伝統と個性のあるメーカーだから造れる「魅力」あふれる1台

現代のV7シリーズが敬意を持ってオマージュしているのは、往年のモト・グッツィの名車「V7スポーツ」だ。このV7スポーツが手作りされ、その性能が欧州のライダーやレーサーに認められて量産車として世に出たのが1971年。しかし、そのV7スポーツの出発点となったモデルがある。

それが67年からアメリカ市場に投入された「V7」だ。姿はクルーザーに近く、重厚長大ながら運動性能に優れ、加えて耐久性がある、非常にタフなモデルだったようだ。

今回登場したこのアニヴェルサリオは、世界で1000台限定となるV7の50周年を記念したモデル。ベースとなっているのは、スポークホイールなどを採用する豪華グレードの「クラシック」。キャストホイールを採用するベーシックモデルの「ストーン」とエンジンやフレームのスペックなどは共通だが、足回りのセッティングは異なるようだ。フロントも違うはずだが、目視で確認できるリアショックのスプリングについては、ストーンより一巻き多いソフトなものがチョイスされている。

美しいメッキタンクやタックロール入りのシート、それに高級感あるアルミリムを組み込んだスポークホイールという、高級感あるルックスも大いに目を引くが、足回りの変更で、かなりしっとりとした乗り心地になっているのが特徴。ストーンよりグレードの高い快適な走りをする。

先の「レーサー」の試乗ページで紹介したグッツィらしい「味」のある操縦フィーリングなどもしっかりと楽しめる。このハンドリングは、かつての耐久レースや苛酷な公道レースでV7を欧州の雄たらしめた原点。

このレイアウトのエンジンを搭載することで、フロントにしっかりと加重できて、かつ無用に重心が下がらない。これでフロントには絶対的な節度が生まれ、まるでレールに乗っているかのような高速安定性を発揮しつつ、運動性も確保しやすい。グッツィの栄光は、縦置きクランクのVツインあっての、V7スポーツあっての栄光だったのだ。

これは今のモト・グッツィにも連綿と受け継がれている。ただ、車体がコンパクトで、かつてのテイストをもっとも濃厚に受け継いでいるのがV7シリーズなのだ。

このV7シリーズは、ビンテージでオシャレな外観、雰囲気を魅力とするネオクラシックモデルたちの中では比較的小柄な車格で、小柄なライダーや非力なライダーでも扱いやすい。個性的なハンドリングだが、感触こそユニークでも、決して敷居の高い、扱いにくいバイクではない。

単に50年分のヒストリーを背負っただけの記念モデルというわけではなく、綺麗でオシャレ、しかも誰にでも乗れる、味のあるバイク…そんな風に見たほうが、このバイクだけが持つ「良さ」がストレートに伝わるような気がする。

SPECIFICATION
全長×全幅×全高 2185×800×1110㎜
ホイールベース 1463㎜
最低地上高 NA
シート高 770㎜
車両重量 213㎏
エンジン形式 空冷4ストOHV2バルブV型2気筒
総排気量 744㏄
ボア×ストローク 80×74㎜
圧縮比 NA
最高出力 52HP/6200rpm
最大トルク 6.12㎏-m/4900rpm
燃料供給方式 FI
燃料タンク容量 21ℓ
キャスター角/トレール NA
変速機形式 6速リターン
ブレーキ形式 前・後 φ320㎜ディスク・φ260㎜ディスク
タイヤサイズ 前・後 100/90-18・130/80-17

PHOTO:南 孝幸

公式サイト

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