8番手スタートのヒカリ、好スタート!
この日曜はワールドスーパーバイク(=WSBK)第2戦・タイ大会のレース2、ワールドスーパースポーツ(=WSSP)決勝レースが行なわれました。WSSPクラスでは、きのうの予選でのスーパーポールを経て、ジュール・クルーゼル(ホンダ)がポールポジションを獲得。クルーゼルは大久保光の在籍するCIAランドロードインシュランスのエース。開幕戦では最終ラップのラスト2コーナーで接触されてリタイヤ。しかし、依然としてチャンピオン本命のライダーです。
タイらしい、暑い日差しが降り注ぐ決勝レース。スタートから飛び出したのは、そのクルーゼルでした。2番手にワイルドカード参戦のヤマハタイランド、チャランポール・ポラマイ、3番手に、開幕戦でクルーゼルを撃墜したフェデリコ・カリカスロがつけ、タテ長に10台近くがつながる展開。予選8番手の大久保は7~8番手につけています、いいスタート!
2周目にはポラマイがトップに浮上。クルーゼル、カイル・スミス(ホンダ)、カリカスロが後方につけ、このへんがトップグループを形成します。
しかし、3周目には後方を走っていた開幕戦のポールシッター、パトリック・ヤコブセン(MVアグスタ)がエンジントラブルでリタイヤ。さらにいったんはクルーゼルにかわされるけど、トップグループにいたポラマイがスリップダウン! クリスチャン・ガマリーノ(ホンダ)が2番手に浮上、ここでカリカスロをはさんで、もうひとりのワイルドカード、ヤマハタイランドのデチャ・クライサルトもトップグループに加わってきます。カリカスロは新型YZF-R6、クライサルトは旧型ですね。
5周目あたりには、クルーゼルが後続を引き離しにかかります。この周、4~5番手につけていたスミスが、2コーナーで3~4台を一気にパスするブレーキングを見せますが、スパッとインに入られたガマリーノが転倒。両車、接触してないんですけどね、うーん、レーシングアクシデントかなぁ、ガマリーノもビクッとフロントブレーキ触っちゃったんだなぁ、と思ったら、このシーンでスミスに「3ポジション降格」のペナルティが提示されます。このサインボードが、のちに大きなドラマを生むんですねぇ。
クルーゼルにトラブル!まさかの2戦連続ノーポイント!
レース中盤には、クルーゼル×カリカスロ×クライサルトのポジションで順位が安定。この頃、大久保は一時4番手争いをリードしたり、という快走! 実況でも「ウクーボ、ウクーボ」って連呼されてます。大久保、英語読みすると「ウクーボ」なんですかね(笑)。
そして、レースが11周目に入ったころに、クルーゼルのCBRが白煙を噴いてしまいます。マシントラブルでリタイヤ――なんてアンラッキーな! これでレースは、カリカスロとクライサルトがトップ争い、やや離れて3番手にニキ・トゥーリ。4番手にいたスミスがトゥーリに迫りますが、あれ?スミスは3ポジション降格のペナルティをこなしていません。そのため、降格の提示ボードは数ラップ無視されちゃったから「ライドスルーペナルティ」にかわるわけです。
ラスト3周くらいには、クライサルトがカリカスロにアタック! いったんパスしてトップに浮上すると、チャーンサーキットは大歓声。カリカスロも意地を見せて抜き返しますが、デチャ、見せ場作ったなぁ! ここでスミスが、ファステストラップを連発してトゥーリをパスし、3番手に浮上! その勢いで最終ラップにはクライサルトまでかわしますが、再び抜き返され、と2番手争いが激化したところで黒旗が提示! なんとライドスルーのサインも無視したスミスが、とうとう失格になってしまったのです。問題となったパッシングシーンも微妙だったし、ペナルティボードの提示も、決して見やすくはなかったよね……。スミス、気の毒!
結局、勝ったのはクライサルトの猛攻をしのぎ切ったカリカスロ! ヤマハファクトリー、新型YZF-R6にとっての初優勝ですね。2位にクライサルト、3位にトゥーリが入って、なんと表彰台をR6が独占しました!
