オフロード用品専門店で聞いた林道ツーリング向けの持ち物
余計なものは持ちなくない三橋淳でありますが、さすがに私のスタイルを皆さんに広めるわけにもいかないので、きちんと紹介できるアイテムを集めてみました。
でも何にも持っていないので手元には何にもない。それではいっぱい揃っているところに行って揃えてしまおう! というわけでホンダCRF1100Lアフリカツインに乗ってやってきたのはここ「ダートバイクプラス」!
ダートバイクプラス
〒489-0005 愛知県瀬戸市中水野町2-30
TEL:0561-86-8295
お世話になったのは愛知県瀬戸市にあるダートバイクプラス。オフロード用品を取り扱う日本一のショップといっても過言じゃない品揃え。スタッフもオフロード好きが集まっていて、林道ツーリングライダーには心強い味方だ。
オフロードバイクに関する用品なら、ほぼ全部扱っているんじゃないかというオフロードの総合商社のダートフリーク直営のショップです。そんなダートバイクプラスの店長を務める寺尾店長に相談してみました。
「一般的に林道ツーリングに必要なアイテムを紹介してほしいんだけど、ざっとリストアップしてもらえないですか?」というリクエストに「いいっすよ!」と快く引き受けてくれた寺尾店長。あっという間に目の前に揃えてくれました。
【ダートバイクプラスがおすすめする林道ツーリングの基本装備】
① 車載工具Bセット
スパナセットに六角レンチ、ペンチなど。AセットはないのにBセットというのは謎。
② モンキーレンチ
何かと便利。
③ 虫回し&コード
チューブのエアを抜くときのバルブを外すもの。またワイヤーがついているのでバルブをリムの穴に通すときに使うのが楽。
④ T型ボックスレンチ
これ一個でハンドル周りのボルト類に使える。
⑤ タイヤレバー&レンチ
タイヤ交換に使うレバーと、ホイールを外すボルトナットを外すサイズの工具がセットになっている。
⑥ チューブ前後
パンクしたとき用。チューブレスなら専用キットを用意する。
⑦ エアゲージ
空気圧見るのに必要。
⑧ エマージェンシーサイドスタンド
パンク修理時にタイヤを浮かせるためのつっかえ棒。
以上がダートバイクプラス寺尾店長オススメのアイテムだ。
店長一つだけ忘れているアイテムがあります。そう、上のリストにないもの。さてなんでしょう?
答えはこちら、空気入れ!
これがないとパンク修理はできません。自転車用でもバイク用でも構わないが、大事なのはアメリカ式のバルブ用を用意すること。またガスカートリッジタイプもあるが、これは使い切りなので、万一入れるのに失敗したり、2回パンクしたらもう空気は入れられない。その辺の覚悟を持って使うといいでしょう。
寺尾店長のアイテム選びを解説すると、ちょっとした工具とパンク修理のための道具で占められている。
つまり林道ツーリングにおいてパンクこそが、もっとも警戒しなければいけないトラブルということでもあるわけだ。
その中でも寺尾店長の場合は、チューブを前後持つことがポイント。エマージェンシーを考えたらフロントチューブだけで前後使うことはできる。サイズは違うけれども、緊急事態と考えれば十分に走ることができる。
でも帰ってきたら結局またチューブ交換をしなきゃならない。そう考えたら「初めからちゃんと前後持っていた方がいいよね?」という考え方だ。
「パンクならパッチを張ればいいじゃないか」という意見もありそうですが、現在はパッチで直すという修理は、スポーツバイクではあまりやらない。パッチをうまく貼れなかったり、またチューブが裂けるなどのトラブルではパッチ修理では追いつかないからだ。だからパンクにはチューブ交換が現在では一般的だ。
さらに、サイドスタンドを持っていくのも作業性アップにつながる。これはどういうアイテムかっていうと、こう使うのです。
こうすればタイヤが浮くので、ホイール脱着するのに便利!
以上のアイテムを持っていれば安心なのは間違いない。林道ツーリングのライダーが持っているアイテムも、多少の違いこそあれ大体こういうセットになるはずだ。
ただし! これはパンク修理ができる人が前提の持ち物である。オンロードバイクならチューブレスというのもあるが、まず人力でタイヤを外す、なんてことはできないはず。だからやったことがないというライダーもいるだろう。
オフロードバイクはチューブタイヤだからコツを掴めば人力でも外すことはできるが、やったことがなければ林道でパンク修理などまず無理だ。私だって、高校生の頃にバイクショップの店長に教えてもらって初めてタイヤ交換したときは1時間以上かかった。そのくらい大変なのだ。
ましてや今の私のバイクはアフリカツイン。軽量オフロードバイクと違って、リム幅が太いしタイヤも硬いから自分でタイヤ交換なんてしたくない。バイクのレースをやっていた頃は、確かに10分かからず交換できたけど、それも遠い昔の話。自分でやったらリムを傷つけちゃうし、やりたくない。
パンク修理をしたくない&できない人向けの装備と心構え
というわけで、私と同じ「パンク修理をしたくない」もしくは「できない」という方にオススメするのがこのラインナップ。パンク修理道具さえ諦めてしまえば、この程度のアイテムで十分ともいえる。
① 軍手
汚れたバイクを触るときなどに使う。ライディング用グローブを汚さないためにも。
② ガムテープ
ぐるぐる巻きにすれば、かなりいろんなものをくっつけられる。
③ タイラップ
パーツなど何か落ちたときに固定する。
④ T型ボックスレンチ
ハンドル周りのボルト回しに使う。
⑤ エアゲージ
万一タイヤの空気を抜くときなどに使う。
転んだときに脱着したり折れたりしたものを、とりあえず車体にくくりつけるためにあるガムテープとタイラップ。これらは修理じゃなく、落ちないようにするためのもの。ただ、ガムテープが思いのほかスペースを取るので、古い方法だが、自分で撒き直しておくと小さくできる。
唯一入っている工具は、寺尾店長が選んだものと同じT型ボックスレンチ。ハンドルの取り付けボルトやレバーホルダーなどのボルト用に使う。というのも、転倒時にダメージを受けるのがハンドルまわり。ハンドルが下がった、レバーが動いた! というときのために、この工具を使って元の位置に戻す。オフロードでは転ぶことは避けて通れませんからね。
でも今のバイクは、よっぽど派手な転び方をしない限り壊れません! 立ちゴケで壊れてしまう主なパーツはレバーとバックミラーですが、ミラーはこの際諦めましょう。街に降りてから買い直せばいいので、家に帰るにあたっては緊急度は低いといえる。
問題はレバー類。今では可倒式のカスタムレバーが売っているし、またハンドルに取り付けるガード類を追加することで、ほぼほぼトラブルはなくなるでしょう。
つまりどういうことかというと、林道走行するための準備を車両側に施しておけば、壊れない! ということ。今のバイクはそれほどに良くできている。
そのため、きちんと整備した状態であることも大事。林道でのトラブルのほとんどは整備不良が原因ともいえる。自分で整備する自信がなければ、ショップにお願いしましょう。「林道ツーリングに行きますからきちんと見てください」と。
そうすれば相手はプロですからしっかり見てくれるだろうし、それで対処できないショップは、あなたの林道ツーリングをきちんとサポートできるお店ではないということだから、さっさと乗り換えましょう。
それでも立ちゴケ程度で走行不能に陥るようなバイクであれば、それはオフロードバイクとはいえない。これも林道ツーリングに適したものに乗り換えましょう。