この週末は岡山県・岡山国際サーキットで、全日本ロードレース第8戦が行われました。第8戦ってことは、残すは11/4-5の最終戦・鈴鹿大会のみ! 早いなぁ、しかし第5戦オートポリスから1か月半空いて、第6戦もてぎが8/19-20、第7戦オートポリスⅡが9/9-10、そしてこの岡山と、スケジュールに緩急がつきすぎですね。
さらに第8戦とはいえ、JSB1000のみの開催が3レースありますから、他クラスは実質的に第5戦、しかも6/24-25の第5戦もてぎ以来3か月ぶりですから、実践のカンという点ではね、もう少しレース数があってもいいと思うんですね。WSBKみたいに毎回2レース制にしちゃうとか。
ともあれ、いよいよ各クラスシリーズチャンピオン争いが大詰めになってきました。JSB1000クラスは、絶対王者・中須賀の乱高下がシリーズをひっかきまわしていますが(笑)、他クラスのここまでを、ちょっと振り返ってみましょう。
■J-GP3クラス
開幕戦・筑波大会で伊達悠太が先勝、2着に敗れた小室旭が第2戦・菅生を獲ると、第3戦・もてぎでは古市右京、第4戦・オートポリスでは伊達が2勝目を獲得。ここまで4戦、優勝2回/2位1回/3位1回の伊達が、優勝1回/2位3回の小室を1ポイントリード。ランキング3位は古市で、小室まで23ポイント差と、現実的には厳しいポイント差となっていました。
そして迎えた3か月ぶりの岡山大会では、昨年惜しくもチャンピオンを取り逃がした栗原佳祐がポールポジションを獲得。栗原は今シーズン、モリワキに移籍するも、開幕戦では参戦準備が間に合わず、欠場してしまっていたんです。第2戦・菅生大会からの参戦で、ほぼノーマルマシンでエントリーしてきましたから、レースごとに速くなるのは予想できたことではありますね。
決勝レースは、小室が序盤からレースをリードしますが、8台ほどがトップ集団を形成するJ-GP3らしいレース展開。古市、栗原、中島元気、小室と次々とトップが変わりますが、レース終盤まで集団のまま。この5台が最終ラップでも順位を入れ替えながらバトルは続き、最終ラップの最終コーナーで伊達がコースアウト、小室もラインを外してしまい、古市が抜け出したかに見えたが、栗原が差し切ってフィニッシュ! 栗原と古市の差は0秒5、3位の中島は古市まで0秒09という僅差でした。
ランキング争いの方は、小室が4位、伊達は7位に終わり、ランキング争いはトップが小室109P、2番手が伊達106Pの順で最終戦を迎えることになりました。
■ST600クラス
開幕戦・筑波大会と第2戦・菅生大会がウェットコンディションとなったことで「雨男」星野智也が優勝-3位と好スタートを見せたST600クラス。しかし、第3戦・もてぎ大会で、昨年の最終戦でチャンピオンを逃した前田恵助が優勝し、2位-2位-優勝とまとめてランキングトップに浮上。第4戦オートポリスでは國峰啄磨が初優勝してランキング2位まで浮上し、前田83P、國峰79P、星野75P、岡本裕生72Pといったあたりがタイトルコンデンダーといったところで岡山を迎えていました。
公式予選では、オートポリスで初優勝を飾った國峰が初ポールポジションを獲得。決勝レースでは、前田が好スタートを見せて序盤から逃げを打ち、國峰がそれを追う展開。しかし、前田のペースは落ちることなく、懸命に追う國峰も追いつかず、前田-國峰の順でフィニッシュ。これでポイントランキングは、トップ前田が108P、2番手國峰が101P、岡本が3位フィニッシュでランキングも92Pで3番手まで上がって、88Pの星野まで計算上はタイトルの可能性を残して最終戦へ向かいます。
■JSB1000
開幕戦(第2戦っていうのかな、ややこしいw)鈴鹿2&4、続く菅生120マイル耐久、そして第3戦もてぎでまさかの3戦連続転倒を喫し、早々とチャンピオン争いから脱落した絶対王者・中須賀克行。その間に開幕2連勝を決めた高橋巧、優勝はないまでもハイポイントを獲り続ける津田拓也と渡辺一馬がランキング争いを繰り広げる中、高橋が第4戦オートポリスで、なんとマシントラブルでリタイヤ! そのすきに津田がランキングトップへ、渡辺がランキング2位に浮上し、その間に優勝するのは、チャンピオン争いから脱落した中須賀、野左根航汰という、不思議な展開で迎えた岡山大会。
しかし、前回のオートポリスを勝った中須賀が復調の兆しをみせて、この岡山大会の予選でポールポジションを獲得。決勝レースも、中須賀が絶対王者ぶりを見せつけて、ホールショットからひとりだけレベルの違う速さを見せつけてトップを独走! オートポリス2勝に続く3勝目を挙げて、ランキングを13位から7位まで上げてみせました。2位には、開幕戦を転倒で落とし、オートポリスを世界耐久スロバキア大会出場のために欠場してチャンピオン争いからは外れている野左根が入って、ここまではランキングに大きな影響なし!
