1924年に創業した日本が誇る名門ブランド、メグロ。そのメグロが50年以上の時を経て、再び公道を走りだした。その名もメグロK3。往時のDNAを継承する空冷バーチカルツインのサウンドが、工芸品と呼ぶにふさわしい上質な造形が、いま令和に蘇る。
文:宮崎敬一郎/木川田ステラ/写真:柴田直行

カワサキ「メグロ K3」インプレ・解説(宮崎敬一郎)

画像: Kawasaki MEGUO K3 総排気量:773cc エンジン形式:空冷4ストOHC4バルブ並列2気筒 シート高:790mm 車両重量:227kg メーカー希望小売価格:127万6000円(税込) 発売日:2021年2月1日

Kawasaki MEGUO K3

総排気量:773cc
エンジン形式:空冷4ストOHC4バルブ並列2気筒
シート高:790mm
車両重量:227kg

メーカー希望小売価格:127万6000円(税込)
発売日:2021年2月1日

往年の名車が備えている重厚感を堪能できる一台

W800がオマージュする、かつての名車W1~W3シリーズ。そのベースとなったのは、カワサキが吸収合併したメグロの「スタミナK」というモデルだった。

そのスタミナKはボクが生まれた頃のバイクで、ボクが免許を取る頃には既に「クラシックバイク」だった。今回登場したメグロK3は、W800をベースに、そんな「メグロ」の趣ある姿をリスペクトしたモデルだ。

画像1: カワサキ「メグロ K3」インプレ・解説(宮崎敬一郎)

W800ストリートの大型アップハンドルを採用し、外装のカラーリング、意匠装飾が違うだけ…それだけのはずなのに、その雰囲気は随分と違って見える。旧車が醸し出す、独特の重厚感という点において、このK3、Wシリーズと比べてもそれがもっとも濃厚。他のバイクとはちょっと違う、渋みのある雰囲気で手間をかけて装飾され、上質な仕上がりを誇っている。

メッキパーツは多過ぎず、バランスよく配置されてイヤミがないし、塗装の質はバイク界でトップレベル。トドメはタンクに付いたメグロのエンブレム。まるで過去からタイムスリップしてきた乗り物のようだ。でも、その車体はW800がベース。走りは現代のクオリティでまとめられている。

画像2: カワサキ「メグロ K3」インプレ・解説(宮崎敬一郎)

W800ストリート譲りの大きなアップハンドルは、横風にあおられると、身体の揺れを車体に伝えてふらつきやすい。こんなときはスタンダードのW800が採用するコンチハンドルの方が節度を感じられていいが、反面、ハンドルでバイクを切り返すような扱い方をすると、K3はまるで400クラスのような軽いフットワークもできるし、荒れた路面での押さえも利く。街中からクイックな峠道まで、このバイクを操るのは痛快だ。

画像3: カワサキ「メグロ K3」インプレ・解説(宮崎敬一郎)

前後サスはこのクラスのネイキッドの中でもソフトな味付けで、硬い衝撃を伝えないタイプの乗り心地の良さが特徴。エンジンのフィーリングやこのサスなどから、もっとも快適なクルージング速度は70〜80km/hくらい。乗り心地がよく、風圧も気にならないし、エンジンは歯切れのいいパルスを発し続け、イヤな振動も一切ない。

ただ、唯一残念なのは、趣のあるキャブトンマフラーが生み出す波動を愉しめるのは、このK3と並走する仲間かタンデムシートにいるライダーで、オーナーにはそれがあまり聞こえないことだ。

画像4: カワサキ「メグロ K3」インプレ・解説(宮崎敬一郎)

ちなみに100km/h・トップ5速の回転数は約3600回転。ちょっと振動が出始めるが、角の丸い振動で、ツインらしいビートを味わえる。これが4000回転強の120km/hになると面白かったビートも振動も消え、紳士的なクルージング状態になるが、上体がほぼ直立のライポジゆえ、結構風にあおられるのでロングランはやや疲れる。

このK3は、そのいでたちだけでなく、走りにも穏やかさやのどかさといった「趣」がある。たぶん、それは旧き良き時代の「バーチカルツインの愉しさ」と同じものではないだろうか。試乗後、少しリフレッシュした気分になった。

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