ツーリング&街乗り重視のニューモデル
アライ製品はモトGPライダーやF1ドライバーに愛用者が多いことからモータースポーツのイメージが強いが、ストリートユースを前提に開発された新製品がベクターX。同社のフルフェイスラインアップの中ではミドルレンジに入るモデルだ。
特徴はレースで鍛えられた安全性とツーリングや街乗りでの快適性をバランスさせていること。帽体は複合素材のグラスファイバー製で、RX7−XやアストラルXと同じVAS−Vシールドシステムを採用。着脱式の内装も抗菌消臭生地のエコピュアを使うなど、基本構成はトップエンドモデルと同等。世界最高峰とされるスネル規格に対応した安全性も備えている。
56−57サイズの実測値は1550gで、スネル規格のフルフェイスながら軽量な仕上がり。顎から後頭部までを包み込むような被り心地と併せて首にかかる負担が小さく、長時間の連続着用でも疲労が抑えられる。
気になったのはシンプルな構成のベンチレーションシステムの効果だが、2つのベンチレーションホールを縦に並べた新型ダクトの開口部が上体を起こしたライディングポジションに合わせてあり、排気効率の高い後ろ側の3穴ダクトと併せて街乗り速度域でも確実な効果を実感できた。ハイエンドモデルのような大型デュフューザーを持たない分、風切り音も抑えられている。
インカムのスピーカーを取り付けやすいイヤーカップ内装の採用や、サンバイザー機能を持つプロシェードシステムと静粛性・快適性を高めるESチンカバーVのオプション設定など用途に応じてグレードアップできることも魅力。アライらしい質実剛健な製品だ。

頭頂部に新開発の『デュアルフローダクト』を搭載。エアインテーク部が高い位置にあるため、アップライトなポジションのネイキッド車や大型スクリーン付きのツアラーでも確実なベンチレーション効果が得られる。

大きなデュフューザーを持たないシンプルな帽体フォルムゆえに、体の小さい女性ライダーでも「頭でっかち」な感じにならず、レトロ系デザインのオートバイとマッチすることもベクターXの特徴。

簡単に脱着できるシステム内装を採用。手軽に洗濯できるうえ、オプション設定されている厚みの違うパッドを組み合わせることで頭の形にジャストフィットさせられる。

アライの中堅モデルだけに機能や安全性には文句なし。レース指向モデルとは一線を画した設計理念にも納得。ベンチレーターのシャッター開閉つまみがもう少し大きければ厚手のウインターグローブでも操作しやすい。
ココに注目!
サンバイザー機能を備えたプロシェードシステム(7000円)と、アゴ下からの風の巻き込みを防いで静粛性や防寒性を高めるESチンカバーV(1800円)もオプション設定されている。


撮影/南 孝幸、太田安治 モデル/梅本まどか
カラーバリエーション

GLASS WHITE

LIVE RED

GLASS BLACK

FLAT BLACK

RICH GRAY

BLUE(TOUGH)

RED(TOUGH)

FLAT WHITE(TOUGH)
Arai VECTOR X/VECTOR X・TOUGH 諸元
●サイズ:54、55-56、57-58、59-60、61-62(cm)
●カラー(ベクターX):グラスホワイト、グラスブラック、フラットブラック、リッチグレー、ライブレッド・(ベクターXタフ):ホワイト、ブルー、レッド
■価格:44280円/52920円(税込み)
アライヘルメット 公式サイト