タイランドヤマハ勢の地元で……

この週末はアジアロードレース選手権・第2戦、タイ大会が行なわれました。
開幕戦から2週間、短いインターバルですが、アジア選手権はこの後、第3戦・鈴鹿大会が1か月半後、それから第4戦・インドネシア大会がさらに1か月半後……とスパンが長い選手権なのです。この開幕2戦だけが異例なんですね。
舞台はタイ・ブリラムにあるチャンサーキット。アジア選手権は、基本的に2Days制で、土曜にレース1、日曜にレース2が行なわれるのですが、今回は「ソンクラーン」というタイ暦の新年のお祝いで、日曜を避けて、金曜と土曜の2Daysとなったようです。
アジア選手権はSS600クラスを頂点に、アジアプロダクション250ccクラス(=AP250)、それにスズキアジアンチャレンジ(=SAC)が行なわれています。アンダーボーン150ccクラス(=UB150)も行なわれていますが、このクラスには日本人ライダーは参戦しておりませんので、割愛御免。
タイといえば、SS600クラスをはじめとした「タイランドヤマハ」の本拠地ですね。日本でもおなじみのチャランポール・ポラマイと、デチャ・クライサルトが優勝を狙いまくってくるでしょう。

まずはSS600クラス。開幕戦では、日本の羽田太河(RAMAホンダby NTS T.Pro ten10)がアジア選手権初優勝をあげるというサプライズを演じてくれましたが、今回はやはりタイランドヤマハ勢が強かった!  金曜のレース1では、クライサルトとポラマイに、アズラン・シャア・カマルザマン(マニュアルテックKYTカワサキレーシング)と、ザクワン・ザイディ(MUSASHIブンシュウホンダ)が食らいつく展開。しかし、レース中盤に、なんとクライサルトが転倒し、ザクワン後退で、アズランvsポラマイが一騎打ち。このトップ争いにアズランが打ち克って初優勝! 16年シーズンの開幕戦以来、約1年ぶりの優勝ですね。カワサキレーシングの藤原克昭コーチ、フィニッシュの瞬間に泣いてましたね ^^

画像: ポラマイ(後方)との一騎打ちを制したアズラン 約1年ぶりの勝利!

ポラマイ(後方)との一騎打ちを制したアズラン 約1年ぶりの勝利!

画像: チームアジアからmoto2世界選手権に出場していたアズラン(右) アジア選手権いスイッチしてカワサキ移籍から2年目、ようやく調子を上げてきました! 左が藤原克昭コーチ アズランは藤原コーツが大好きw

チームアジアからmoto2世界選手権に出場していたアズラン(右) アジア選手権いスイッチしてカワサキ移籍から2年目、ようやく調子を上げてきました! 左が藤原克昭コーチ アズランは藤原コーツが大好きw

土曜のレース2では、ちょっとした事件が起こってしまいました。まずはスタートで、ポラマイが大ジャンプスタート(笑)。そこからレース終盤まで飛びますが、クライサルト、アンソニー・ウェスト(アケノスピードWJRレーシング)、カマルザマンの3台がトップ争いから、ウェストが抜けだしたかと思えば、クライサルトもカマルザマンも食い下がり、勝負は最終ラップの最終コーナーへ!
最終コーナー、ウェストのインをつくカマルザマン、さらにクライサルトがそのインをつくと、3台並ぶように最終コーナーへ突入も、クライサルトがオーバーランし、カマルザマンとの最終コーナーからの加速合戦を制したウェストが優勝! 0秒03と僅差の勝負を制しました!
……と思ったら、レース後の車検で、ウェストのチームはレース後の再車検に応じず、そのまま失格となってしまいました。レース後の再車検というのは、毎レース上位入賞車に対して行なわれるもので、入賞者にレギュレーション違反がなかったかどうか調べるまったく普通の手順。なのに、その再車検を拒否するというのは、違法改造があったと認めているようなものです。
ウェストは自分のツイッターで「主催者とタイランドヤマハにハメられた!僕らはプライベーターだから抗議する力もなかった」と表明していますが、なにもやましいところがなければ再車検を受ければいいだけの話。この話、やはりウェストに分が悪いですね。
それに、一度ウェストの元に渡った優勝トロフィが、アズランの元に来た時には傷つけられていた、というから穏やかじゃありません。なんとも後味の悪い話です……。反論があったら、ここの欄できちんと掲載しますね。

AP初代チャンピオンがやってくれました!

