ひとえにバイク工場と言っても、できあがってきたパーツをアッセンブルするラインから、パーツを製造するファクトリーや、バイクを開発する研究室まで様々。今回、工場見学させていただいたのは、世界のホンダが抱える熊本製作所からすぐ近くにある「合志技研工業株式会社」およびその子会社「合志テック」だ。我々ダートバイクファンにとってわかりやすく言うと、アフリカツインのフレーム、マフラー、そしてCRF450Lのフレームパーツ、スイングアームなどを生産している。
こちらが、合志テックで生産しているCRF450Lの部品だ。
合志技研は、以前レーシングチーム「GOSHI Racing」の成り立ちを取材させていただいたばかり。こちらもぜひご一読を。
スイングアームができるまで
早速だが、スイングアームができるまでを見ていただこう。
仕入れた、アルミ材。スイングアームは、中が空洞の棒材からスタート。
いきなり想像しづらい機械を通す。この黒い穴の中に、スイングアームになる棒材が入っている。
中には、このようなジグが入っていて、車種にあわせた棒の「カタ」を棒材の空洞に差し込む。で、さっきの機械がアルミ材をたたいていくことで…
こうしてすぼまるわけだ。この加工をスウェージングという。
スウェージングできる工場はそんなに多くないことから、スイングアームは各社工法が異なる。ヤマハのYZ系なら水圧を利用して成型するハイドロフォーミングだし、KTMは鋳型で製造する。どれも一長一短メリットがあるが、スウェージングの場合、様々な長さや形状に変更できることや、軽量に生産できること、そして叩いて成型することで鍛造のような強さを得られることが利点だ。
この部材を、加工。
違う車種だが、部材同士を溶接でつなぎあわせる。
溶接されたままの、生々しいスイングアーム。美しすぎる溶接痕。
ベアリングの圧入部を削る工程。
こちらは、L独特の加工で、スイングアームの中にフォームを注入する機械だそう。
チェーンアジャスターなどをアッセンブルして、完了。
フレームは、各部パーツを作ってホンダで組み立て
CRF系のアルミフレームも、ここ合志テックの生産物。ただし、各部をつくって組み立てはホンダでおこなっている。
こちらはCRF用ではないけれど、合志テックがおこなっている検査。3Dのポイントで精度を測っているのだとか。
ハンドルもスウェージングで作るのだ
こちらも、CRFのパーツではないけど、合志技研で生産しているもの。テーパーハンドルの生産は、みているだけで面白い。
アルミの丸棒材をスウェージングしていき…
この複雑な工程を機械で自動に曲げていくことで、ハンドルバーができる。
これまた車種違いだが、すさまじく複雑なゴールドウィングのエキゾーストに関する部分溶接。溶接ロボットは、受け側・アームともに動き、とんでもなく複雑なプログラムが可能。
日本のものづくりは、本当にすごい…。