前戦アルゼンチンGPで、マルク・マルケス(レプソルホンダ)のふるまいが話題になったMotoGPですが、今週末はアメリカズGP。テキサスはサーキット・オブ・ジ・アメリカズ(Circuit Of The Americas=COTA)での6回目の開催になります。
このアメリカズGP、なんとマルケス負けなしです。つまり6年間無敗! それどころか、マルケスはアメリカ開催のレースに異常に強くて、GPデビュー11年で、なんと15戦12勝という異常な確率で優勝しています。

画像: 2017年のマルケス この手は「5」をあらわしてたのかな?

2017年のマルケス この手は「5」をあらわしてたのかな?

マルケスのGPデビューは2008年。08年~10年の3年間はGP125クラスで、デビューイヤーにはイギリスGPで最高位3位、これが初表彰台で、初優勝は2010年のイタリアGPまで待つことになります。デビュー2年は優勝していないんですね、意外!
GP125クラスではアメリカ開催レースに優勝することはなく、11年にMoto2クラスにステップアップ。ラグナではMoto2クラスは開催されませんでしたから、11~12年はインディアナポリスGPで2戦2勝。13年にMotoGPクラスにステップアップすると、COTA/ラグナセカ/インディで3戦3勝、14年以降はラグナセカがなくなったのでCOTA/インディで2戦2勝、つまり14年~15年に4戦4勝、16年からはCOTAだけの開催で17年まで2戦2勝、つまり11年から7年間で11戦11連勝です!

画像: 2005年、ラグナセカでのMotoGP初レース 優勝したのはニッキーでした(写真はmotogp.comより)

2005年、ラグナセカでのMotoGP初レース 優勝したのはニッキーでした(写真はmotogp.comより)

ちなみにアメリカでMotoGPが開催されたのは05年からで、05~06年には、地元のヒーロー、故・ニッキー・ヘイデンが連勝しています。ヘイデン以降にはダニ・ペドロサが09年のラグナで、10年にインディで優勝。11年にはホンダ時代のケーシー・ストーナーがラグナとインディで2戦2勝し、12年にはケーシーとダニでホンダが2連勝、そして13年からマルケスが全部勝っているわけです。
これ、一度HRCのエンジニアの方にもアメリカでのホンダの強さの秘密を聞いたんですが、そんなん理由はない、と(笑) アメリカの路面とか気候とか、特にホンダに有利、なんてことはないよ、ってことでした。うーん、オカルトですね。

そんなわけで、このアメリカズGPを前に、ド本命は、調子や勢いを置いといて(笑)マルケス。13年からのアメリカ開催のMotoGPでは6年間で10戦全勝、そのうち予選でポールポジションを逃したのは13年のラグナだけで、ポールポジションは10戦9回という圧倒的強さ。ちなみにCOTAでは6年間無敗、すべてポールtoフィニッシュで勝っています。

画像: RC213Vのアッパーカウル、スクリーン横が角ばってます 空力用にカウルにモディファイしたんですね

RC213Vのアッパーカウル、スクリーン横が角ばってます 空力用にカウルにモディファイしたんですね

第3戦COTAの公式予選、マルケスがポールポジションを獲得……と思いきや、セッション中にマーベリック・ビニャーレス(モビスターヤマハ)のタイムアタックを邪魔したとして3グリッド後退のペナルティを課せられます。
これは、セッション終盤にマルケスが転倒し、ピットへ帰ってスペアマシンに乗り換え、再コースインしてすぐ、タイミングを計ってスロー走行をしていた時に、後方からタイムアタック中のビニャーレスがやって来たんですね。
この時、前方には速いライダーにくっついていってタイムを出すことで有名なアンドレア・イアンノーネ(スズキエクスター)がいて、イアンノーネも後ろからマルケスが来たこと、わかったんでしょうね。スロー走行でマルケス先行を待っていたので、マルケスはイアンノーネを抜かずにスロー走行をしていたんですね。ちょっとアンラッキー。
ちなみにマルケスは、前戦アルゼンチンで決勝レース中に2度、ライドスルーペナルティを課せられていますから、2戦連続3回目のペナルティですね。これも記録じゃないのかなw

結局公式予選では、マルケスがトップタイムをマークしながらスターティンググリッドは2列目4番手。えーと、隣はロッシですねw ふたりがグリッドに並ぶだけでザワザワしそうw ポールポジションは、2番手タイムのビニャーレスが繰り上がって、2番手はイアンノーネ、3番手にヨハン・ザルコ(テック3ヤマハ)。ザルコは結果的に、17年の日本GPでポールポジションを獲ってから、このアメリカズGPまで年をまたいで7レース連続でフロントローを獲得しています。

画像: これは2周目かな 1周目の1コーナー写真はタイトルバックをご参照ください

これは2周目かな 1周目の1コーナー写真はタイトルバックをご参照ください

決勝レースは、マルケスのCOTAでの速さをまざまざと見せつけられることになりました。ホールショットは、スズキ移籍後、3度目のフロントロースタートとなったイアンノーネ。以下、マルケス→ビニャーレス→カル・クラッチロー(LCRホンダ)→ザルコ→バレンティーノ・ロッシ(モビスターヤマハ)の順。しかしマルケスは、オープニングラップのうちにトップに立ち、みるみるペースを上げていきます。なんとかくっついていったイアンノーネが一度仕掛けますが、進入でいったん前に出たものの、クロスラインで抜き返されてトップ浮上は未遂に。結局、これが唯一のトップ争いとなったような形で、以下マルケスが独走、そのまま逃げ切ってアメリカ開催レース12連勝目。
確かに、前戦アルゼンチンGPで批判が巻き起こったマルケスですが、そんな声、強さでねじ伏せましたね。表彰式では、ちょっとブーイングが起こってましたし、それはたぶんマルケスに向けてだったでしょうが、そんなの勝ち続けていればなくなるよ、ってのがマルケスの想いなんでしょう。
ウィニングランでは、ニッキーの「69」の入ったフラッグを持ってコースを周回したマルケス。アメリカでの強さを大観衆に印象付けたレースになりました。ウィニングラン終わって、パルクフェルメでは、マシンを止めてスタッフたちと喜びを分かち合う時に、そのニッキーフラッグをポイッと捨ててっちゃったのはナイショにしておくね、マルクw

