8耐のトップ10トライアルが行なわれることでおなじみの土曜は、鈴鹿4時間耐久ロードレースの決勝日。かつてはノービスライダーの甲子園と呼ばれ、82年には参加約600台という恐るべきエントラント数を誇った4耐ですが、今年の大会からルールを一新! これまでノービスやフレッシュマン、今でいう「国内ライセンス」のみが出場できるレースだったものが、この5年かな10年かな、アジアのライダーが大挙して出場するようになり、その様相が変わってきたのです。
つまり、国内のライダーは「国内ランセンス」で、海外のライダーは、当然「国際ライセンス」ですね。つまり日本の中須賀克行や高橋巧、津田拓也が、タイ国内のビッグレースに出場する、と同じような現象が起こってたわけです。
そこで、近年のCBR250RドリームカップやJP250のように、国内ライセンスも国際ライセンスも出られるようにしよう、というのが新生4耐なのです。ちなみに国際ライセンスは1チームに1名のみで、過去3年以内にJSB1000/J-GP2/ST600クラスのランキングが20位以内だったライダーは参加できません。これで、「インター4H」(=国内ライセンス1名+国際ライセンス1名)と「ナショナル4H」(=国内ライセンス2名)の2クラスが混走、というスタイルになるのです。これでますます、海外からのエントリーが増えちゃうかもしれないですね。海外のライダーにとっては、憧れの鈴鹿でチャンスがつかめる、大きなチャンスになるわけです。
その鈴鹿4耐、今年のレースはスタート前から雨が降りはじめ、いったんグリッドにはついたものの、スタート予定時刻の9時前に赤旗が振られ、スタートディレイ。雨がやみ始めるのを待って、9時半スタート、13時ゴールの3時間半耐久となりました! 鈴鹿4耐は溝つきタイヤのレギュレーションですから、ウェットコンディションでは当然レインタイヤスタートとなるんだけど、9時半には雨がやんでいたので、グリッドにはレインタイヤとドライ用タイヤの両方のチームが混在することになりました。
ちなみに4耐はドライ用タイヤには1セットの使用制限がありますが、レインタイヤにはなし。ドライタイヤで走り切るか、レインで交換するか、って悩むことになります。しかし、結局レースが始まって1時間もすると、路面はみるみるドライになっちゃったんですよね。
雨は止んだものの、路面はしっかりウェットの状態でのスタート。スタートで飛び出したのは#7アストラホンダ(インドネシア)で、後方に#99ヤマハタイランド(タイ)、後方にAPホンダ(タイ)というアジアンパワー炸裂状態! 雨になると、スコールの国だもん、アジア勢が速さを発揮するんですね。
しかし、10周も終わらないうちに、路面はどんどんドライに替わり始め、上位チームはピットへ。このへん、ウェットタイヤで走っていたんですね。タイヤ交換装備(クイックチェンジとかね)のないST600マシンですから、タイヤ交換に時間がかかる――これで前に出始めたのは、スタート時のウェットコンディションでも、のちのちドライになると読んでドライタイヤで出走したチームだったというわけですね。
ひとしきりタイヤ交換のドタバタが終わった頃、トップに立ったのは#108チーム能塚&マニュアルテックカワサキ。#8ガレージLB&KT.プラス仙台、グリーンスポーツ&WAKOs、アケノスピードYAMAHA、オートテクニックスポーツが後方につけます。
しかし、50周を数える前に、アケノスピードYAMAHAの73号車が激しく転倒し、マシンがコース上に残ってセーフティカーが介入。ここでもドラマが起こってしまいます。
セーフティカー介入中にピット作業を済ませて、位置取りを変えようとしたのかな、#108がピットイン。しかし、ピットロード出口が封鎖されていたため、大きくタイムロスをしてしまいます! さっきついていたセーフティカーとは別の後方についてしまい、5番手あたりまで順位を落としてしまうのです。
セーフティカーがアウトすると、トップに立ったのは#99ヤマハタイランド。2番手に#74アケノスピードYAMAHA、3番手に#108チーム能塚&マニュアルテックカワサキ、4番手にアストラホンダがつけます。タイヤマハもアストラホンダも、タイヤ交換のタイムロス、一気に帳消しにする快走ですね。
しかし、ここでももうひとつドラマが! トップを走る#99ヤマハタイランドでしたが、セーフティカー介入時に前者追い越しをしてしまったようで、残り1時間を切った頃になんとピットスルーペナルティ! これで0再び順位を落としたタイランドヤマハは4番手くらいからの再びの追い上げを強いられたことになります。
これでトップに立った#74アケノスピードYAMAHAですが、なんとここから#99ヤマハタイランドが猛烈な追い上げを始めるのです。ひょっとして、レインタイヤスタートのヤマハタイランドは、ドライタイヤスタートのアケノスピードより、10周分くらいタイヤがフレッシュだったから、それが優位に働いたのかもしれません!
逃げる#74ドニ・タタ・プラディファ(インドネシア)と、追う#99ピーラポン・ブンラート(タイ)。1周につき2~3秒も速いブンラートは、ついに81周目、残り7分てところでプラディファをかわしてトップに浮上! これでヤマハタイランドは、スタート直後にレインタイヤで2番手を走って、ピットインしてドライタイヤでレース中盤にトップに浮上、そこからペナルティを受けて再び追い上げを強いられ、ラスト7分で、またトップに立った、というわけです。なんて執念! なんてスピリット!
最終的に#99タイランドヤマハは、#74アケノスピードYAMAHAに7秒差をつけて83周を走りきって優勝! 2位にアケノスピードYAMAHAでヤマハYZF-R6が1-2フィニッシュ! 3位にアストラホンダのCBR600RRが入りましたが、この#7号車はイエローフラッグでの追い越しのペナルティを受け、2周減算の祭典が下ってしまうのです! これで3位に繰り上がったのが#108チーム能塚&マニュアルテックカワサキとなりました。 これがインター4Hの表彰台で、ナショナル4Hは#46ゲインズハイト&CLUBモトラボEJが優勝、2位に#41磐田レーシングファミリー、3位に#88立秋モータース&RC甲子園ヤマハが入りました! 正式結果はまたあとで!