プレシーズンテスト、いよいよ最終回
WSBKが開幕2戦目を迎えている3月第2週、MotoGPはプレシーズンテストの最終回、カタールテストを迎えています。ここまでマレーシア、オーストラリアとテストを重ねてきて、このカタールはいよいよナイトセッション。言うまでもなく開幕に合わせた時間帯でのテストで、いよいよ本番秒読みですね。
カタールテストでは、初日にアンドレア・ドビツィオーゾ(ドゥカティ)がトップタイムをマークし、2日目はヤマハのマーベリック・ビニャーレスとバレンティーノ・ロッシが1-2。3番手はヤマハサテライトのルーキー、ヨナス・フォルガーで、なんとYZR-M1が1-2-3フィニッシュです!
ホンダが、ドゥカティがついに!
そして、このプレシーズンテストでもうひとつ注目されたのが「ブリスターカウル」です。ご存じのように、2016年の各マシンで完全に定着した「ウィング」ですが、これが車体から突き出た形状ということで、安全性の面からレギュレーションで禁止されてしまいました。シーズン中、パッシングシーンでサイドbyサイドの隣のライダーの体にウィングが触れる、なんてシーンが何度かありましたからね、危険とか負傷とか、大きな問題にならないうちに禁止してしまおう、というものです。見る方の僕らにとっては、なんか、アッパーカウルからびよーんとウィングが突き出ていて、カッコ悪い…と思う人が多かったですからね。レギュレーションで規制してしまうのもしょうがないかな、という感じを持った人も少なくなかったと思います。
けれど、なにもファッションや流行で装着していたわけではありませんから、メーカーは困るわけです。そもそもあのウィングは、2016年シーズンの「共通ECUソフト」とセットの問題で、2015年までの自社製ソフトではきれいに制御できていたウィリーが、共通ECUでは制御できないから、外部デバイスに頼ろう、という発想だったわけです。
2015年には「ウィングの効果は未知数。最高速もスポイルされるし、ハンドリングや切り返しも重くなる」と言っていたあるメーカーの技術者も、2016年には共通ECUソフトとセットで、必要になってきた、と教えてくれましたからね。
マレーシアでヤマハが、オーストラリアでスズキとアプリリアが新ブリスターカウルを公開し、さて次はホンダとドゥカティだ、と見られていたカタールテストですが、ついにこの2メーカーも公開しました。ホンダは、エンジンメーカーとして意地でもブリスターカウルを装着せず、ウィリーしにくいエンジン特性にしてくるんじゃないか、と言われていましたが、カタールテスト初日でちょっと出走したようです。これは、従来のカウルに「追加装着」したような形状と構造で、いかにもテストカウルっぽい出来栄え。最終テストで、この段階で大丈夫?とも思われましたが、まぁテストはテスト。特にカタールのような高速サーキットでは、ウィングやブリスターはデメリットの方が大きいと言われていますから、ちょっと効果測定してみた、そんな出来とタイミングだったようです。
そして、大トリを飾ったのはドゥカティ。2015~16年も、ウィングの効果を一番アピールし、たくさんのウィング形状、構造のバリエーションを持っていたし、レギュレーションでの禁止にいちばん反対を唱えていたのがドゥカティでしたから、ブリスターはさぞやスゴかろう、と思われていましたが、やっぱりスゴかった(笑)。なんていうんでしょう、従来のカウル形状の延長とか、そういうのをキッパリ無視して、かつての耐久マシン「elf-e」(検索してみて)を思わせる形状というか、elfはヘッドライトでしたが、漫画「ふたり鷹」にも出てたよね、あの形状をすぐに思い出しました。
このカタールテストをもって、2017年プレシーズンテストは終了。新エンジン、新フレームはもちろん、新形状カウルまで注目される2017年シーズン、開幕戦カタールGP開幕は2週間後、3月26日が決勝です! 開幕戦に、このブリスターカウルは登場するかな?