燃料流量制限の運用がより厳格化

今年もドゥカティとBMWのタイトル争いとなるのか?それとも・・・
www.worldsbk.com2026年シーズンの技術規定における最大の変化は、燃料流量制限の本格運用。2025年まで47.0kg/hに設定されていた基準値が、今季より46.0kg/hへと引き下げられた。さらに、1周あたりの許容誤差も従来の2.0gから0.5gへと大幅に厳格化されており、チームにはより精密なエンジン・マネジメントが要求される。
空力デバイスについても制限が強化された。ブレーキやエンジン等の直接的な冷却目的を持たない追加エアダクトの装着が禁止され、過度なダウンフォース競争を抑制する動きを見せている。
燃料に関しては、2024年より導入された40%非化石由来の持続可能燃料(E40)の使用を継続。性能調整(コンセッション)についても見直しが行われ、前シーズンからの燃料流量調整値の繰り越しルールが明確化された。これらの変更は、特定メーカーの独走を抑え、フィールド全体の性能均衡化(パリティ)を促進することを目的としている。
大きな動きを見せたライダー移籍
前人未到のSBK6連覇を達成したジョナサン・レイが引退、そして3度のSBK王者であり昨年のチャンピオン、トプラク・ラズガットリオグルがMotoGPへ転向。
SBK屈指のチャンピオン経験者2人がグリッドから姿を消し、新時代を迎えつつある今シーズンはライダー市場でも大きな動きがあった。
2025年にチャンピオンを獲得したラズガットリオグルを失ったROKIT BMW MOTORRAD WORLDSBK TEAMは体制を刷新。BARNI SPARK RACING TEAMで活躍していたダニーロ・ペトルッチ、昨年までMotoGPで戦っていたミゲル・オリベイラというMotoGPでの優勝経験のある強力な2名が加わった。

ROKIT BMW MOTORRAD WORLDSBK TEAM
www.worldsbk.com2023年からSBKに参戦しているペトルッチは2024年の第9戦クレモナでSBK初優勝を含むハットトリックを達成。MotoGP、MotoAmerica、ダカール、SBKで優勝を飾るという金字塔を打ち立てた。
これまでサテライトチームで戦っていたペトルッチだったが、SBK参戦4年目となる今季は念願のファクトリーライダーとして参戦する。オリベイラは6年間MotoGPを戦い、ルーキーから優勝を果たすなどGP通算5勝を誇る実力者。実力がありながらもファクトリー体制での参戦に恵まれなかったが、チャンピオンチームでもあるBMWファクトリーからSBKデビューを果たすことになった。
ラズガットリオグルに連覇を許すも、2年連続最終戦までタイトル争いを繰り広げたドゥカティワークスのARUBA.IT RACING - DUCATIは、エースであるニッコロ・ブレガが残留。イケル・レクオナがホンダから移籍し、ブレガのチームメイトになった。

ARUBA.IT RACING - DUCATI
www.worldsbk.comラズガットリオグルがいなくなった今、タイトル最有力候補であるブレガ。ルーキーイヤーからタイトル争いを展開し、常に戦闘力の高さを示してきた。今季は悲願のSBK初制覇を狙う。
レクオナもMoto2クラス時代から速さに定評があり、MotoGPを経験後、2022年にHRCからSBKに参戦。優勝経験こそないものの、SBKにおいてホンダを立て直した立役者でもあり、2022年には鈴鹿8時間耐久ロードレースでも優勝に貢献している。もしかするとブレガの1番のライバルになるのは新しいチームメイトであるレクオナかもしれない。
2年目を迎えるBIMOTA BY KAWASAKI RACING TEAMは、昨年と同じくアレックス・ロウズとアクセル・バッサーニの2名が参戦。ビモータ製オリジナルフレームにファクトリースペックのカワサキZX-10RRのエンジンを搭載したKB998Riminiで初優勝を狙う。

