ベータが元気だ。元来より、圧倒的な「扱いやすさ」で定評があったエンデュランサーが、2020年モデルとして磨きをかけてフルモデルチェンジ。Off1.jpではこのベータの好評ぶりに対して長期取材を試みた。ミラノ郊外に位置する、ベータファクトリー取材からはじまり、20モデルの和泉拓徹底試乗、そしてフィレンツェ郊外にあるベータの本社工場でアッセンブルを撮影。見えてきたのは、メジャーメーカーにはない圧倒的な「職人気質」と、物作りへの姿勢だ。
まずは20モデルを俯瞰する。軽さとスタビリティを向上させた共通シャシー
メーカーにもよるが、現代のオフロードバイクは排気量によって大きくシャシーを変えることは稀だ。日本のメーカーの場合は、450ccで車体を作り込み、250ccでエンジンを作り込む、と言われているのでフルモデルチェンジの時期は450と250で1年違いであることが多い。だがベータに関しては、そもそも4ストに250ccレンジがなく、しかし全車種では8車種もラインアップを揃えている。
この特殊な開発状況を背景に、ベータはこの2020年モデルのフルモデルチェンジで、すべての車体を一新してきた。本社は、こう表現している。「エンジン開発チームのまったく新しい4ストエンジンと、シャシー開発チームのまったく新しいジオメトリー&剛性」と、ここまではエンジンの進化を2スト&4ストでインプレッションしてきたわけだが、車体についてまとめてみよう。
定評のあった19モデルまでの基本骨格を踏襲するものの、全面的に見なおしがかけられた20MYのフレーム。ねじれ方向の剛性は15%上がっているが、和泉によれば「それで曲がりづらくなったりする感覚はないですね」とのこと。
フレームのボトムでの計測で20mmスリムになっているとのことだが、和泉が着目したのはその点だった。
「フレームがスリムになったこと自体は感じ取れないのですが、その分ステップを踏める幅が広くなったようなフィーリングです。そのことが関係するのかわかりませんが、ステップ加重で車体を寝かせようとすると、19モデルよりも明らかにヒラヒラ感があるのを感じます。2Tは、さらに内向性が高くて、さらにその傾向を感じますね。外側を踏んでいるわけでもないのに、ヒラヒラ感がある。
ステップって外と内を真下に入力しているわけではありませんよね、横方向にも入力をしているものです。ステップを滑らす…そんなフィーリングでしょうか。スキーのボーゲンみたいな感じで、ヒザでマシンを股下で遊ばせた時に、ものすごく軽さを感じるのです」と言う。
通常は樹脂カバーに隠れているプレートだが、ピボットの通るこちらのプレートを頑強にすることで、フレーム自体の頑強さを追い込み、さらにフレーム自体の軽量化にもつながった。
シャシー開発チームはこのプレートに関して推している。鋳造プレートによるフレーム自体の「信頼性」の向上を目指した、と。ベータチームでは「マイクロキャスト」と説明されており、フットペグのプレートと、リアサスペンションの受け側に使われているとの説明だ。