moto3鈴木竜生、表彰台へもう一歩!
MotoGP 第8戦オランダGP、別名TTアッセン、と呼ばれることもあるGPが終わりました。レースウィーク始まりの金曜にはドライコンディションだったものが、土曜には雨、決勝日は曇りのち晴れ、時々小雨、っていう目まぐるしい天気。一日にコロコロお天気が変わることは「ダッチウェザー」って呼ばれます。ま、オランダ的な天気、ってことですね。中の人も何度かオランダを訪れていますが、まぁ天気がころころ変わる! 「太陽がまぶしかったら傘を用意しろ」って、あるオランダのグランプリメカニックに教わったことわざです。んなアホなw
このオランダGP、日本人ライダーが輝きました! レース順番はmoto3→MotoGP→moto2の順だったんですが、全クラスとももうTV画面で興奮しっぱなし!
まずは日本人ライダーが3人フルエントリーしているmoto3クラスは、SIC58スクアドラコルセの鈴木竜生(スズキタツキ=19)がやってくれました!
鈴木はこの数戦、特にムジェロあたりからハッキリ走りが変わってきましたね。ココ(http://www.autoby.jp/_ct/17085050)にもレポートをあげているように、シーズンを振り返ると、転んだり、転ばされたり巻き込まれたり、が続いて4戦連続ノーポイント。ここで心が折れなかった! 自分の走りが上向いていたのがわかっていたのでしょう。
20台ほどの大集団のままトップ争いが展開したイタリアGP、最後の最後に他ライダーに巻き込まれて転倒してしまいますが、続くカタルニアGPでは、予選9番手から、レース中盤あたりまでは中盤グループを走るんですが、折り返しの頃に、トップ集団が8台に絞られると、きちんとその最後尾につけます。コーナーの進入ごとにブワッとバラけるタテ長の大集団です。最後はトップ集団が12台くらいに増え、鈴木は10位でフィニッシュ! なんだヒトケタ惜しいな、とも思いますが、優勝したホアン・ミルから、わずか1秒8遅れです! 順位もですが、トップとの差を気にして見ると、接戦のクラスはなおさら面白い!
そして迎えたオランダGP。予選10番手に終わった鈴木でしたが、スタートが決まってスルスルッと1コーナーに5番手で進入! 鈴木、最近クラッチミートだけじゃなく、1コーナーまでの加速と最初のライン選択が上手いですね。
そのまま鈴木、1周目を4番手で終了します。トップグループは4台から6台、それから11台と増えていきますが、鈴木はずっと4-5番手をキープ。そして、ラスト3周くらいで、それぞれのライダーの思惑が動き始めるころ、それでも鈴木はポジションを落とさず、8位でフィニッシュ! 解説の坂田さんもおっしゃっていましたが、最後のひと伸びが足りないのが、今の鈴木の課題でしょうか。欲を言えばね、ラスト2~3周でイッパツ仕掛けるところも見たいですね。そういうレース展開、きっとこの数戦で出てくると思います。
その鈴木、早くも来年のシートが決まりました! 2018年も同じくSIC58スクアドラコルセのライダーです。今年、表彰台争いから優勝争いをして、2018年はチャンピオン争いしてほしい! ほか日本人ライダーは佐々木歩夢が15位でポイントを獲って、鳥羽海渡は19位に終わりました。
抜かれたら抜き返すファイティングタカアキ!
Moto2では、悩み多き日本のエース中上貴晶が久々に輝きましたね! 中上も、もうmoto2クラス6年目。チャンピオン争いしてササッとMotoGPクラスへ、って言われて久しい実力者です。今年こそ、今年こそ、さぁ今年こそ、の2017年なのです。今年も開幕戦こそ3位表彰台を獲得したものの、転んだり、転ばされたり、追い下がったり、で迎えたアッセン。言うまでもなく、去年優勝したサーキットです。きっといいイメージがあるはず!
雨となったFP3では下位に沈みましたけど、ドライとなった公式予選では2番手タイムをマーク。ひとセッション、雨で走ったら、それからガクッと調子を崩すことがありましたから、フロントローなら問題なさそうです。
スタート、中上は3番手で1コーナーへ。7台ほどのトップグループから、トップに立ったのは9周目でした! 2番手を走っている時に、現在のポイントリーダー、フランコ・モルビデリに何度かアタックされますが、抜かれたらすぐ抜き返す、って気迫がすごかった。
「あれ、ナカガミ、いつもと違うな」ってライバルに思わせたらこっちのもの。中上、走りがジェントルだから、むりやりインにネジ込まれたらスッと引いちゃうんですよね。でも、いつもそれやってると、いつでも抜けるよアイツは、って思われちゃうから!
そして、しばらくトップを走っていると、コースにレッドクロスフラッグ(=雨降ってきたよー!)が掲示されます。このまま雨がひどくなると赤旗中断その時にレース周回数が2/3終えていればレース成立、終えていなければ再スタート、という展開です。そういえば、去年のアッセンは、ラスト数周で赤旗が出て、中上が逃げ切ったんでした。
24周のレース、2/3となると16周終了時にレース成立になります。9周目くらいからトップを走る中上、16周を越えたあたりで「このまま雨降って赤旗でてくれー!」って気持ちと「最後まで走り切って完全勝利してー!」って気持ちが入り混じります。
結局、2/3の16周目もトップで通過し、それでも後続は離れない。自己ベストを連発して逃げようとしても、モルビデリもマティア・パシーニも、トーマス・ルティも逃がしてくれません!
結局、しつこくアタックしてきたモルビデリではなく、20周目にルティがトップへ、さらにモルビデリにも先行され、中上は3番手へ。さらにパシーニにもミゲル・オリベイラにも抜かれ、中上は5番手へ。あちゃー、このまま終わりかぁ、終盤に辛抱し切れなかったなぁ、と思っていた最終ラップ、中上はあきらめていませんでした。
まずコース中盤の8コーナーでオリベイラをパスして4番手へ、そしてシケインの進入でパシーニをパスして3位でフィニッシュ! 抜かれて行き場のなくなったパシーニがコースアウトしながら中上より先にフィニッシュラインを通過しましたが、これはズル。規定通り、ひとつ順位を下げて優勝モルビデリ、2位ルティ、そして3位中上、4位パシーニ、という結果となりました。
「トップグループの誰が勝ってもおかしくないレースでした。一度は5番手に落ちて、そこから表彰台まで復活したので、いいレースができましたね。最終区間では僕の方が速かったので、パシーニにも仕掛けたんです。次は連戦、ドイツGPですから、この調子のままレースに臨みたい」と中上。
次のサクセンリンクは、去年ポールポジションを獲ったコースです。連続表彰台、今シーズン初優勝を狙って行ってほしいです!
なお、Teluruストップアンドゴーの長島哲太は21位に終わりました。
さて次は、連戦で第9戦ドイツ・サクセンリンク。決勝日は7/2です!