2025年12月16日、HondaがAstemoの連結子会社化を決定。株式保有比率を従来の40%から61%へ引き上げ、グループの中核サプライヤーとして強力なタッグを組むこととなりました。今以上に電動化やSDV((ソフトウェア・デファインド・ビークル))といった次世代技術の開発スピードを劇的に上げることが期待されます。

画像: ライディングの「安心」が「楽しさ」に変わる
AstemoがEICMA2025で示した二輪モビリティの未来

では、そのAstemoはどんな「未来」を描いているのか? 世界最大級のバイク見本市「EICMA 2025」のブースでは、「Mobility Beyond」をテーマに、ライダーの感性を刺激し、安全性を飛躍的に高める数々の先進技術を公開しました。会場で注目を集めた主要技術の詳細をレポートします。

「斜め前のバイクも見逃さない」ADASはここまで進化している

まず注目したいのが、二輪車用ADAS(先進運転支援システム)の進化です。アステモは「交通事故ゼロ」を目指し、カメラセンシング技術と車体統合制御を組み合わせたシステムを開発していますが、その精度が飛躍的に向上しています 。特に2025年モデルで驚かされたのは、「オフセット走行」への対応です 。

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マスツーリングなどでは、車線内で千鳥走行(斜めに連なって走る)をすることが多いですが、従来のシステムでは認識が難しいケースがありました。しかし最新のACC(アダプティブ・クルーズ・コントロール)は、カメラが高い認識精度を発揮し、斜め前方の二輪車との位置関係を正しく認識。安心して追従走行ができるようになりました 。

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さらにユニークなのが、「HWE(Haptic Warning by Engine)」という新機能 。これは、点火カットなどのエンジン制御によって意図的に車体を振動させ、ライダーに危険を知らせるというもの 。
インカムの音やメーターの表示だけでなく、「お尻や手に伝わる振動」で直感的に警告してくれるのは、ヘルメットを被るライダーにとって非常に有効な手段と言えそうです 。

足つきへの不安を解消する「SHOWA EERA® Gen2」

足まわりのニュースで一番のトピックは、電子制御サスペンション「SHOWA EERA®」が第2世代(Gen2)に進化したことです 。

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<SHOWA EERA®Gen2の技術 その1> 
「減衰力を可変するアクチュエーターの制御基板をサスペンションユニットに組み込むことで、別体のサペンション制御用ECUを廃止。配線の簡素化と軽量化も実現」

センサーおよび減衰力制御バルブの構造を改良することで、減衰力可変性能の向上と部品点数削減を実現しました。従来のストロークセンサーコイルの機能をフレキシブル基板によって可能にし、制御用ECUをサスペンションユニット自体に内蔵 。これにより配線がスッキリし、搭載スペースの狭い小排気量車やスクーターにも電子制御サスが導入しやすくなりました 。

<SHOWA EERA®Gen2の技術 その2>
「制御基板にGセンサーを組み込むことで、ストロークセンサーを廃止可能なシステム構成とし、コスト競争力を向上」

リアサスペンション用と同じコンセプトと技術をフロントフォークにも拡大して、Gセンサー(加速度計)も搭載可能な小型ECUを、フォークトップ部やアクスルホルダ-部に搭載。ユニット内にGセンサーを内蔵することで、高価なストロークセンサーを廃止しても路面状況を推定できるようになり、コストダウンも実現しています 。

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<SHOWA EERA®Gen2の技術 その3>
「油圧ギアポンプ+モーターを用いて車高調整機能であるHEIGHTFLEX®の高頻度高速動作を実現」

そして、多くのライダーが興味を持っているであろう機能が「HEIGHTFLEX®(ハイトフレックス)」です。これは、停車を予知すると自動で車高を下げて足つきを良くし、走り出すと元に戻るという夢のようなシステム。走行再開後、元の車高に戻るまでの時間は約6秒 。信号待ちのたびにスムーズに車高が下がり、走り出せば即座に本来のハンドリングに戻ります。大柄なアドベンチャーバイクも、これなら躊躇なく選べそうです。

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展示されていたモデルには「ギヤポンプ駆動 サスペンションスプリングアジャスター」を前後サスペンションに採用しHEIGHTFLEX®機能のメリットを最大化。より素早い動作が可能になりました 。インナーチューブ径43mm以上の倒立式SFF(セパレート・ファンクション・フロントフォーク/Separate Function Front fork)に搭載ができ、電子制御技術『SHOWA EERA® Gen2』のフロントフォーク用ユニットとの連携搭載も可能です。「ギアポンプ駆動」は、HEIGHTFLEX®をさらに進化させ完成車メーカーやユーザーにさらなるメリットを提供できる技術と言えます。

レース直系! 2モーター制御スロットル&カーボンブレーキ

画像1: レース直系! 2モーター制御スロットル&カーボンブレーキ

世界初! センター配置2モーター電子制御スロットル(ETB)
CBR1000RR-Rにも採用され、鈴鹿8耐の勝利にも貢献したこの技術 。並列4気筒エンジンの真ん中に2つのモーターを配置し、左右2気筒ずつを独立して制御します 。これにより、アクセルを少し開けた時のトラクションコントロールが緻密になったり、減速時のエンジンブレーキを最適化したりと、サーキットから公道まで「操る楽しさ」が格段に向上しています 。

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機能協調設計ブレーキ&再生カーボンレバー
レース用パーツでは、「SHOWA」と「NISSIN」、双方の開発メンバーが共同解析を行い、フロントフォークのアクスルホルダーとブレーキキャリパーを一体的な形状で設計する「Harmonized Function Design」が第2世代へ進化 。

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冷却フィンを深く刻むことで冷却性能を約6%高めつつ、従来比で約136gもの軽量化を達成しています 。また、環境への配慮として、アステモ初となる「再生カーボン(CFRTP)」を使用したブレーキレバーも展示されました 。アルミ製に比べて重量は44%軽く、製造時のCO2排出量は75%も削減 。エコで高性能、まさに次世代のレーシングパーツです。2026年に全日本ロードレース選手権/JSB1000クラスでの実戦投入を目指しています。

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オフロードキャリパーの熱対策
モトクロスなど過酷な環境で使われるオフロード用キャリパーも進化しています 。ピストンの素材をアルミから「鉄」に変えることで熱容量を確保し、熱ダレによるレバータッチの変化を50%も低減させています 。

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左手でコントロールするリアブレーキ
近年、二輪車レースにおいてリアブレーキのニーズが高まっており、スクーターのように左手で操作するリアブレーキ・マスターシリンダーや、サムブレーキと呼ぶ左手親指で操作するものまで、ライダーやチームの多様な要望に応える、さまざまなバリエーションのリアブレーキ・システムを構築しています。

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今回のEICMAで展示されたスケルトンシャシーに装着したのはスクータータイプと呼ぶ、左手でコントロールするリアブレーキ。同時にフット・ブレーキも使えるようにセットアップしています。FIMスーパーバイク世界選手権(WSBK)を戦うホンダのファクトリーチーム/Team HRCが、同システムを採用しています。

画像7: レース直系! 2モーター制御スロットル&カーボンブレーキ

仮想ではなく、すでに進化し始めているこれらAstemoの技術。市販車にフィードバックされるスピードは今後さらに加速することでしょう。「安心」を提供するADASから、「快適」を生むサスペンション、そして「興奮」を支えるレース技術まで。新生Astemoが創る未来の走りに期待せずにはいられません。

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