「僕のキャリアの中でベストレースだ。スタートからフィニッシュまでずっとトバしてた。すごく暑くて大変だったけど、ヤマハ、そしてチームのみんなにお礼を言いたい」とカリカスロ。まだ20歳のイタリアン、英語もたどたどしくて、勝利者インタビューも初々しくて新鮮でしたね。パルクフェルメには、ヤマハのモータースポーツ部長、辻さんの姿もありました。MotoGPのテスト、いなくていいんだろうか(笑)。
大久保は5番手争いの集団を抜け出せなかったけど、キッチリ7番手でフィニッシュ。スミスが失格になって、リザルトは6位です! 6位までが「入賞」っていわれますから、大久保光、初のWSSP6位入賞です! いいぞいいぞ! トップ10どころか6位入賞とは! 次からのヨーロッパラウンドでもこの調子で!
「ベストリザルトとなり、嬉しい反面、反省点も多くあるので、次戦までにしっかり改善していきます。いつも応援して下さる皆様、本当にありがとうございます」(大久保光)
もうひとりの日本人ライダー、渡辺一樹は、朝のウォームアップで転倒を喫しながら、16番グリッドスタートから周回ごとに順位を上げて9位フィニッシュ! おぉ、いいぞ、これで2戦連続トップ10フィニッシュ! 本人は、まだマシンのセッティングに満足できずに本来のスピードを出せていないようですが、その中で結果を残すのは大事なこと! チームの信頼も得られるしね、チームメイトのジーノ・レイは2戦連続ノーポイントだしね。
これでWSSPは、今回11位のロベルト・ロルフォが、開幕戦優勝のポイントリードもあってランキングトップを死守。今回優勝のカリカスロも、前戦ノーポイントですから、上位陣の獲得ポイントがバラけてますね。2戦連続でハイポイントを獲得しているトゥーリがランキング2位です。
これで4月2日に決勝を迎える第3戦からはヨーロッパラウンドがスタート。絶対王者、ケナン・ソフォーグルも復帰してきますし、日本人ライダーでは2015年ピレリカップチャンピオンの國川浩道も参戦をスタートします。日本人ライダーが3人になるわけですね、これは楽しみ♪
□ワールドスーパースポーツ第2戦 タイ大会リザルト
1 フェデリコ・カリカスロ ヤマハYZF-R6
2 デチャ・クライサルト ヤマハYZF-R6
3 ニキ・トゥーリ ヤマハYZF-R6
4 シティポン・ワロコン カワサキZX-6R
5 カイル・ライド カワサキZX-6R
6 大久保 光 ホンダCBR600RR
WSBKは絶対王者ジョニーが4戦全勝!
ワールドスーパーバイク(=WSBK)は、カワサキZX-10RRをライディングするジョナサン・レイが開幕戦のWウィンからの4連勝を達成しました。
レイは、きのうのレース1で優勝したことで、今年からの新ルールによりレース2のグリッドは3列目9番手まで下げられるんですが、そこをものともせずにすぐに順位を上げ、オープニングラップの1コーナーには4番手あたりまで上がり、レース2のポールポジション、マルコ・メランドリ(ドゥカティ)をとらえて4周目にはトップに浮上。チャズ・デイビス(ドゥカティ)は2周目に転倒、大きく順位を下げて再スタートします。
しかし、ここでロレンゾ・サバドーリ(アプリリア)がマシントラブルでオイルを噴き、転倒。オイルがコースに飛散したことでレースは赤旗中断。この時点でのポジション順でリスタートのスターティンググリッドが決まるんですが、この時点でトップにいたのはレイ。つまり、仕切り直しのレースはポールポジションからのスタートになるわけです。
再スタート後は、ホールショットを奪ったレイを、中断前にデイビスが転んだ3コーナーでメランドリがかわすものの、そこまで。そこからは、レイが「いつものように」ジリジリと後続を引き離し、トップの座を譲ることなく優勝! レース序盤から3番手につけていた、レイのチームメイトであるトム・サイクスが最終ラップでメランドリをかわして2位フィニッシュ。3位にメランドが入りました。この3人が終始レースをリードし、4番手以下を5秒以上引き離してフィニッシュしました。赤旗前に単独で転倒していたデイビスは、レース再開で助かりましたね。6位フィニッシュで10ポイントを獲得しました。
これで2戦4レースを終わって、レイがパーフェクトの4戦全勝。ランキング2位のデイビスに30ポイント差をつけてヨーロッパラウンドが始まります。いやぁ、ZX-10RRもレイも、速いし強い!