CT125ハンターカブのマフラーや、アフリカツインのスイングアームなど、様々なホンダ純正部品を製造する合志技研工業株式会社では、全日本モトクロスを舞台にこの5年R&Dを続けている。今回は全日本モトクロス第5戦九州大会をレポート

最低でも表彰台へ、大塚豪太は前進を続ける

2021シーズンよりGOSHI Racingの活動は自社のライダー石浦諒を起用するスタイルから、名門T.E.SPORTとタッグを組み大塚豪太を起用する方針へ変更。大塚は開発チームの熱気に触れて2022年、生活拠点を埼玉から熊本へ移す一大決心をした。彼らのホームコースは熊本県HSR九州であり、大塚にとっても第二のホームとなった得意のコースで今回は全日本モトクロスが開催される。社内外において、期待はいやが上でも高まるレースであった。

HSR九州は長年使用してきたレイアウトをこのたびドラスティックに変更。全体的なスピードか落ちるのは承知の上で、観客向けに見所の多いレイアウトに造成し直した。予選、大塚はこの新たなHSR九州で頭ひとつ飛び出す好スタートを見せ、富田俊樹、大城魁之輔に先を譲るも3位でチェッカーを受ける。

「最低でも表彰台へのぼりたい」かつてスポーツランドSUGOでその実績を手にしていた大塚は、後半戦に入り調子の良さが上向いてきたこともあって、高い目標を掲げるスタイルを崩さない。ヒート1、予選ほどはうまくいかなかったもののまずまずのスタートを切った大塚は、スタート後もうまくライダーをさばいて9番手あたりでの立ち上がり。レース序盤にうまくダッシュが効いたことで、追い上げて今季最高の5位でフィニッシュした。ヒート2も9番手から6番手あたりまであがったが、転倒で順位を下げてしまって9位。最終ヒートでは8位であった。

画像1: 最低でも表彰台へ、大塚豪太は前進を続ける
画像2: 最低でも表彰台へ、大塚豪太は前進を続ける

「悔しいの一言ですね。名阪での反省点を踏まえてバイクを用意してきて、バイクはすごく走るようになっていました。僕は高回転まで綺麗に回るようなセッティングが好みなのですが、実はその高回転に到達するまでのゾーンが大事なんだと気づいたんですね。中速でしっかり走れるような仕様にすることで、とてもいいフィーリングになりましたね。それと、今回は3ヒート制で1ヒート15分しかないわけで、よりスタートが大事になるのでしっかりテストを積み重ねてきました」

画像3: 最低でも表彰台へ、大塚豪太は前進を続ける
画像4: 最低でも表彰台へ、大塚豪太は前進を続ける

画像1: GOSHI Racing Story '22「熊本はこれまでの努力の結果が、形に表れたレースだった」
画像2: GOSHI Racing Story '22「熊本はこれまでの努力の結果が、形に表れたレースだった」

マフラーを変更、高速・中速域を煮詰めた仕様

画像1: マフラーを変更、高速・中速域を煮詰めた仕様

大塚がコメントするとおり、GOSHI RacingはHSR九州に合わせてマシンを作り込んできている。特に開発の主目的であるエキゾーストを仕様変更することで、低速・高速域を改善することを念頭においた。新生HSR九州はレイアウトの変更によってハイスピードのセクションが少なくなり、どちらかといえば高速よりも中速域が欲しいところだったが、もっとも大事だと開発陣が考えていたのはスタート直後のストレートの長さである。1コーナーまでの距離が長いため、2速でしっかり引っ張ることができる伸び感のあるフィーリングを作り込んだ。レブリミットは変更していないが、おおよそ出力にして1kwほど旧仕様を上回るものに変更しているという。ここまでパワーアップすると排気音対策に苦労しそうだが、さすが市販用マフラーのプロフェッショナルと言うべきか、前モデルよりも0.3dbほど上がっただけにとどまり、問題なく車検を通過できている。

また、高速域におけるパワーアップを狙うと低速域が痩せてしまうことも多いのだが、今回はそのようなネガを出すことがなく全域で向上できたのだという。

今季のGOSHI Racingではホンダが提供する純正システムでレースに臨むことにこだわっており、ECUはあくまでHRCで市販されているセッティングツールのみを使用。スタート専用のマッピングを作ることはできないのだが、スタートでクラッチミートする瞬間のマッピングは、エンジンに負荷がかかるレース時とは無関係のスロットル開度×エンジン回転域であるため、そこを利用して初速の乗せ方をECU側で作り込んだ。クラッチが繋がってしまえばそのゾーンから離れるため、あとはレース用のマッピングでマシンを前に押し出すようセットアップしていくわけだ。「ロガーをつけて調べてみると、大塚豪太はスタートゲートを乗り越える瞬間にスロットルをわずかに戻してしまう癖があります。フロントが浮いてくることを嫌うためなのですが、セッティングでフロントが浮いてこないようにし、大塚にはスロットルを戻さないよう指導する、マシン側とライダーの両方で初速部分の改善にアプローチしました。予選のスタートは、本人の好調加減とセッティングがうまくはまり、最高のスタートが切れました。決勝は僕が見るに、初速は問題なかったのですがシフトアップのタイミングが遅れたのではないかと推測しています」と開発の石浦諒氏は言う。

画像2: マフラーを変更、高速・中速域を煮詰めた仕様
画像3: マフラーを変更、高速・中速域を煮詰めた仕様

「レースの結果としては今季最高位を取ったこともあってまとまっています。内容はこれまでのうちでベストでした。レース序盤でペースが上がらずトップ陣を逃してしまうことがこれまでの問題だったのですが、休み期間中にトレーニング内容も見直したことがいい方向に働いたのかもしれません。

残りは2戦。次の関東大会はマフラーはそのままで行く予定です。事前テストでは本人のフィーリングも好調なので、ECUのセッティングもベース部分は変更せずに臨むことになると思います。路面が硬めなので空転を抑えるような調整をかけていく予定です」とのこと。

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