ステージ10、戦いの舞台がアルゼンチンに移ったところまでお伝えしたダカールラリー2018ですが、最終日・ステージ14を終えました。
勝ったのはRED BULL KTM ファクトリーチームのマティアス・ウォークナー。KTMはこれで、2001年の第23回大会から18年連続優勝! 08年の第30回大会が中止になってますから、これで公式記録は17連覇!ってことです。驚天動地、前人未到の超ウルトラスーパー大記録ですね。

画像: ウォークナー、ダカールラリーを制した初のオーストラリアン! もちろんKTMの母国ライダーです!

ウォークナー、ダカールラリーを制した初のオーストラリアン! もちろんKTMの母国ライダーです!

終盤の模様をお伝えしましょう。
今大会2度目のマラソンステージ(メカニック、サポートの助けを借りちゃいけない日)に入ったステージ11、ウォークナーが総合トップの座を守ったまでお伝えしましたが、マラソンステージの2日目・ステージ12、まだまだ混乱は収まっていませんでした。
前夜(つまりステージ11の夜)になって、主催者は悪天候を理由に翌日の前半部分キャンセルを発表しました。これは濃霧が発生して、オフィシャルのヘリコプターが飛行できないことと、ルート上の河川が氾濫しちゃった、という理由。
参加者たちは、後半部分のスタート地点まで移動することになるんですが、今度は主催者が
「バイクとクルマはトラック部門のスタート1時間後にスタートね」と発表。
これに異を唱えたのがライダーたちで、トラックがスタートした後の荒れた路面を走るの? もうもうのホコリの中、すぐに追いついてトラックたちを追い抜くの危ないんじゃないの? と難色を示したそうです。
そうすると、今度は主催者が「んじゃステージ12は中止!」と逆ギレw バイクを先にスタートさせてくれればいいだけじゃなの?とも思いますが、地球の裏側からでは本当の事情はわかりません。でも、トップチームの誰もが「ワケがわからない、なんで?」ってコメントしていたようだし、事実として残ったのは、ステージ12もキャンセルになり、残すはあと2ステージだけになっちゃった、ってこと。

画像: 極寒の川を渡り灼熱の砂漠を駆けるダカールラリー

極寒の川を渡り灼熱の砂漠を駆けるダカールラリー

画像: 気温は30度オーバーにも5度アンダーにもなるのです

気温は30度オーバーにも5度アンダーにもなるのです

ステージ13は、SSとリエゾン合わせての移動距離が900kmオーバーと、今大会最長のルート。最終日はSS=120kmと短いため、勝負はココ! 逆転を狙うチームは、ステージ12のキャンセルが本当に恨めしかったでしょう。逃げ切りたいチームにとっては恵みの決定になった、ってわけですね。
このステージ13、ステージ優勝を決めたのは16年大会のウィナー、KTMのトビー・プライス。逆転を狙うホンダのケビン・ベナバイズはステージ2位、この日はステージ4位に終わったウォークナーへの差を9分半も縮めて、最終日を残して22分30秒差の総合2位。
そして総合6位につけていた、ホンダのリッキー・ブラベックは、電機系のトラブルでストップ。マシンを修復しましたが、炎天下に1時間以上ストップしてのマシン修復が危険と判断され、強制リタイヤとなりました。これもダカールらしい厳しさですね。

そして最終日は120kmという短いスペシャルステージ。最終日に勝ったのは、意地を見せたホンダのベナバイズ。総合トップのウォークナーは、ステージ8位に終わりますが、これは完全に流しての順位でしょう。ステージ優勝よりも総合トップを守り抜くことが大命題のはずだからです。

画像: 勝ったウォークナーは、実にラリーらしい走り、ペースに徹しての優勝でした!

勝ったウォークナーは、実にラリーらしい走り、ペースに徹しての優勝でした!

