一貫したヤマハライダーを育てるべく本気で造った65

ヤマハのオフロード競技専用車・YZシリーズの最小モデルとして新たに加わったのがYZ65。キッズライダーがMFJのモトクロスレースにエントリーする場合、小学3年生までは「チャイルドクロス」というクラスで、マシンはオートマチックの50㏄を使用する。次に9〜15歳を対象に85/150㏄モデルで競うのが「ジュニアクロス」で、トップライダーの走りはもはや凄まじいレベル。

65㏄のモトクロッサーは7〜8歳から12歳くらいまでが乗れるサイズで、ジュニアクロスの前にエントリーする目的で開発され、レース(オープン65)も盛んに行われている。これまではカワサキやKTM、ハスクバーナらが強力なマシンを発売してきたが、ヤマハもそこで勝てるマシンをリリースしてきたというわけだ。

狙いは、ユーザーに一貫してヤマハに乗ってもらいたいというもの。PW50でデビューしてから、YZ250Fなどのフルサイズ車に至るまで、一度もヤマハから離れずに済むようラインアップを充実させたのだ。

画像: ハンドルポジションは前後4段階に調整可能。リアショックは伸側30/圧側15段階に減衰力調整できる。ブルーのリムも精悍でスポーティだ。

ハンドルポジションは前後4段階に調整可能。リアショックは伸側30/圧側15段階に減衰力調整できる。ブルーのリムも精悍でスポーティだ。

前置きが長くなったが、このYZ65、キッズ用といえど、乗り味はコンペティションモデル特有の緊張感漂うもので、エンジンはスロットルレスポンスが鋭く、車体はしっかりホールドしておかないとどこかへ吹っ飛んでいきそうなほどの軽さ。KYB製の前後サスペンションはしなやかに動き、奥ではしっかり踏ん張ってくれる高性能なものが備わっていることが、少し走ればすぐにわかる。

画像: φ36㎜KYB製倒立フォークは、伸側/圧側各20段階減衰力調整が可能。軽量アルミ製ステムシャフトとの組み合わせで安定感と軽快なハンドリングを両立。

φ36㎜KYB製倒立フォークは、伸側/圧側各20段階減衰力調整が可能。軽量アルミ製ステムシャフトとの組み合わせで安定感と軽快なハンドリングを両立。

画像: アルミ製スイングアームが軽快な操縦性をもたらし、兄貴分らと同様のチェーンアジャスターの採用で整備性も考慮されている。

アルミ製スイングアームが軽快な操縦性をもたらし、兄貴分らと同様のチェーンアジャスターの採用で整備性も考慮されている。

ミッションは6速あり、想定重量を超えた大人が乗るとシフトチェンジはせわしなくなるはずだが、意外なほどトルクバンドが広くギアの選択をミスしてもグイグイ進んでくれる。新開発の2ストエンジンは、シリンダー排気ポート部にガバナー式バルブを設けエンジン回転数に連動させて開閉し、排気タイミングをコントロールするYPVS(ヤマハパワーバルブシステム)を搭載。コーナー立ち上りで速度が落ちても、太いトルクを発揮し鋭い加速を見せる。このダッシュ力、キッズライダーにはかなり凶暴なはずで、凄まじい戦闘力に舌を巻かずにはいられない。

画像: 新設計水冷2ストロークエンジンは、樹脂製ウエイトをクランクウエブの一部に織り込み、高い1次圧縮比と最適な慣性マスを確保。

新設計水冷2ストロークエンジンは、樹脂製ウエイトをクランクウエブの一部に織り込み、高い1次圧縮比と最適な慣性マスを確保。

YZ450Fに通じるスタイルも見るからにアグレシッブ。ライバルに負けない「強い気持ち」が持てそうないでたちも、キッズライダーにとっては大きな励みになりそうだ。このYZ65が、将来のトップライダーを育むことに期待したい。

SPECIFICATION
全長×全幅×全高 1615×760×1000㎜
ホイールベース 1140㎜
シート高 755㎜
最低地上高 265㎜
車両重量 61㎏
エンジン形式 水冷2スト単気筒
総排気量 64㏄
ボア×ストローク 43.5×43.6㎜
圧縮比 8.1-9.6
最高出力 NA
最大トルク NA
燃料供給方式 キャブレター
燃料タンク容量 3.5L
キャスター角/トレール 26度25分/64㎜
変速機形式 6速リターン
ブレーキ形式 前・後 ディスク・ディスク
タイヤサイズ 前・後 60/100-14・80/100-12

DETAIL

画像: 排気ポート脇に設けたバルブ(YPVS)が回転数に応じて作動し、排気タイミングを制御。全域で効果的な排気タイミングが得られる。

排気ポート脇に設けたバルブ(YPVS)が回転数に応じて作動し、排気タイミングを制御。全域で効果的な排気タイミングが得られる。

画像: トップエンドモデルYZ450Fを彷彿とさせるスタイリング。キッズライダーの憧れを喚起し、積極的にジャンプに挑戦したくなる。

トップエンドモデルYZ450Fを彷彿とさせるスタイリング。キッズライダーの憧れを喚起し、積極的にジャンプに挑戦したくなる。

画像: 新設計セミダブルクレードルフレームは剛性バランスを徹底追求し、ギャップ走破時や空中での安定感をポイントに開発した。

新設計セミダブルクレードルフレームは剛性バランスを徹底追求し、ギャップ走破時や空中での安定感をポイントに開発した。

画像: 体重移動がスムーズにしやすいシートまわり。ライダーとの干渉を防ぐためボルトはクッション下へ配置され、整備性を配慮して1本のみ。

体重移動がスムーズにしやすいシートまわり。ライダーとの干渉を防ぐためボルトはクッション下へ配置され、整備性を配慮して1本のみ。

撮影/青木タカオ

公式サイト

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