高性能な足周りで走りを求めたRSと共にEXも進化した。クラシカルなパッケージと、RSとは大きく違う世界観のEXにはRSでは表現しきれなかった「もうひとつの深み」が潜んでいる。

旧車オーナーが乗ったとしても、その味わいの濃さに唖然とする

CB1100RSと共に新しいEXも発表された。こちらはこれまでのCB1100の流れを汲み、前後18インチのスポークホイールにメッキフェンダーを組み合わせたクラシカルな姿にまとめられている。

ここで気が付いたのはガソリンタンクのデザインの妙だ。RSとEXの共通部品となるタンクは、前後17インチホイールと高性能感が漂う足周りを持つRSの車体に載ると、空冷エンジンであることを忘れるようなロードスポーツ感を強く感じるのだけれど、EXのパッケージの中にあると流行りのネオクラシックの王道デザインに見えてくる。それを搭載するシャシーのパッケージによってロードスポーツにも見え、クラシックにも見える。ひとつの顔でふたつの表情を見せるデザインのチカラ。これにはすこし感心させられた。

画像1: 旧車オーナーが乗ったとしても、その味わいの濃さに唖然とする

ところでEXとRSの違いだけれど、これがまたビックリするほどに違う。EXはスタイルから感じるクラシカル感を走りの中でも強く感じられるようになっているのだ。

そして、ここはクラシックなバイクが好きなオートバイ乗りのひとりとしてハッキリ言います。テイスティな走り求めるならば、RSよりEXのほうが断然すばらしい!

エンジンの仕様として技術的なことを言えば、EXとRSはインジェクションのセッティングとスロットルの反応速度が違う。体感的にはRSはレスポンスが良く、フラットに軽く吹け上がるフィーリング。対してEXはスロットルオンから半瞬の間をおいて、重厚に、おおらかに伸びていく。これはライダーそれぞれの趣味嗜好にもよる部分だけれども、空冷4気筒の世界観や美学を重んじるならば、圧倒的にEXをおすすめしたい。旧車のように壊れる心配をしなくていい、現代の技術で完璧に再現された往年の味わい。ヴィンテージ愛好家たちにとって、理想のような恍惚がEXの中には感じられるのだ。マフラーはRSと共通だけれども、エンジン仕様の違いによってサウンドもわずかに違って聞こえる。EXの音は、まさに往年の名車を感じさせる官能の音色だ。

そのうえでEXには質感を高めたこだわりのディテールや新しいフロントサスによるコーリングのさらなる安心感が与えられている。

本当に衝撃だった。ホンダの技術力をもってすれば、音もフィーリングも、ここまで再現できてしまうのか。RSとは違い、エンジンそのものを徹底的に味わい尽くす。さらなる深みがEXには潜んでいる。

画像2: 旧車オーナーが乗ったとしても、その味わいの濃さに唖然とする

撮影/柴田直行 ※記事はゴーグル2017年3月号より

GOGGLE (ゴーグル) 2017年3月号 [雑誌]

モーターマガジン社 (2017-01-24)

This article is a sponsored article by
''.