタンドが潜らないように芝生に敷石を埋め込み、相変わらずのボディカバーユーザー。敷地内だからロック類は不要になったけど、カバーを着け外しする手間は変わないし、芝生の水分でカバー内が蒸れる問題もあって、理想としていた屋根付きガレージには程遠い。
何年かは我慢してVTR1000Fを入れていたものの、久々に新車で買ったニンジャ1000にカバーを被せるのは嫌。そこで思い出したのが本誌のギアーズテストでも紹介した簡易車庫。スチール製のフレームにカバー生地を組み合わせて蛇腹状に開閉する構造で、ワンタッチで開閉できるし、車体には何も触れないから小傷も付かない。なによりエンジンやマフラーが熱くても関係なく、サッと閉じられるのがたまらなく魅力的。
似たような製品がいくつかあるから、用品量販店やMCショーでフレームの強度やカバー生地の質を入念にチェックして選んだのが「バイクバーン」という製品。他の製品より高いけど、長く使うから安物買いの……になるよりはいい。販売元に電話すると運よくサイズ違いで返品されたものを「一度組み立てた中古」という理由で安く売ってくれた。
設置に必要なスペースは幅1m×長さ2.5mくらい。蒸れを防ぐためにコンパネを下に敷いたら、コンパネが重り代わりになってアンカーで地面に固定しなくても安定しているし、バイクバーンの移動も簡単。さらにカバーを開かないようにするロック用の穴もある。おおっ、こりゃいいぞ! と狂喜してニンジャ1000を入れたら予期せぬ問題が。サイドスタンドだと車体が左側に傾くから、オートバイをバイクバーンの右側に寄せて停める必要があるのと、ニンジャのバックミラー張り出し量だと蛇腹の開閉時にミラー先端が微妙に接触する。ミラーステーごと内側に向ければ大丈夫なんだけど、毎回ミラーを合わせなきゃいけないのは鬱陶しい。
なら、バイクバーンの真ん中に停めりゃいいじゃん、とポチッたのがフロントタイヤを固定する「ホイールチョック」というスタンドの一種。ハンドルを真っ直ぐにした状態で停めるので出し入れもスムーズ。メーカーの広報車を入れることも多いんだけど、ZX-14のようなメガスポーツだって大丈夫。あ、VMAXとゴールドウイングは僕の使っているジュニアサイズだと無理でした。(笑)
4年近く使っているけど、トラブルはなし。徐々に落ちてきたカバー生地の撥水性も、撥水スプレーを吹いたら復活した。いざとなればカバーからフレーム、ボルトに至るまで買えるのも安心。
雨や紫外線による外装の劣化防止にも効果絶大だから、設置場所が確保できる人には絶対にお勧め。僕も本物の屋根付きガレージ生活が実現するまでは使い続けます!
※記事はオートバイ2015年9月号・別冊付録「殿堂用品」より