オーストリア・レッドブルリンクの表彰台に、日の丸3本が上がりました! あれ、誰か勝ったっけ? わかった、コンストラクターズウィンでしょう、と思ったあなたは惜しい! 実は、MotoGPの3クラスと併催されていた「レッドブルMotoGPルーキーカップ」で、レース1で日の丸3本、レース2で日の丸2本が上がったのです。
レッドブルが冠スポンサーとして支援してくれているMotoGPルーキーズカップは、MotoGPやワールドスーパーバイクとの併催で、2007年から始まった、KTMのMoto3マシンRC250Rを使用してのワンメイクレース。各国、各エリアのルーキーズカップの頂点にいるジュニア選手権で、このレースで頭角を現してからMotoGPへ、という流れが最近のトレンド、スタンダード、そして当たり前の話になっています。
日本のライダーで言えば、ナショナル選手権として「全日本選手権」がありますよね。ワイドエリアで言えばその上にアジア選手権があって、その同列っぽいところにMotoGPのプロモーターであるDORNAが統括する、2014年にスタートした「アジアタレントカップ」(この場合のタレントとは『才能』の意味ですね)がある。これは、IDEMITSUが支援してくれている世界選手権への入り口として、いま世界を目指す日本のジュニアたちが目指している場所です。
今や世界への階段として、全日本選手権には出場せずに、ポケバイや74daijiroでレースを始める→アジアタレントカップのセレクション→アジアタレントカップを勝ち上がり→スペイン選手権→MotoGPルーキーズカップ、という流れさえ出来上がっていて、その象徴として2016年のMotoGPルーキーズカップチャンピオン佐々木歩夢がいるのです。アユムは15年にアジアタレントカップチャンピオンとなり、翌16年にMotoGPルーキーズカップチャンピオン、その翌年(つまり今年、17年)にMotoGP世界選手権moto3クラスにデビューしています。
アジアタレントカップと同じく、DORNAが管轄しているタレントカップには、2018年からスタートする「ブリティッシュタレントカップ」があります。さらに2017年には「ヨーロピアンタレントカップ」も始まりましたし、このスペイン版は「レプソルCEV」として、レプソルが支援するスペインmoto3選手権として進んできました。
しかしレプソルCEVは、その影響力やレベルの高さから、2017年からは「moto3ジュニアワールドチャンピオンシップ」と名前を変えて、スペイン以外のフランスやポルトガルでも開催されるようになっています。このレプソルCEVが、世界への登竜門として、MotoGPルーキーズカップと双璧をなす、といった流れが出来上がっているんですね。
MotoGPルーキーズカップは、2017年は25人のライダーによって行われていて、スペイン/イタリア/イギリス/ドイツ/アメリカ/トルコ/チェコ…そして日本からライダーが参加。日本人ライダーは眞崎一輝(16)、小椋藍(16)、山中琉聖(15)の3人が参戦し、この3人がMotoGPルーキーズカップ第5戦・オーストリア大会のレース1で表彰台を独占した、というわけ。3人の日本人ライダーが1-2-3なんて! それほど、日本人ライダーたちがMotoGPルーキーズカップで活躍しているのです。
ここまでの4戦8レース、ランキングトップを走っていたのは、トルコのジャン・オンジュ(14)/132p。第2戦オランダ大会でWウィンを達成し、ドイツ、チェコでも優勝しました。そこに続いていたのが開幕戦のレース2で勝ったアレイシ・ビウ(17)/115p。日本人ライダーはここまで未勝利で、眞崎がランキング3位/104p、山中が6位/71p、そして小椋が13位/36pとなっていました。
しかし! この第5戦オーストリア大会で日本勢が躍進! レース1で小椋が、レース2で眞崎が初優勝を挙げ、山中もレース1で3位表彰台を獲得と、日本人勢が一気にランキングを上げてきたのです! レース2も、最終ラップの最終コーナーまで日本人勢が1-2-3で、あわや2レースともに日本人が表彰台を独占か!ってレースでしたからね。
「1周目に転びそうになって10番手とか11番手まで落ちてしまった。それから前のライダーを抜きまくって、2番手の眞崎に少し差をつけることができた。それからはうまくペースをコントロールできて優勝できた」とレース1を勝った小椋。
レース2で初優勝を挙げた眞崎は「レースは厳しかったけど、ペースは悪くなかったので、ポジションをキープして、最終ラップで集団を抜けようと思っていました。それができてよかった。優勝できてすごくうれしいです」と喜びの表情で語っていました。
MotoGPルーキーズカップでは、表彰台に登ったライダーへのパルクフェルメでのインタビューも完全に英語です。3人のライダー、たどたどしいけれど、がっちり英語を話しています! 初々しいね^^ そして、このパルクフェルメには、元WGP250ccチャンピオン青山博一と、この春にHRCを退職された中本修平さんが駆け付け、アジアンライダーたちを見守ってくれています。中本さん、先ごろDORNAとアドバイザリー契約を結ばれていましたが、このルーキーカップを中心に若手育成なんかを手がけて行くようです。
これでランキングは、日本勢が大きく順位を上げて以下の通り。
■MotoGPルーキーズカップ(5戦10レース終了)
1 ジャン・オンジュ 154p
2 眞崎一輝 149p
3 アレイシ・ビウ 126p
4 山中琉聖 100p
5 デニス・オンジュ 99p
6 マティアス・メッジ 98p
7 小椋 藍 79p
ポイントリーダーのジャンは、レース1で転倒、再スタートから14位フィニッシュと、大きくロストポイント。そのおかげもあって、上位陣のポイント差がグッと詰まったレースとなりました。今後も、大きな動きがあったらこちらで紹介しますね!
がんばれ日本代表のジュニアたち! アユムに続けぇ!