BIMOTA BY KAWASAKI RACING TEAM
www.worldsbk.comHONDA HRCは昨年MotoGPを戦ったソムキャット・チャントラとMoto2を卒業したジェイク・ディクソンという新しいライダー2名を迎え入れた。新体制で2026年シーズンに挑むホンダワークスだが、その船出は厳しいものに。

HONDA HRC
www.worldsbk.comチャントラはオフシーズンにサーキットでのプライベートトレーニングで負傷し、右前腕を骨折。これにより開幕戦に参戦することは叶わない状況に。さらに2月16日と17日に開幕戦の地であるオーストラリアのフィリップ・アイランドで行われた公式テストではディクソンがターン11でクラッシュ。左手首の骨折と肘の打撲と診断され、こちらも開幕戦への参加が不可能になってしまった。
チームは代役に長島哲太が開幕戦に出場することを発表している。少しずつポテンシャルを上げてきているホンダだけに、開幕戦は長島の力走に期待したいところだ。
ジョナサン・レイが引退し、シートがひとつ空いたヤマハワークスのPATA MAXUS YAMAHA。ヤマハのエースとなったアンドレア・ロカテッリのチームメイトには、HONDA HRCから移籍したシャビ・ビエルヘが務めることになった。

PATA MAXUS YAMAHA
www.worldsbk.com2021年からSBKに参戦しているロカテッリは、着実に力を身につけ、2025年第3戦オランダでは悲願のSBK初優勝を達成した。ヤマハに合わせることができなかったとはいえ、あの6連覇を達成したレイを差し置いての活躍ぶりに今季に期待を寄せる声も多い。
ビエルへもレクオナ同様優勝経験はないものの、HRCを立て直してきた実力者。新天地となるヤマハで自身初優勝を狙う。
サテライトチームでの注目はなんといってもアルバロ・バウティスタだろう。SBKで2度のタイトルを獲得したバウティスタはドゥカティのファクトリーチームであるARUBA.IT RACING - DUCATIから昨年までペトルッチが在籍していたBARNI SPARK RACING TEAMに移籍。
現役最年長ながらまだトップレベルの速さを誇るバウティスタとサテライトながら高い戦闘力を誇るBARNI SPARK RACING TEAMのパッケージは強力。今シーズンのタイトル争いをかき回す存在になるだろう。
ドゥカティのその他サテライトチームは、ELF Marc VDS Racing Teamはサム・ロウズが継続参戦、Team GoElevenは実力者であるロレンツォ・バルダッサーリ、Motocorsa Racingには若手のアルベルト・スッラが新加入する。
ヤマハのサテライトチームは、GYTR GRT Yamaha WorldSBK Teamはレミー・ガードナーが継続で参戦し、昨年のスーパースポーツ王者であるステファノ・マンツィが昇格。Yamaha Motoxracing WorldSBK Teamもバハティン・ソフォグルとマッティア・ラトの若手コンビとなった。
BMWのサテライトであるMGM Racing Performanceにはタラン・マッケンジーが新加入。唯一カワサキのマシンを使用するKawasaki WorldSBK Teamはギャレット・ガーロフが継続参戦となった。
タイトル本命はやはりブレガ?
ディフェンディングチャンピオンであるラズガットリオグルがMotoGPに転向したことで、タイトルを争っていたブレガがシーズンを引っ張ることが予想される。実際開幕前テストでもトップタイムを記録するなど今季のタイトルコンテンダーであることは間違いない。
開幕戦ではマシン特性的にドゥカティが優位であることがテストの結果を見てもわかる。ブレガが圧倒的に有利だが、新加入のレクオナがどれだけ喰らいつけるかに注目だ。
技術面では、燃料流量制限が46.0kg/hに厳格化され、エンジン出力の平準化が加速。これにより、ライダーの純粋なタイヤマネジメント能力が勝敗を分けるレースが増えるだろう。
新開催のハンガリー大会を含む全12戦、誰が勝ってもおかしくない予測不能な戦いが幕を開ける。


