トップと2位の差が大会記録新の19秒819と、史上最大の激戦となった2017年ル・マン24時間耐久レース。レースを終えて、各チームとも母国に、ファクトリーに帰り、まずはライダー、スタッフは休養し、メカニックはマシンのバラしから始めるころでしょうか。
チーム体制も再機能し始めて、各チームともチームやライダーのコメントを発表できる段になってきたようですので、お知らせします。レースを見ていただけでは、展開を追っていただけではわからないドラマがあるんですね。特に、YARTのマービン・フリッツのコメントの中に、意外なYARTのトラブルが語られている点に注目!

画像: 優勝したGMT94のYZF-R1 使用タイヤはダンロップです

優勝したGMT94のYZF-R1 使用タイヤはダンロップです

画像: チームのエース的存在となったダビデ・チェカ ヘルメット、兄ちゃんとおそろい!

チームのエース的存在となったダビデ・チェカ ヘルメット、兄ちゃんとおそろい!

画像: 鈴鹿8耐とル・マン24時間が40回大会を迎えるのを記念して、優勝チームに送られた鈴鹿市長杯

鈴鹿8耐とル・マン24時間が40回大会を迎えるのを記念して、優勝チームに送られた鈴鹿市長杯

GMT=ギューイット・モーターサイクル・チーム

まずは優勝チーム、GMT94。フランスに本拠を置くGMT94は、1991年にスタートしたレーシングカンパニーで、代表は98年のフランススーパーバイクチャンピオン、クリストファー・ギューイットさん。ギューイット・モーターサイクル・チームでGMT、なんですね。2014年の世界耐久チャンピオンチームで、2005年以来のル・マン制覇ですね。
「珍しいレースだったね。YARTは最強の敵だったし、走っている瞬間、給油の瞬間すべてが勝利へのカギだった。チームの柱であるダビデ・チェカはいつものように速く、チームの柱になってくれたし、ニッコロ・カネパは体調が悪かったけれど、自分の走行スティントすべてで、エネルギーをすべてミスのない走りにつなげてくれた。マイク・ディ・メリオは今回の優勝の立役者かもしれない。3人とも元グランプリライダー。彼らの持つスピードをすべて耐久レース向けに発揮してくれたんだ」(クリストファー・ギューイット)

「このチームにいて14年になる僕にとって2度目のル・マン24時間耐久の優勝になった。2回、耐久チャンピオンになったけれど、ル・マン優勝は特別だね。GMT94は僕にとって本当のファミリーだからね」(ダビデ・チェカ)
「夜間走行では全力を使い果たしたよ。夜間は体調がよくなくて熱が出てしまって、自分のスティントの最後の方はペースも上がらなかったんだけれど、転倒には気を付けて、ペースを落とさないように頑張った。僕の調子が悪いのをカバーしてくれたチームメイトには本当に感謝している。クリストファーのレース戦略のおかげで優勝できたんだと思うよ」(ニッコロ・カネパ)
「初めての出場で優勝できた! 僕がGP125でチャンピオンになれた時以来、最高の瞬間だ。もちろん、最高のチームメイトを用意してくれたチームのおかげだし、このチーム体制がなければ、この大トロフィーには届かなかっただろうね。本当にありがとう」(マイク・ディ・メリオ)

画像: 前戦ボルドール24時間ではピレリタイヤを装着していましたYARTのYZF-R1

前戦ボルドール24時間ではピレリタイヤを装着していましたYARTのYZF-R1

夜間のペースダウンにまさかの原因!

2位に終わったYART(ヤマハ・オーストリア・レーシング・チーム)は、レースの大部分をリードしながら、終盤にGMT94にかわされての2位。悔しい2位でしょう! YARTはこのル・マン24時間からブリヂストンタイヤが供給されるという大きな節目のレースでもありました。
「ひとことで言うと、やっぱり疲れました。すごく長い、自分としても初めてのレースだったので、すごく難しくて、いい経験になりました。まわりのライダーもすごくペースが速かったので、自分的にはすごく厳しかった。チームメイトのマービン、ブロック、そしてスタッフの皆さんにすごく感謝しています。英語がうまくなくてコミュニケーションがうまく取れなかったけど、3人でいいセットアップも見つけられましたね。特にマービンとブロックには、僕が走らなかった時間帯も走ってくれて、負担をかけてしまった部分もあったので、次回はその恩を返せるように頑張りたい。今はものすごく疲れてるけど、また来年もル・マンへきて、今回と同じメンバーで優勝したいです」(野左根航汰)

画像: 日本人がル・マン24時間初挑戦で表彰台に登るという快挙を成し遂げた野左根 今週末には、ヤマハファクトリーチームから中須賀克行のチームメイトとして鈴鹿2&4に参戦します

日本人がル・マン24時間初挑戦で表彰台に登るという快挙を成し遂げた野左根 今週末には、ヤマハファクトリーチームから中須賀克行のチームメイトとして鈴鹿2&4に参戦します 

画像: 「信じられないリーンアングル!」と現地で話題になった野左根のライディング。この体の落とし方、体力の消耗が激しそうだが、野左根はそこを乗り越えて走り切りました!

「信じられないリーンアングル!」と現地で話題になった野左根のライディング。この体の落とし方、体力の消耗が激しそうだが、野左根はそこを乗り越えて走り切りました!

「(コメントの時に)たった今、ル・マン24時間が終わりました。本当に疲れている。今まで走ったレースの中でも、最高にハードだったね。僕らは24時間耐久のうち、21時間をトップでいて、最後にはGMT94にかわされて、抜き返すことはできなかったけれど、最後には19秒差まで追い上げることができた。レースは序盤から本当に激しかった。最初はSRCカワサキとトップ争いをして、SRCカワサキが転倒してからあとは、ずっとGMT94との戦いだった。その差はずっと1分以内だったね。僕のスティントの走行では、たくさんの周遅れをかわしながら、ずっとコンスタントに、速く走らなければならなかった。マービンとノザネという、ナイトランが初めてで、24時間耐久を初めて走る、しかもこのサーキットも初体験というライダーと、初めて履くブリヂストンタイヤのチームだったし、表彰台に乗れたのは良かったと思う」(ブロック・パークス)

「初めての24時間耐久で2位に入ることができて本当にうれしい。2位とはいえ、8時間と16時間の経過時の順位ポイントを獲っているから、GMTとは5ポイントしか離されなかったからね。僕らは頑張ったし、ブリヂストンタイヤもすごかった。ブロックの最後の走行まで、なぜだかモードスイッチが押されていてウェット用のマップで走っていたのがわからなくて、ペースが上がらなかったのが残念だったね。僕らは戦闘力があると思うし、あとはオッシャースレーベン、スロバキア、スズカに向けて頑張るだけ。チャンスはあると思うよ!」(マービン・フリッツ)

夜間から朝方にYARTがGMT94に詰め寄られたのは、まさかのウェット用モードで走っていたから、だったんですね… そ…そんなことあるんだ!
3位となったSRCカワサキのチーム情報はまたのちほど!

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