画像: 序盤、マルケスに食い下がれたのはイアンノーネだけ!

序盤、マルケスに食い下がれたのはイアンノーネだけ! 

レースは全体的にバトルや順位変動が少なく、日本時間の深夜に行なわれたレースってことで、夜中に鈴鹿から帰宅して、そのままMoto3観戦を始めた中の人も少し気を失いながら終了w 結局、2位ビニャーレス以下に大差をつけてマルケスが今シーズン初優勝を飾りました。記録では優勝したマルケスと2位ビニャーレスの差は3秒560となっていますが、これはフィニッシュライン直前でマルケスが大きくスピードダウンしたためで、約8秒もの大差で優勝したことになります。

画像: レース終盤、イアンノーネをかわしたのはビニャーレス 4番手はロッシがいます

レース終盤、イアンノーネをかわしたのはビニャーレス 4番手はロッシがいます

2位のビニャーレスは、17年オーストラリアGP以来、5レースぶりの表彰台です。昨シーズン終盤から陥っていた不調から、ようやくこれで脱するかもしれませんね。17年のアメリカズGPでは、いきなり2周目に単独転倒を喫し、プレシーズン公式テスト(テスト3回で3回すべてトップタイム)から17年開幕2戦の連勝がストップしたんでしたね。

画像: 終盤までペースを落とすことなく3位表彰台を獲得したイアンノーネ スズキ移籍後、初です!

終盤までペースを落とすことなく3位表彰台を獲得したイアンノーネ スズキ移籍後、初です!

3位イアンノーネは、これがスズキ移籍後初表彰台。予選で「お、イアンノーネ速いな」と驚き、レース序盤ではマルケスに突っかかって行って、逆転こそされましたが、最後までタレませんでしたね。前戦アルゼンチンでは、後輩のはずのアレックス・リンスにスズキでの表彰台を先行されてしまっていましたから、これでイーブン、と。イアンノーネ、17年シーズンはいろいろありましたからw、これでやっと落ち着いてレースに集中できますね。しかし、2戦連続でスズキGSX-RRが表彰台、しかも2人のライダーが交互に、なんて今までなかったパターンですね。18年のスズキ、よさそうですね!

画像: 2レース連続のポイント獲得を果たしたタカ中上 成績出してたら、マシンはどんどんよくなるぞ!

2レース連続のポイント獲得を果たしたタカ中上 成績出してたら、マシンはどんどんよくなるぞ!

そして日本代表・中上貴晶は、予選で一発、見せてくれました。Q2直行とはならず、Q1からのセッションだったんですが、Q1の最終ラップでQ2進出まであと0秒288!の3番手に入ってくれました。グリッドは5列目13番手、実際は予選12番手のポル・エスパルガロ(レッドブルKTM)が後続ライダーの進路妨害でペナルティを課せられ、3グリッド後退させられたため、中上は4列目12番手からのスタートでした。MotoGP昇格後、予選23番手→24番手ときての13番手ですから、ベストグリッドです。まずはQ2直行を目指してほしい! 
決勝レースでも、オープニングラップの1コーナーで集団に詰まり、他ライダーと接触(たぶんラバトw)してポジションを落とし、オープニングラップを19番手で終了。そこからひとつずつポジションを上げ、14位まで追い上げてフィニッシュ。惜しかった、あの1周目の1コーナーさえなければ、トップ10フィニッシュも目指せたのに!

「今回もポイントが獲れたという意味ではいいレースでした。でも予選が良かっただけにトップ10を目指していたから、ちょっと残念。今日はリアタイヤのグリップが出せずに苦戦しましたが、20周の中で乗り方を工夫していったので、勉強になったレースでした。これを次のヘレスで生かせるようにがんばります!」(中上)

画像: しかしマルケスのアメリカでの強さは何なんだろう… また今年、そのナゾを聞いてみます!

しかしマルケスのアメリカでの強さは何なんだろう… また今年、そのナゾを聞いてみます!

次戦からは、いよいよヨーロッパラウンドが始まります。スペインGPは、5月6日、ヘレスにて! ゴールデンウィークの最終日だけど、Never miss it!

■MotoGP 第3戦 アメリカズGP結果
①マルク・マルケス       ホンダ
②マーベリック・ビニャーレス  ヤマハ
③アンドレア・イアンノーネ   スズキ
④バレンティーノ・ロッシ    ヤマハ
⑤アンドレア・ドビツィオーゾ ドゥカティ
⑥ヨハン・ザルコ        ヤマハ
⑦ダニ・ペドロサ        ホンダ
⑧ティト・ラバト        ドゥカティ
⑨ジャック・ミラー       ドゥカティ
⑩アレイシ・エスパルガロ アプリリア
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⑭中上貴晶           ホンダ

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