では、津田、高橋、渡辺というチャンピオン争い組はどうなったかというと、渡辺が4番手あたり、その後ろに津田、高橋は7番手あたりからレースをスタート。中須賀が逃げ、周回が進むごとに順位を上げてくる野左根に比べ、津田、渡辺、高橋のペースは上がってきません。
野左根はオープニングラップで津田の後ろにいたものの、周回ごとに順位を上げて最後には2番手まで浮上しますが、津田も後半ペースを上げるものの、一時3番手の高橋裕紀の背後までつけながら、ミスしたか、再び差を広げられて4位でフィニッシュ。5位に渡辺、6位に高橋と、チャンピオン争いの3人が表彰台にも上がれないところに並んで、結果的に津田が155Pでランキングトップをキープ。2位に149Pの高橋、3位に144Pの渡辺となり、最終戦を残すのみとなりました。
最終戦は2レース制、鈴鹿はこの数年、8耐を含めて中須賀の勝率が高いので、またアタマ中須賀、ひも争い、ってことになるかもしれませんね。今のランキングトップ3人、誰が勝っても初チャンピオンですから、今から最終戦が楽しみです!
■J-GP2
J-GP2は最終戦を残してチャンピオンが決まりました。このクラスは、開幕戦の筑波2ヒートを水野涼が制し、続く菅生で3勝目、第3戦もてぎではベテラン生形秀之に優勝をさらわれ、関口太郎に続く3位に終わった水野ですが、そこからもオートポリスで4勝目を挙げ、ランキング2位の関口に29ポイント差をつけてランキングトップを走っていました。
公式予選でも、水野が絶好調。コースレコードを更新するタイムでポールポジションを獲得すると、決勝レースでも、ホールショットを奪った関口に続いて、オープニングラップのうちに水野がトップに浮上。水野が2番低下との差を徐々に広げ、その2番手を関口、石塚健、岩戸亮介、生形が争いながら、この集団から抜け出した関口と石塚が水野に迫り、みるみる差が縮んだかと思えば、周回遅れも出現する中で、ついに石塚が逆転してトップに浮上! 水野、関口の3台でのトップ争いが始まったのに、石塚が転倒で脱落、関口を振り切った水野が5勝目を挙げて、シリーズチャンピオンに輝きました。水野は2位でもチャンピオン確定、それはすでに計算済みだったでしょうが、勝ってチャンピオンを決めました! 水野はこれで、2015年のJ-GP3に続くふたつめの全日本タイトルですね。
「タイトルを決められてよかったです。ワイルドカードで参戦するMotoGP日本グランプリには、チャンピオンとして、日本代表として臨みたかったので、勝ってチャンピオンを決められてよかった! レースは上手く逃げられた序盤以外、思ったような展開では勝てなかったので、正直悔しいです。日本グランプリではこの気持ちを晴らせるようなレースがしたいです!」
水野が日本代表として臨む日本グランプリですが、J-GP2とmoto2のマシンの違い、タイヤや割り当てエンジンのコンディションなど、たくさんの困難があります。その壁をブチ破れ!
写真/赤松 孝 (C)MFJ PROMOTION