ようやく日本にCBR-RRが登場!
第4戦もてぎ大会の土曜には、「MFJカップ」JP250(=ジャパン・プロダクション250)の予選/決勝が行なわれました。
MFJカップJP250をもう一度説明しておくと、全日本ロードレースと併催される、市販250ccスポーツバイクをベースにしたレースです。対象モデルは、ホンダCBR250R、ヤマハYZF-R25、カワサキNinja250に、KTM-RC250。そこには今シーズンから、発売されたてのホンダCBR250RRも含まれるのですが、市販モデルはもちろん、レースベース車もデリバリーが追いつかず、ようやくこのもてぎ大会からエントリーが始まったのです!
先週、鈴鹿サーキットで行なわれたアジア選手権AP250(アジア・プロダクション250)クラスへは、ひと足先に海外仕様のCBR250RRをベースとしたAP250マシンが登場していたんですが、なにせ国内仕様は4月18日発売。市販状態で購入してウィンカー外してライト取って、マフラー替えて……とレース仕様にモディファイしても、レースベース車から製作しても、ほぼぶっつけ本番なスケジュールなのです。
しかし、その出たばっかりなCBR250RRが、予選から圧倒的なパフォーマンスを披露しました。
予選ポールポジションは上原大輝(クラブハルクプロ)。開幕戦・筑波大会のウィナーですね、タイムは2分13秒355。このポールタイムを4月のもてぎ選手権(=もてロー)のポールタイムと比べると、なんと3秒もの短縮です! ちなみに、もてローのJP250コースレコードは、YZF-R25に乗る吉沢隆(クラブケンジン&ペンタグラム&プラスユー)の2分16秒372でしたからね。
予選2番手は薄井徹也(エンデュランス)。薄井はJP250界では有名なCBRマイスターで、前身のCBR250Rドリームカップ時代、さらに筑波のシングルレースやイベントレースで勝ちまくっているライダーです。今シーズンは、全日本-アジア選手権に参戦しているT.PROイノベーションのAP250部門のアドバイザーとしても活動していて、小山知良車のナラシ、セッティング、テストを担当。今回はエンデュランスから、スポットとはいえ久々の実戦ですね。
予選3番手は中沢寿寛(iファクトリー&Mガレージ)で、この中沢もCBRドリームカップ時代からの強豪で、筑波選手権第2戦のJP250ウィナーです。ここまで予選上位3台がCBR250RR。すごいすね、デビューしたてで、準備もきちんとできていないと思われるCBRが1-2-3です……。
予選4番手に、ようやくYZF-R25の小椋華恋(キジマKISSレーシング)。小椋は筑波選手権JP250クラス(MFJカップとは別レースです)開幕戦で2位(優勝ライダーと同着→写真判定)になったライダーで、この小椋をはさんで、予選5番手から9番手まで、またズラーッとCBR250RRが並ぶのです。つまり、予選3列目9台まで、YZF-R25が1台ポツンとあって、あとは全部CBR-RRと、そういう光景なわけです。
予選の時間帯はどピーカンだったもてぎですが、決勝レースが行なわれた夕方は、ひと雨きた後。レース時間には雨こそ上がったものの、路面はガッチリ濡れたウェットレースとなりました。好スタートを切ったのは、予選3番手の中沢。後方に薄井が続いて、ポールシッターの大原はやや出遅れつつ、それでも3番手につけてレース序盤を消化。レース序盤からこの3人が4番手以降を引き離してトップグループを形成します。
すぐに薄井がトップに立ち、4周目には中沢が転倒してしまいます。これで3番手以降のライダーが少し離れて、トップ争いは薄井vs大原の一騎打ち。その後方の3番手争い大集団が、藤井謙汰(テルルMotoUP)、佐野優人(チームBATTLE)、田中敬秀(7cエムズホームMissionMovers+CAC=NTR)、笠井悠太(チームTECH2)、小椋、成田彬人(TeamHIRO)といった面々。ここでも、カレン以外はCBR-RRです。
レースは薄井vs上原の一騎打ちが続き、3番手争いが順位を入れ替えまくる激戦。結局、上原は薄井を捕まえることができないまま、薄井-上原の順でフィニッシュ。16秒以上後方の3番手争いは笠井が抜け出して、その後方は田中、佐野、藤井の順でフィニッシュ。TOP6はCBR250RR勢が占めて、7位に森俊也(トリックスタークラブ)のNinja250、8位に小谷咲斗(チームALTEC NECTO T-Craft)のYZF-R25、9位に小椋、10位に藤村太磯(トリックスタークラブ)のNinja250が入りました。
ちなみにJP250は、国内ライセンスと国際ライセンスが混走になるので、国内クラス1-2-3が薄井-上原-田中で、国際クラスが笠井-佐野-藤井という順になります。もうこれ、ライセンス別表彰、する必要ないんじゃないかな。だって他のレースもだけど、国内ライセンスの方が速いこと、多いしね。
「僕にとってもこれがCBR250RRの初レースでした。シェイクダウンからまったく違和感なく乗れたし、NewCBRはトルクもあって、上も伸びる、本当に走り出しから速いマシンです。車体も、特に倒立フォークとフレームのバランスがいいんだと思います。レースは雨にはなりましたけど、ミスさえしなければ大丈夫だろう、と。序盤、中沢さんについて、トップに立ってからは自分のペースで走りました。スポット参戦で優勝、すごく楽しかったです」と優勝した薄井。
CBR独走がおかしな現象を起こさないか、心配です…
ただ、このCBR-RRの圧勝劇は、一抹の不安も感じさせるのです。CBRはもう、図抜けて速い。このCBRに勝つためには新型マシンを用意しなくてはならず、勝つためにはカワサキがNinja250をフルモデルチェンジし、ヤマハもYZF-R25を進化させ、今のところ蚊帳の外のスズキもニューGSX-R250をデビューさせて……なんてエスカレートするんじゃないか、って。
市販車ベースのレースで勝つためには、市販車のパフォーマンスを上げるのが近道なわけで、すると市販車の性能競争になって、そのうちアルミフレーム+倒立フォーク、しまいには4気筒エンジンもデビューしちゃって、とうとう市販車の価格が80万円、90万円、100万円になって、超高性能車=価格が高いのは仕方ない、超高性能車=選ばれた人しか乗れないなんて、いつか見たような250ccスポーツ車市場のシュリンクにつながっちゃうんじゃないか、ってね……。
こんな心配、杞憂に終わるにきまってますが、さぁ最強CBR250RRの登場で、JP250の戦力図、市販250ccスポーツの勢力図はどうなっていくんでしょう!