雨に見舞われたMotoGP第13戦・サンマリノGP。ご存じのようにサンマリノGPの開催は、故マルコ・シモンチェリの名を冠したイタリア、ミサノワールドサーキット。サーキットのすぐ近くとはいえ、開催国の名前じゃない唯一のグランプリですね。オールドファンには、かつて1986年にGP250クラスにフル参戦を開始した平忠彦さんが、GP初優勝を飾ったサーキット、として覚えている方も多いでしょう。
雨に降られたとはいえ、土曜までは好天だったミサノ。土曜の公式予選では、moto3クラスで佐々木歩夢が自己最高の7番グリッド、鳥羽海渡が13番グリッド、鈴木竜生が19番手グリッドを獲得。おぉ、タツキが下位に沈んじゃったけど、カイトもアユムがいい位置だ、と思ったら、翌日の決勝日には、この位置に日本人選手の姿はなし。なんと、予選中のペナルティで、日本人3選手とも「12グリッド降格」の裁定を喰らっていたのです!
この予選中のペナルティとは、予選セッション中に、速いライダーの後追い、引っ張ってもらう行為を禁止するための「スローライディング」です。つまり、速いライダーが来るのを待って、来たらスリップについて引っ張ってもらおう、って作戦を禁止するもので、走行中に規定以上にゆっくり走ったら、このペナルティの対象になるのです。
たとえば、1周2分くらいで走行するコースを+30%以上遅いタイムで走っちゃダメ、ってこと。具体的には区間タイムでタイム計測をして、それが2区間以上あったから、規定により12グリッド降格となってしまったのです。ちなみに、予選トップタイムでポールポジション!と思われたバスティアニーニも、スロー走行セクションがあったってことで3グリッド降格、決勝は4番手グリッドからのスタートとなりました。
ちなみにここミサノの予選は、特にmoto3予選はグチャグチャで、大集団でのタイムの出し合い、引っ張り合い。速いライダーの後ろについてタイム出す、っていうのは、これまでは常套手段でしたけれど、うまくやらないとね(笑)速いライダーが後ろから来るのをあからさまに待っているシーンが多すぎたから、こんなルールができたわけです。見ていて危ないシーンもありましたから、このルールも危険防止のため、ってことです。
決勝レースの日曜は、朝から雨。結局、3クラスともウェットコンディションでのレースになったんですけど、日本人ライダーはmoto3/moto2とも決勝レースで全員転倒しちゃう、という珍しい不名誉な記録を作ってしまいました。Moto3クラスは、31台中16台が転倒リタイヤというスゴい展開の中、タツキもアユムもカイトも転倒リタイヤ。
moto2クラスも31台中15台がリタイヤで、長島哲太は決勝中に2度転倒しながら、どちらも再スタートして14位フィニッシュ。前戦イギリスGPで今シーズン初優勝を挙げた中上貴晶も、5位走行中の最終ラップに転倒。しかし、マシンを安全な場所に片付けようとするオフィシャルを振り切って、再スタートしての11位フィニッシュ! テツもタカも、本当にナイスファイト! ウェットレースで転んじゃうのはしょうがないけど、そこから泥だらけのマシンを引きずり起こして再スタートする姿勢は、本当にイイ! 特にタカは、再スタートしなかったらランキングで、ひとつ下のパッシーニに並ばれるところでした! 優勝できなかったのは残念、表彰台に立てなかったのは悔しいけど、いいファイトを見せてくれました!
そしてMotoGPクラスは、レース前にトレーニングでバレンティーノ・ロッシ(ヤマハ)が負傷し、よりによってホームレースと言えるサンマリノGPを欠場という異常事態の中、スタートから飛び出したホルヘ・ロレンソ(ドゥカティ)が独走態勢を築き上げつつ、おぉコレハひょっとしてロレンソがドゥカティ初勝利……と思ったら、単独で転倒! かぁぁ、惜しかった!
替わってトップに立ったのは、ウェットレースで無類の強さを発揮するデニロ・ペトルッチ(ドゥカティ)で、そのペトルッチをマルク・マルケス(ホンダ)とアンドレア・ドビツィオーゾ(ドゥカティ)が追走。終盤、ドビツィオーゾがやや遅れ始めても、マルケスはペトルッチにピタリと張り付き、最終ラップの1コーナーでマルケスがトップに浮上。そのままベストラップをたたき出してペトルッチを引き離し、今シーズン4勝目を挙げました。
2位にGP初優勝がスルリと逃げて行ったペトルッチ、3位にドビツィオーゾで、このレースを終えてポイントランキングは、マルケスとドビツィオーゾが同ポイントで1位! 優勝回数も同じ、2位になった回数でマルケスが上回ったため、ランキングトップはマルケス、同ポイントでランキング2位にドビツィオーゾ、3位には、雨のミサノで4位フィニッシュを果たしたマーベリック・ビニャーレス(ヤマハ)がつけています。ポイントは以下の通り。
■ポイントランキング 第13戦終了時
1:マルク・マルケス 199p
2:アンドレア・ドビツィオーゾ 199p ±0
3:マーベリック・ビニャーレス 183p -16p
4:バレンティーノ・ロッシ 157p -42p
5:ダニ・ペドロサ 150p -49p
※追記
ちなみに2016年のミサノ終わりでのポイントランキングはこんなでした
①マルク・マルケス 223P
②バレンティーノ・ロッシ 180P -43p
③ホルヘ・ロレンソ 162P -61p
④ダニ・ペドロサ 145P -78p
⑤マーベリック・ビニャーレス 136P -87p
ランキングトップの総獲得ポイントも17年の方が少ないし、昨年のこの時点で、ランキングトップと2位の差が43pなのに対し、2017年はランキングトップと5位までの差が49pです。
ちなみに第13戦を終えた時点でのランキングトップと2位との差は
2015年 ①ロッシ→②ロレンソ 23p
2014年 ①マルケス→②ペドロサ 74p
2013年 ①マルケス→②ロレンソ 34p
2012年 ①ロレンソ→②ペドロサ 38p
2011年 ①ストーナー→②ロレンソ 35p
2010年 ①ロレンソ→②ペドロサ 63p
2009年 ①ロッシ→②ロレンソ 30p
いかに今年のランキングが接近しているか、わかりますね。
そしてロッシがいつ復帰するのか(※アラゴンGPも欠場、と発表がありました)その時のコンディションはどうなのか、またチャンピオン争いに加われるのか……。
次戦アラゴンGPは9/24が決勝日、その次はいよいよ日本グランプリです!