AP250では、今シーズンからホンダCBR250RRをライディングする初代チャンピオン、山本剛大(たけひろ)がやってくれました。金曜のレース1では、開幕戦でダブルウィンを飾ったゲイリー・サリム(アストラHONDA)に3連勝を許してしまうんですが、ここでも山本はきっちりトップグループにつけ、表彰台までわずか0秒002差の4位フィニッシュ。
しかしレース2では、ここまで3戦全勝のサリムがまさかのマシントラブルでスタートできず、山本がスタートからレースをリード。山本についてきたのは、アヌパブ・サムーン(ヤマハタイランドレーシング)、レイザ・ダニカ・アレーンス(アストラホンダ)。何度か山本も後方に下がりましたが、最終ラップでジリジリと引き離し、そのまま今シーズン初優勝をかざりました!

画像: コンスタントに上位入賞を続ける山本。ついにランキングトップへ1ポイント差!

コンスタントに上位入賞を続ける山本。ついにランキングトップへ1ポイント差!

画像: 昨年は惜しくも優勝できなかった鈴鹿大会 CBRに乗り換えた今年は?!

昨年は惜しくも優勝できなかった鈴鹿大会 CBRに乗り換えた今年は?!

これで2戦4レースを終えて、サリムが1st/1st/1st/DNS(=DoNotStart つまり出場せず、です)の75Pointに対し、山本は2nd/3rd/4th/1stの74pで、1ポイント差のランキング2位! 次戦は地元・鈴鹿でダブルウィンを飾ってもらいましょう!

画像: スタート直後じゃありません これがトップ争いです! 厳しいけど、ちょっと危なげSAC

スタート直後じゃありません これがトップ争いです! 厳しいけど、ちょっと危なげSAC

画像: これが藤田です ヘルメットは師匠・青木宣篤レプリカですね

これが藤田です ヘルメットは師匠・青木宣篤レプリカですね

SACでは、日本人でただひとりエントリーしている藤田哲弥がやってくれました! GSX-R150ワンメイクのこのレース、金曜のレース1では、エイプリル・キング(フィリピン)が開幕戦のレース2に続く連勝を飾りましたが、8位に入った藤田との差は、なんと0秒78!なんと10位までが1秒以内にひしめいているという、超接近戦が、このSACなのです。
そして土曜のレース2では、レース1で10台だったトップ争いが、なんと今度は11台に増えるという超接戦! そのまま最終ラップ、コーナーごとに順位を入れ替えながらの最終コーナーで、集団の中で2台が転倒し、それに5~6台が巻き込まれて転倒するという地獄絵図! その集団で生き残ったのがわずか4台で、その先頭に藤田がいたわけです! 言ってみればタナボタです。最終コーナーのアクシデントがなければ、藤田は5位か6位か、そんなところだったでしょうが、アクシデントがあった時に、それを回避して先頭でチェッカーを受けられる位置にいることが大事なんです! 棚からぼた餅が落ちて来たって、それを拾える位置にいるかどうか、ってこと。
これで藤田はランキング3位に急上昇! 藤田とは、先週の全日本選手権の筑波大会の時に会って少し話したんですが、その時に「SACで日本人初チャンピオン狙います!」って宣言していましたから、がぜん藤田の走りに注目したいと思います!

画像: 順位だけを見ると、12th/2nd/8th/優勝と出入りが激しい藤田ですが、それだけ激戦ってこと!

順位だけを見ると、12th/2nd/8th/優勝と出入りが激しい藤田ですが、それだけ激戦ってこと!

すべての正式結果はコチラ→http://www.asiaroadracing.com/results-2017/
さらに、アジアロードレース選手権の公式youtubeチャンネルはコチラ→https://www.youtube.com/user/AsiaRoadRacing

次戦は6月3-4日、鈴鹿サーキットで行なわれます。羽田太河、山本剛大、藤田哲弥の2勝目を見に、鈴鹿サーキットへいらっしゃってください!(^^)

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