予選結果がゼロになる決勝レース
豪雨、濃霧、そして強風の影響で、JSB1000クラス以外の公式予選が日曜に延期されてしまったオートポリスサーキット。明けて日曜は、朝から霧と雨は残るものの、土曜ほどのひどさではなく、関係者全員がヒヤヒヤするなか、なんとか予定通り、J-GP3、ST600、JSB、J-GP2クラスの予選、決勝が行われました。JSBクラス以外は、通常は朝のウォームアップの時間帯を予選とし、なんとかかんとかやり終えました。
この日のハイライトは、やはりJSBクラスでしょう! 小雨から豪雨に替わるタイミングでタイム出しをやり遂げた、チームカガヤマの浦本修充がポール、地元九州・福岡の荒瀬貴をはさんで、3番手に加賀山就臣がつけました。
公式予選は以下、④高橋巧 ⑤酒井大作 ⑥濱原颯道 ⑦渡辺一馬 ⑧上和田拓海 ⑨松崎克哉 ⑩清成龍一 という順。ヨシムラスズキの津田拓也は11番手、V5チャンピオンのヤマハファクトリーレーシング中須賀克行は13番手、ヤマハファクトリーから、世界耐久出場のため、このオートポリス大会を欠場した野左根航汰の代役として参戦した、マイケル・vd・マークが20番手。ただしこの順位は、予選セッションのコンディション変化も考えると、相当にアテにならない順位。
事実、きちんと準備できた日曜朝のウォームアップ走行では、高橋巧がトップタイム、2番手に津田、3番手に加賀山がつけ、以下④中須賀 ⑤浦本 ⑥マーク ⑦濱原 ⑧清成 ⑨原田武人 ⑩高橋裕紀と続きました。
スタートディレイと赤旗中断
決勝レース、一度はグリッド整列したライダーたちでしたが、降雨でいったん赤旗が提示され、スタートはディレイ。それと、霧ですね、オートポリス名物のジェットコースターダウンヒルから先の登り区間に霧が立ち込めてしまいました。
いったん、レース周回は15周で回復を待って再び仕切り直し。ほぼ全車スリックタイヤでのスタートですね。予選2番手の荒瀬選手のみ、レインタイヤでギャンブルに出たようです。
ようやく始まった決勝レース、ホールショットを奪ったのは加賀山! 以下、高橋巧、浦本、酒井、渡辺あたりが好スタート。すぐに高橋がトップに立ち、その高橋について行ったのは加賀山のみ。この2台が3番手以降を大きく引き離してレースがスタートします。3番手に渡辺、4番手に高橋裕紀、5番手の酒井の後ろに、なんと予選5列目13番手からジャンプアップした中須賀がつけています。
しかし、4周目に入ったあたりで、再び霧! ここで再び赤旗が出され、レースは中断。もう、コースの後半セクションは、雲の中を走っているような状態になってしまいました。
再開レースは、レース中断時点の順位によるスターティンググリッド。つまり、フロントローは①高橋 ②加賀山 ③渡辺、って順です。このスタートも、ホールショットを加賀山が獲得。2番手に高橋、3番手に中須賀が上がってきました! いよいよ来た!って感じですね。しかし、オープニングラップのうちにvd・マークがトップに浮上! 少し離れて加賀山、中須賀、高橋がつけ、2周目には中須賀が2番手、高橋が3番手に上がります。なんと、YZF-R1の1-2フォーメーション! 昨日の時点で、今朝の時点で誰が予想できたでしょうか! 中須賀はvd・マークの逃げを許さず、3周目にはトップに浮上! コース後半セクションで高橋が2番手に浮上し、この3台が4番手以下を引き離し始めました!
中須賀-高橋-vd・マークがトップグループを形成。少し離れて、セカンドグループを加賀山-藤田拓哉-渡辺がリードしている状況。トップ争いは中須賀が逃げたい、高橋は逃がしたくない、そんな緊張感でヒリヒリし始めます。
vd・マークがやや遅れ始め、逆に高橋がファステストラップを連発して中須賀に接近! しかし、いよいよ中須賀の背後に張り付くか、と思われた8周目、高橋のCBRにトラブル発生! そのまますスローダウンしてピットに戻り、そのままリタイヤしてしまいました。
これでレースは中須賀-vd・マークの後ろに、セカンドグループから抜け出してきた津田がつけ、vd・マークは11周目に転倒! 再スタートして順位を大きく下げてしまいました。
終盤、中須賀はもはや独走! 10秒ほど大きく離れて津田、その後方で濱原、渡辺、藤田が続き、最終ラップに濱原がオーバーラン! 結局レースは、中須賀が独走優勝、2位に津田、3位に渡辺が入りました!
中須賀はこれが今シーズン初優勝! 2016年の最終戦・鈴鹿大会から数えて、実に231日ぶりの優勝を飾り、ゴールした表彰台下では、思わず涙を見せていました。
「ケガの具合もあったし、鈴鹿8耐も控えているので、予選では行きたいけど行けないもどかしさがありました。優勝から遠ざかっていたので、チームスタッフのみんなも下を向きがちだったんですが、今回勝ててみんなが喜んでくれたことが本当にうれしい。チームのムードも盛り上がったし、8耐ヘしっかり準備を進めたい」と中須賀。
中須賀が今季初優勝、もてぎ優勝の野左根がレース欠席、そしてポイントリーダーの高橋がノーポイントということで、これで全日本ロードレース前半戦、5戦4レースを終わってのランキングは
①津田拓也:95P ②渡辺一馬:94P ③高橋巧:92P
のトップ3となりました。
これでJSBの次のレースは、2か月空いて8/20もてぎ大会。7月末には鈴鹿8時間耐久ロードレースが開催されます! チャピオン争い、今シーズンからニューモデルを投入した、スズキ、カワサキ、ホンダの争いになってきたんですね。ちょっとおもしろくなってきました!
撮影/赤松 孝