これまで巡った神社の数は1万数千社を超えるという神社ソムリエの佐々木優太が、バイク好きのゲストにぴったりの神社へとご案内しているこの連載。今回は“鉄人”の愛称で知られるバイクツーリングの第一人者であり、“生涯旅人”として現在も走り続ける賀曽利 隆さんの登場です!
まとめ:齋藤ハルコ/写真:森 浩輔
※神社境内での撮影は、特別な許可を得ています。
※この記事は、月刊『オートバイ』2023年12月号に掲載したものを一部編集して公開しています。

賀曽利 隆さん×佐々木優太 開運ツーリングトーク

画像: 「いつも走ってる間はどんなことを考えてますか?」(佐々木優太) 「さあ次はどこに行こうか? それしか考えてない(笑)」(賀曽利 隆)

「いつも走ってる間はどんなことを考えてますか?」(佐々木優太)
「さあ次はどこに行こうか? それしか考えてない(笑)」(賀曽利 隆)

目標は走行距離200万kmと80代で日本一周の実現!

佐々木優太(以下、佐々木) 今日は北海道ツーリングからお戻り直後でお疲れのところ、ご出演いただきありがとうございます。ひとつ驚いたのが、走行距離が22万kmを超えるVストローム250はETCが付いていないんですね。

賀曽利 隆(以下、賀曽利) こうした撮影以外、基本的に高速道路は使わないですね。もちろん北海道も一般道を自走で行きました。Vストロームの走行距離22万km達成は、美唄市でしたよ。

佐々木 ちなみに、いままでの生涯走行距離は何kmくらいなんですか?

賀曽利 いま182万kmを超えたところで、200万kmを目指してます。

佐々木 200万km! よく聞かれると思いますが、それだけ走ってると、走行中は何を考えているんですか?

賀曽利 さあ、次はどこ行こうかと。

佐々木 格好良すぎます! そして今は日本の全式内社巡りを目標にされていて。賀曽利さんはその前に全国の一宮巡りを達成されましたが、一宮巡りを始めたのはなぜだったんですか?

賀曽利 僕は何度も日本一周を繰り返してますが、バイクで旅を続けるうちに、47都道府県で見るよりも、旧国で日本を見た方が全然おもしろいなと思い立ったんですね。やっぱり〝県〟じゃなくて〝国〟の感覚が、日本人のDNAには深く残ってると思う。僕は30代から日本一周を初めて、40代、50代、60代、70代と続けてきましたが、全国の一宮巡りを始めたのは50代の日本一周です。日本の旧国を巡るのに、その国でいちばん社格の高い一宮は非常に良いテーマになると思いました。

佐々木 やはり探究心が凄いですね。

画像: 賀曽利 隆さん×佐々木優太 開運ツーリングトーク

賀曽利 でも一宮って必ずしも一国一社じゃなくて、国によっては複数社あったりする。全国の一宮を徹底的に洗い出し、すべて参拝するまでに、結局20年くらいかかりました。最後まで残った一宮は、越中国一宮の雄山神社(富山県)。それから、出羽国一宮の鳥海山大物忌神社(山形県)でした。

佐々木 どちらも山頂にある神社ですね。だから冬は行けないし、道路がないので徒歩でしか行けない神社です。

賀曽利 雄山神社は標高3003mの立山山頂に建つ神社ですから、最後はヒーハーしながら必死でしたよ。大物忌神社も鳥海山の山頂にありますし。

佐々木 どちらも『里宮』という、山頂まで登れない人のための神社がちゃんとあるんですけどね。ちなみに僕は里宮に参拝でOKと考えます(笑)。

賀曽利 普通はそうですよね(笑)。でも私のカウントだと全国の一宮は107社あって、達成したのは2年前。自分の足で登れるギリギリのタイミングだったと思います。その後「全式内社巡り」を新しい目標に掲げたのも、神社は高台や山頂にあることが多いので、参拝時に石段や山道を登って足腰を鍛えれば、もっとバイクに乗り続けられるぞという狙いがありました。

佐々木 さすが過ぎます! そしてさすがといえば、今回、賀曽利さんが参拝したいとおっしゃった神社のセレクトには本当に驚きました。まず寒川神社は、日本唯一の八方除の御神徳を謳う神社で、全国四方八方に出かけられる賀曽利さんにピッタリ。しかも寒川神社は「大難は小難に、小難は無難に、そして吉事は最大に」という八方除なんですね。
そして賀曽利さんが毎年初詣を欠かさない比々多神社は、国土を創り、豊かにした神様をお祀りしていて、ライダーの安全を護るヘルメットをイメージさせる『冠大明神」の称号を持つ神社です。日本中の式内社を巡ることが目標の賀曽利さんが、意識せずとも、ご自身の旅にあやかれる2社をピンポイントで選んだことに、神社ソムリエとしても賀曽利さんと旅との深い結び付きを感じました。

賀曽利 いやぁ1万社を巡った佐々木さんの言葉は、重みがあり嬉しいです。

画像21: 旅の鉄人・賀曽利 隆さんとゆくバイク旅【神社ソムリエ・佐々木優太の開運ツーリング】
画像22: 旅の鉄人・賀曽利 隆さんとゆくバイク旅【神社ソムリエ・佐々木優太の開運ツーリング】

佐々木 ところで全然話は変わりますが、僕、気になってることがあって。賀曽利さんは3人のお子さんがいらっしゃいますが、僕も同じく3人の子供がいます。お子さんが小さい時もずーっと旅を続けていて、「子供に会いたい」と思う時はなかったんですか?

賀曽利 あ、写真持ってましたから。

佐々木 あはははは! すごい答えが返ってきた(笑)! でも小さい子供はぐんぐん成長するじゃないですか。

賀曽利 う~ん…どっちかというと、妻の方に会いたかったですね。その妻にはよく「あなたはいいわよね。好きなことだけして」とは言われましたけど。まあうちの子供達は全員、小さい頃から「お父さんは家にいない人」ってイメージを持ってましたからね。だから妻は、子供を怒る時は「そんなことしてたら、お父さんみたいになっちゃうわよ!」って言ってました(笑)。その効果か、うちの子供達は本当に偉くて、受験でも誰も浪人しなかったんです。ただ教育費は全額僕の担当だったので、3人同時に大学に通っていた頃はキツかったですねぇ。ストレスで心臓発作になりましたから(笑)。

佐々木 笑いごとじゃないです! でも僕も最近、子育てにかかるお金にすごくドキドキしています(笑)。

賀曽利 そのせいで50代の日本一周は1年遅れてスタートしたんですが、いざバイクで旅に出たら、やけに心臓の調子が良くなった(笑)。だからね、佐々木さんもストレスで体調に影響が出る前に、日本一周に行った方がいいよ。

佐々木 そのくらい開き直った方が、健康にはいいわけですね(笑)。

賀曽利 そう。だって日本中の神社があなたを待ってるじゃないですか! それに、やりたいことはまず口に出すことが大事なんです。僕はいま、石にかじりついてでも80代の日本一周を絶対やりたいと思ってるけど、それを宣言することで、自分の気持ちも高まるんですね。全国の式内社巡りも東北、関東を終えて西日本編が始まったばかりで、あと何年かかるかなんて想像もつかない。でも「絶対にやり遂げる」と声に出すことが大事なんです。

佐々木 わかりました。今日は案内役の僕が、逆に賀曽利さんに元気をいただきました。ありがとうございます!

まとめ:齋藤ハルコ/写真:森 浩輔
※神社境内での撮影は、特別な許可を得ています。
※この記事は、月刊『オートバイ』2023年12月号に掲載したものを一部編集して公開しています。

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