キャブレターを合わせ、オイルと冷却水を確かめてからセルを回す。そんなエンジンいじりを卓上の大きさで楽しめるのが、ガソリンで燃焼する完成品のエンジン模型「ENJOMOR V8-9078 PRO」だ。78ccのV型8気筒は1万2000回転まで回る。価格は税込58万7879円から。

文: 石川順一
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エンジンに手をかける時間を卓上で

休日の午後、キャブレターのスクリューをわずかに回しては、アイドリングの落ち着きどころを探る。オイルの量を確かめ、セルを回し、火が入った瞬間の音に耳を澄ます。走ることとは別に、エンジンそのものに手をかける時間が好きなバイク乗りは少なくないだろう。

その楽しさを、卓上で味わえるものがある。本物のガソリンを燃やし、冷却水とオイルを巡らせて回るエンジン模型だ。金属模型の通販BLDBが扱いを始めた「ENJOMOR V8-9078 PRO」はそのひとつで、形式はV型8気筒。50cc単気筒では味わえないメカメカしさがたまらない一品だ。

画像: ENJOMOR V8-9078 PRO。赤いカムカバーの上に2連のキャブレターとエアクリーナーが載り、手前にはタイミングベルトとカムプーリーが並ぶ

ENJOMOR V8-9078 PRO。赤いカムカバーの上に2連のキャブレターとエアクリーナーが載り、手前にはタイミングベルトとカムプーリーが並ぶ

78ccを8つに割った、1気筒10cc足らずのV8

中身を見ていくと、バイク乗りにはおなじみの言葉が並ぶ。水冷4ストDOHC4バルブ。オイルは燃料に混ぜず、オイルポンプで各部へ送る。冷却水はウォーターポンプが巡らせ、エンジンの熱をラジエーターへ運ぶ。点火はCDIで、始動はセルモーター。愛車のエンジンを読むのと同じ目で、そのまま読み解けるつくりになっている。

違うのは、その割り方だ。総排気量は78ccで、原付二種のクラスに相当する。これを8つの気筒に分けているから、1気筒あたりは10cc足らずしかない。その小さなピストンが8本、左右4本ずつのV字に並んで1本のクランクシャフトにつながり、1万2000回転まで回る。小排気量の4気筒が力を出す回転域に近い数字だ。最高出力は4.5kW、約6PSで、原付一種のスクーターをやや上回る程度。力を誇る機械ではなく、8気筒が回ることそのものを楽しむ機械だと分かる。バイクの世界でも、500ccを8気筒に割った1955年のモト・グッツィのレーサー「オットーチリンドリ」がいまも語り草になるくらいだから、8気筒に自分の手で火を入れられるというのは、うれしい経験だ。

画像: 内部の構造図。クランクシャフトにつながるピストンの上に、吸気用と排気用の2本のカムシャフトが通る

内部の構造図。クランクシャフトにつながるピストンの上に、吸気用と排気用の2本のカムシャフトが通る

もうひとつの見どころが、カムシャフトの駆動だ。クランクが回ると、その力は前側に掛かったタイミングベルトを通って、左右のバンクに2本ずつ、合わせて4本のカムシャフトへ伝わる。そのカムが1気筒に4つ、全部で32のバルブを開け閉めする。バイクならカバーの奥に隠れている部分だが、このエンジンではベルトもカムプーリーも外に出ているので、回っているところを目で追える。上には2連のキャブレターとエアクリーナーが載り、左右からはエキゾーストパイプが4本ずつ伸びる。眺めているだけでも、吸って、燃やして、吐き出す流れがたどれる。

画像: 部品をばらした図。ヘッドとバルブ、クランクとピストン、吸気と排気の通り道がどう組み合わさるかを見渡せる

部品をばらした図。ヘッドとバルブ、クランクとピストン、吸気と排気の通り道がどう組み合わさるかを見渡せる

飾るのではなく、動く模型

V8のエンジン模型とひと口に言っても、中身は大きく3つに分かれる。外形を縮尺で再現した飾る模型、モーターの力でピストンを往復させて仕組みを見せる模型、そして燃料を燃やして自力で回る模型だ。V8-9078 PROは3つ目にあたる。セルモーターが受け持つのは最初のひと回しだけで、火が入ったあとは、燃えるガソリンの力だけで回り続ける。

この分野には部品を一から組み上げるキットも多いが、V8-9078 PROのエンジン本体は、完成した姿で手元にやってくる。組み立てに時間をかけず、始動の準備から取りかかれるわけだ。とはいえ、回すまでの仕事は持ち主にたっぷり残されている。

その準備が、バイク乗りにはたまらない。エンジンを台にしっかり固定し、オイルの量を見て、冷却水が回ることを確かめる。点火の配線をつなぎ、燃料を送り、キャブレターを合わせる。現代のバイクではまず見ないキャブレターの調整も、ここでは主役のひとつだ。火が入ったら、慣らしをしながら調子を整えていく。どれも愛車で覚えた段取りで、それがそのまま遊びになる。エンジンの後ろには10mm径の出力軸が出ているから、回して眺めるだけでなく、大型のRCカーや自作の機械の動力として使うのも一興だ。

画像: エンジン本体に、ラジエーターや冷却ファン、燃料タンクといった必要周辺部品

エンジン本体に、ラジエーターや冷却ファン、燃料タンクといった必要周辺部品

バイクの隣に置き、週末に火を入れる

販売は香港の碩輝網絡貿易が運営する日本語の通販サイト、BLDBのオンラインストアで行われている。販売価格は通常価格から26%OFFの税込58万7879円。始動キット付きは10万円高い68万7879円で、こちらは23%OFFだ。国内への配送は無料で、関税も店が負担する。同じ店には、72ccのV型12気筒を積む姉妹機「ENJOMOR GS-V12」も56万4388円から並んでいるので、そちらもオススメだ。

画像: 本体の主要寸法。おおよそ217×227×238mmに収まる

本体の主要寸法。おおよそ217×227×238mmに収まる

本体は一辺22〜24cmほどで、重さは4.5kg。ふだんはガレージの棚で、愛車の隣に置いておける。そして週末、風の通る屋外へ持ち出して台に据え、オイルと冷却水を確かめ、キャブレターを合わせてセルを回す。小さな8気筒に火が入り、一歩下がって見守る先で、タイミングベルトが回りはじめる。走りに出ない日の楽しみが、ひとつ増えそうだ。

ENJOMOR V8-9078 PRO 主な仕様

・本体サイズ:約217×227×238mm
・重量:エンジン単体 約4.5kg/製品 約5.5kg
・エンジン形式:水冷4ストDOHC4バルブV型8気筒
・総排気量:78cc
・圧縮比:14:1
・最高回転数:1万2000rpm(メーカー公称値)
・最高出力:4.5kW(メーカー公称値)
・潤滑方式:オイルポンプによる独立潤滑
・点火方式:CDI、ディストリビューター制御
・始動方式:ブラシレススターターモーターによる電動始動
・始動電圧/点火電圧:24V/12V
・使用燃料:92/95/98オクタン相当のガソリン
・推奨オイル:2Tエンジンオイル、または粘度0W〜20W系(容量の目安 約60mL)
・出力軸径:10mm
・対象年齢:18歳以上
・価格:本体=58万7879円(通常価格から26%OFF)/始動キット付き=68万7879円(同23%OFF)
・販売:BLDB公式オンラインストア

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