「信じられない! なんて表現したらいいかわからないよ。今回のダカールは、僕のキャリアの中でもいちばん難しかった! ナビゲーションは毎日わかりにくかったし、レース序盤はトップライダーがみんな接戦で、毎日とにかくミスしないように、うまくやっていくだけだった。ステージ優勝をしたあとは、差を詰められないように、セーフティに走り切るだけだったよ。作戦がすごく上手くいったから優勝できたようなもの。まだ現実だとは信じられない」とはウォークナー。31歳、ダカールラリーを制した、初めてのオーストリアンです。言うまでもなく、KTMの母国ライダーですね。
ウォークナーは、序盤ステージをステージ2、4、5とステージ表彰台を獲得しますが、勝負を分けたのはやはりステージ10。前半ステージの総合トップだったベナバイズがミスコースで40分ものロストを喫し、後半ステージ開始早々に総合トップに立った、ヤマハのアドリアン・ファン・ベヴェレンが転倒して負傷し、ダカールを去ったあの日。
この日、ナビゲーションミスなく初めてステージ優勝を達成したウォークナーは、結果的にこの日のタイムマージンを守り切って、総合優勝を達成したとこになります。

画像: 惜しくも届かなかったベナバイズ。あのミスさえなければ、ってのは言わない約束です

惜しくも届かなかったベナバイズ。あのミスさえなければ、ってのは言わない約束です

「すばらしいダカールだった。幸せだし、本当にいい気分。しかし、シンドかったね。最後まで必死に戦ったけれど、キツいレースだったね。戦略がいつも素晴らしかったし、毎ステージのように表彰台に上がって、総合トップに立ったこともあったけれど、あのステージ10(ミスコースして約40分ロスト)が残念だったね 優勝できると信じてた」と最後の最後まで追い上げを見せたケビン・ベナバイズ。地球上のホンダファンの願いを背たろうて、ホントによく走りました。 

前半戦を総合トップで折り返し、ホアン・バレダとともにホンダの悲願達成の重責を負っていたベナバイズは、十分に優勝圏内にいたのですが、あのステージ10のルートロストで、バレダとともに大きく後退。そのバレダも負傷でリタイヤを決意し、ステージ10でウォークナーに30分以上のビハインドを負ったベナバイズは、1日に10分ずつ差を詰めれば逆転だったものの、そのペースが可能なほどのスピードをみせながら、ステージ12のキャンセルが痛かった……。オーガナイザーの決定は絶対ですが、アンラッキーはこんなところにも潜んでいるんですね……。

画像: 大健闘むなしく2位に終わったモンスターエナジーHONDA 中央にホンダレーシングのレース運営室・室長の桒田(くわた)さんがいますね。え?この写真のほんの1週間前に、朝霞でお会いしましたけど???

大健闘むなしく2位に終わったモンスターエナジーHONDA 中央にホンダレーシングのレース運営室・室長の桒田(くわた)さんがいますね。え?この写真のほんの1週間前に、朝霞でお会いしましたけど???

2週間にわたって9000kmもの道のりを走破した2018ダカールラリー。優勝候補が次々と脱落する波乱の展開は、ステージ10のナビゲーションが勝負の分かれ目になりました。スピードだけではだめ、マシンの耐久性だけでもダメ、ライダーの体力だけでもダメ、2週間のレースを勝ち抜くためにいちばん重要なのは、その全てを兼ね備える強さと、砂漠の神様に微笑みかけられるラッキーさなのかもしれませんね。

ホンダ、ワークス復帰6年目の悲願達成、またもならず! KTMの17連勝で2018ダカールは幕を閉じました。来年は、ヤマハもトップチームを投入してきそうだし、ホンダはまたも全力を振り絞って負けられない布陣を敷いてくる。そして最強王者KTMの18連覇がかかったレースとなります! ひゃー、いまから楽しみです!
ヤマハユーザーの2位、総合44位で完走した2年連続エントリーの風間晋之介のレースレポート&インタビューも後日お伝えします!

2018ダカールラリー 総合順位 
1 マティアス・ウォークナー  KTM 
2 ケビン・ベナバイズ     ホンダ   +16分53秒
3 トビー・プライス      KTM   +23:01
4 アントイン・メオ      KTM   +47:28
5 ジェラルド・ファレス    KTM   +1時間01分04秒
6 ジョニー・オベール     GASGAS +1H53:53
7 オリオール・メナ      Hero   +2H22:52
8 パブロ・クインタネッラ   Hsq    +2H24:05
9 ダニエル・オリベラス    KTM   +2H37:20
10 イグナシオ・コルネホ    ホンダ   +2H42:36

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