文:宮﨑健太郎(ロレンス編集部)
※この記事はウェブサイト「ロレンス」で2025年5月1日に公開されたものを一部編集し転載しています。
アメリカ市場などでは、メーカーによる報奨金プログラムは割とポピュラーです
洋の東西を問わず、昔からモータースポーツはお金のかかるものです。タイヤ、燃料、オイルなどなどの消耗品代、メンテナンスやチューニングなどの費用、そして参戦費用や遠征費用と、各種支払いに頭を痛めるのは世のプライベーターたちの常なのが現実でしょう。
モータースポーツ振興のため、メーカーが参加者のために用意する支援策にはいろいろありますが、報奨金プログラムはその代表例のひとつといえます。アメリカ市場でのホンダの「レッド ライダー リワード」やカワサキの「チーム グリーン レーサー リワード」はそれぞれの競技車両ユーザーを対象にしたものであり、ロードレース、モトクロス、フラットトラックなどの各種競技で、優勝や上位入賞をしたユーザーに報奨金を支払うものです。

40年以上の歴史をもつカワサキの「チーム グリーン レーサー リワード」は、同社のKXシリーズ、ニンジャシリーズ、そして4輪のサイド バイ サイドで競技に参戦するユーザーが対象のプログラムです。登録し、承認されたイベントで好成績をおさめると、成績に応じた報奨金がゲットできます。
www.kawasaki.comこれら報奨金プログラムはメーカーがライダーに対する投資でもあり、ひいてはモータースポーツの未来に投資するものともいえるでしょう。ともあれ万年金欠のプライベーターたちにとっては、お金の支援ほどありがたいものはないと思います。
残念ながら、日本市場は対象外・・・となっております
スターク フューチャーがこのたび用意した報奨金プログラムは、大メーカーであるホンダやカワサキのそれに比べるとファンド総額がひと桁少ない200万ドルですが、主要製品が同一ベースの電動モトクロッサーおよび電動エンデューロバイクのみで、創立してそんなに経っていない新興メーカーであることから、十分頑張ったものといえます。
この報奨金プログラムはライダーだけでなく、シリーズ主催者やプロモーターを対象としているのが特徴で、レースのエコシステム全体に利益をもたらすことも考えているのがユニークな点です。登録は公式サイトに車体番号と、参加イベント詳細を入力することで完了します。
気になる対象市場はアメリカ、オーストラリア、スペイン、フランス、スウェーデン、カナダ、イタリア、オランダ、ベルギー、ノルウェー、オーストリア、イギリスの12カ国で、残念ながら日本は含まれておりません・・・。

2024年、英国アリーナクロス選手権を走る3台のスターク フューチャーの電動モトクロッサー(19番ジャスティン ボーグル、155番ジャック ブルネル、170番ヤニス イルスチ)。内燃機関搭載車を相手に、FIM(国際モーターサイクリズム連盟)承認イベントのタイトル獲得は、同社が初めて成し遂げた快挙でした。
www.starkracerewards.com2023年10月に開催された「D.I.D 全日本モトクロス選手権シリーズ 第8戦 埼玉トヨペットCUP」では、電動モトクロッサーのホンダ CR ELECTRIC PROTOがトレイ カナードのライディングによってスポット参戦した例があるので、日本でスターク フューチャーを走らせるプライベーターがいたら面白いのに・・・と思います。ホンダ、カワサキ、ヤマハ、スズキ・・・ビッグ4のお膝元である日本のイベントで、スターク フューチャーが活躍したらその宣伝効果はかなり高いと思うのですが・・・。
まぁ今のところ日本市場は、スターク フューチャーにとって重要な市場という考えはないのでしょうね。欧州圏以外はモトクロス人気が高いアメリカとオーストラリアのみ、という判断は、ビジネスの観点からすれば納得できるものです。新たな報奨金プログラムの効果によって、どれだけスターク フューチャーで競技参加するユーザーが増えるのか・・・? 今後の成り行きを注視したいです。
文:宮﨑健太郎(ロレンス編集部)