きのうは雨に見舞われ、一日じゅう寒かった全日本ロードレース開幕戦ですが、きょうはお天気一転。お昼前、J-GP3クラス決勝の終盤に少しパラつきましたが、全クラスほぼドライコンディションでレースができました。開幕戦が雨だったり寒かったりすると、それだけで気分アガんないですからね。ひとまずよかったよかった^^
J-GP3 岡谷雄太17歳 全日本デビューウィン!
オープニングレースのJ-GP3クラスは、RacingAutobyのFaceBookでも速報を入れましたから、そちらもご参照ください。勝った岡谷雄太(モリワキクラブ)は、昨年まで筑波やもてぎのエリア選手権に出ていて、これが全日本デビュー。デビューウィンで、しかもピレリタイヤ装着車もJ-GP3クラス初優勝というオマケつき。
「ピレリタイヤのいいところを出せて、ノーマルマシンでも中島選手や小室選手と戦えました。6台のトップ争いで、いつも3番手以内にいないと勝てないと思っていたので、それをやり遂げられてよかったです」と岡谷。まだ17歳、J-GP3クラスは、こうやってすぐ新しいコンテンダーが現れるのがいいですね!
J-GP2は作本 再出発へ開幕戦V!
お昼をはさんで行われたのはJ-GP2クラス。昨年のチャンピオン水野涼と、ランキング3位の生形秀之がJSB1000クラスへ転出し、関口太郎(SOX Team TARO PLUSONE)、榎戸育宏(Kohara Racing Team)、石塚健(Will Raise Racing RS-ITOH)、岩戸亮介&作本輝介のTeam高武RSC勢がチャンピオン候補になりそう。全日本に復帰してスズキGSX-R600改をライディングする尾野弘樹(ミクニ テリー&カリー)も注目ですね。
レースは、岩戸の好スタートで始まります。2番手以下に尾野、伊藤レーシングに移籍のケミン・クボ、関口、作本も加わってトップグループを形成。この全日本選手権を終えると、スペイン選手権にスポット参戦する榎戸は序盤でスリップダウン、最後尾からの再スタートとなります。
レースは、序盤から上の5台が6番手以下を引き離して等間隔でトップ争い。レース中盤には尾野が転倒し、トップグループは4台に。この4台もまた、等間隔でつかず離れずのトップ争い。岩戸をかわしてクボが、そのクボをかわして作本がトップを奪うと、そのまま作本がクボと岩戸を抑えて開幕戦優勝! 4番手の関口まで優勝のチャンスがあった展開でしたが、作本が17年最終戦に続いて2連勝(って言うのか?笑)を決めました。作本は17年開幕戦の事前テストでけがをして、5レースを欠場。シーズンを棒に振ってしまいましたから、再出発の18年ですね。
JSB1000 絶対王者中須賀復活!
JSB1000クラスのレース2も、RacingAutobyのFaceBookでも速報を入れましたから、そちらもご参照ください。
勝った中須賀克行(ヤマハファクトリー)は、昨年夏開催のもてぎ大会を転倒で終えた後、オートポリス→岡山国際→最終戦鈴鹿2ヒートと4連勝していましたから、きのう今日のダブルウィンでシーズンをまたいで6連勝。2度、転倒で落としたもてぎはチームメイトの野佐根航汰が勝っていますから、昨年からもてぎ大会はYZF-R1が連勝中、もてぎ大会は2015年からYZF-R1が6連勝です。
レース2は、その野佐根がセンパイライダー中須賀という高い壁に挑んで、ハネ返されたレースとなりました。
「去年のオフからテストで何度も転んでしまって、走りに自信が持てなくなっていたというか。きのうのレース1も、前のライダーに追突してしまって……。レース2は納得しきれていない2位ではあるんですが、中須賀さんと1-2を持ち帰れることはよかったです。走りは戻ってきた感じですが、きょう絶好調でも中須賀さんには勝てなかった。もっと自分を高めて、追い越すようにしたいです。抜かれて2-3周は精一杯ついていったんですが、それからは離されてしまって、あとはマシンより自分を高めるしかないと思います。夏のもてぎ大会では、やりかえしたい」
絶対王者中須賀に、ヤングライオン野佐根が挑み、名門HRC復活の高橋巧がどう絡むか――このへんが今年の全日本選手権のテーマとなりそうです。開幕戦を見る限り、中須賀と野佐根がアタマひとつ抜け出しましたが、もちろん津田拓也&渡辺一樹のヨシムラGSX-R、カワサキ2年目の渡辺一馬にも優勝の目がある、そんな戦力が拮抗したシーズンになると面白いですね。
ST600 日本最速の郵便屋さん誕生
ラストレースはST600クラス。ここは、大ベテランとアブラの乗り切った若手、しかもチームメイトのふたりが激しいツバぜりあいを見せてくれました。それが日本郵便がレーシングチームをサポートして話題となった日本郵便HondaDreamの小山知良と國峰啄磨のふたりです。
オープニングラップを制したのは小山。ポールシッターの上和田拓海(TeamPLUSONE)、長尾健吾(善光会Teamけんけん)、岡本裕生(51ガレージチームイワキ)、國峰らが続く中、國峰が周回ごとにポジションをアップ。ひとりだけスピードの違いを見せて、逃げにかかる小山の背後につける2番手まで浮上します。
それからは、小山と國峰がテールtoノーズで周回を消化。ついに國峰は10周目に前に出て引き離しにかかりますが、小山もそんなに甘くなく、ピタリと背後へ。
終盤に小山が前に出ると、ふたりのトップ争いは最終ラップへ! 小山が前、一度は國峰が前に出るけど、再び小山が前へ。コース終盤で國峰が差を詰めると、ふたりがマルケスvsドビツィオーゾの攻防を見せるんです! つまり、最終ラップの最終コーナーで國峰が小山のインのインをついて前に出ると、小山はそこを読み切ってクロスラインで加速して、國峰を抑え切ってフィニッシュ! この週末、もてぎでは何度も去年の日本グランプリ、雨のマルケスvsドビツィオーゾのVTRを流していて、ふたりもそれ見てたな、きっと(笑)。
「啄磨が速かったね! ウィークを通して速かったし、きょうのウォームアップも速かった。でも、苦しい中、僕の武器は経験ですから。ここ数年、トライアルバイクでトレーニングをしていて、それを生かして、人間の動き、バイクの動かし方で勝負できました。背負ってるものが違います、負けてらんないです。始まったばっかりだけど、17歳でチャンピオンを獲ってから、何回もランキング2位ばっかり。今年はタイトル取りたいです。最後のは、当然くるな、って思いましたよ。読んでた。僕がドビツィオーゾだったね」と小山。
「悔しいです。去年の経験もあって早くペースを上げられたんですが、小山さんがチームメイトになったことで、小山さんがスゴいって言われている部分で、僕もなにかのスイッチが入って、精神的にレベルアップした感じです。最後のは、行くしかないでしょう。マルケスのあれは、当然アタマにありましたけど、マルケスと同じになっちゃいましたね、最後は加速できなかった」と國峰。
日本郵便ホンダは、1-2フィニッシュ、最高のスタートを切りましたね!
次戦スズカは2&4です!
全日本選手権は、次戦2週間後の鈴鹿大会へ向かいますが、鈴鹿は2&4でJSB1000のみの開催です。中須賀&野佐根の最速デュオに、高橋巧がどうリベンジするか。舞台が鈴鹿だけに、そろそろ8耐の香りもしはじめますね。
写真・文/中村浩史