全日本ロードレース最終戦「MFJグランプリ」が終わりました。昨日までの好天とはうって変わって、朝から雨に見舞われてしまった鈴鹿サーキット。きのうまで晴れてたのになぁ、去年は晴れたのになぁ、なんて思いつつ、それでも全4クラスのチャンピオン決定戦は、熱戦に次ぐ熱戦。最後にはビッグサプライズな初優勝もあって、好レースが続いたMFJグランプリが幕を閉じました。
小室、長谷川のアタックを完封
最初のレースはJ-GP3クラス。中島元気vs岡谷雄太vs小室旭のチャンピオン決定戦は、金曜からい~い感じで乗れていると評価の高かった長谷川聖と小室がレースをリード。
ほかのふたりがどうであれ、勝つしかない小室は長谷川を完封。最終ラップのシケインで、長谷川にドズンと接触されるシーンはあったものの、そんな動きまで読み切った小室が、グラベルまでオーバーランしながらも、無事にコースに復帰して最終戦優勝を達成。2位に藤井謙汰、3位に長谷川が入り、中島が6位でシリーズチャンピオンを獲得。岡谷はトップ争いに顔を出すことなく7位に終わり、チャンピオンを逃してしまいました。
Team HRC待望の今シーズン初優勝
次に行われたのはJSBクラスのレース1。小雨ながら雨は降り続き、ウェットコンディションでのレース。考えてみれば、今シーズン初の「ちゃんとした」ウェットレースでしたね。
このレースでは、ウェットの走りに絶対の自信を持つ高橋巧がスタートからレースをリードし、みるみるうちに2番手以降との差を広げての、まさにぶっちぎりの優勝! 高橋、これが今シーズン初優勝で、同時に10年ぶりに復活したホンダファクトリーチーム「Team HRC」にとってのシーズン初優勝となりました。
そして、このレースで11位に入りすればいい中須賀克行は、高橋に8秒2の大量リードを許しながらも2位でフィニッシュ。見事に8回目のJSB1000クラスチャンピオンを獲得しました。3位に野佐根航汰が入って、ホンダ/ヤマハファクトリチームの3人が表彰台を独占したレースとなりました。
小山痛恨のミスで岡本初戴冠
3つめのレースは小山知良が岡本裕生を1ポイントリードして最終戦を迎えたST600クラス。雨は止んだものの、まだまだ路面はフルウェットのコンディションで、序盤からトップがかわるがわる交代するレース展開。
佐野優人&勝人兄弟、南本宗一郎、それに小山や岡本がトップ争いをする中、レース中盤に小山がミスしてオーバーラン! 先着すればチャンピオンというレースで、岡本2位、小山10位でフィニッシュし、岡本がST600チャンピオンを獲得しました。レース優勝は佐野(兄)で、岡本をはさんで佐野(弟)が3位フィニッシュ。全日本でも史上初(だと思われる・笑)兄弟同時表彰台という結果に終わりました。
名越覚醒も岩戸が強さを見せた18年シーズン
お昼休みをはさんで行われたJ-GP2クラスのレースは、わずかに逆転の望みを残した関口太郎と、今シーズン盤石の強さを見せる岩戸亮介の戦い。しかし、ウェットコンディションでは、朝のフリー走行から次元の違う速さを見せる名越哲平が序盤からレースを支配し、一度は榎戸育寛に先行を許すものの、逆転で今シーズン初優勝! 2位に榎戸をはさんで、3位に三原壮紫が入り、全日本初表彰台を獲得。チャンピオン争いは、当面の敵である関口を5位に抑え切って、岩戸が4位フィニッシュ。文句なしの全日本チャンピオンを決めました。
2018年の最後を締めたのは清成龍一!
最終レースとして行われたのはJSBクラスのレース2。この頃にはもう、雨は止んで路面も乾き始めようか、というコンディション。サイティングラップで周回して、スリックで行くかレインで行くか、タイヤ選択も悩みのタネとなるなか、トップチームではヨシムラのふたり、それにモリワキの清成龍一がレインとスリックの中間である「カットスリック」(またはインターミディエット)タイヤで出走。ここが明暗を分けました。
10周で行なわれたレース1と違って、レース2は18周(予定の20周から2周減算)のレース。トップチームのほとんどは「硬めのレインタイヤ」でのスタートとなりましたが、スタートで飛び出した高橋巧、中須賀克行、野佐根航汰に、後方からものすごい勢いで4列目スタートの清成龍一が迫り、3周目にはトップに浮上! そのまま後続との差をばんばん広げて、モリワキ移籍後2年目にしてJSB初優勝をあげました。
清成は、ほかのライダーと違ってピレリタイヤユーザー。チームメイトの高橋裕紀と同様、これまでも微妙な路面コンディションや路面温度が低い時にスピードを見せていましたが、さらに清成はこのレース2、初めて履いたというピレリ製インターミディエットタイヤでスタート。ピレリのタイヤエンジニアの言う通りのタイヤチョイスだったようで、そのエンジニアさんの読みが的中、キレキレの走りを見せた清成の初優勝をアシストしたことになりますね。
2位に中須賀、3位に高橋巧が入り、これで2018年シーズンも全日程を終了。JSBクラスは、中須賀克行が8度目のチャンピオンを決め、J-GP2は岩戸亮介、ST600は岡本裕生、J-GP3は中島元気がタイトルを獲得したシーズンになりました。
最終戦は雨になっちゃったけど、全クラスともクリーンでフェアなレースが続き、ST600をのぞいて、ここまでのシリーズポイントリーダーがチャンピオンを獲得、という最終戦となりました。
それぞれのクラス、たくさんドラマがありました。あらためて、レースストーリー、お伝えしますね。あ、あとレジェンドのデモランもご報告差し上げます♪
写真/後藤 純 中村浩史 文責/中村浩史