ロード50%、サーキット50%の人気タイヤ! 二次旋回力が超強力
サーキットで満足できるグリップ力と、ストリートで不安の無いウェット性能を確保しながら、昨年夏に登場したミシュランの「パワースーパースポーツ・エボ」。今回はヤマハのMT-09に装着し、その人気の理由を探るべく試乗テストを決行!
寒空のツーリングでも、気楽に走り出せる安心感!
新車に装着されているタイヤ(OEMタイヤ)の銘柄や仕様は、そのオートバイのキャラクターに合わせて決められている。サイズが同じでもツーリングモデル用とスーパースポーツモデル用のOEMタイヤが異なるのは走行条件が異なることを前提にしているからだ。
今回のテスト車、MT-09のOEMタイヤはブリヂストンS20またはダンロップD214という「ツーリングスポーツ」のジャンルに入る製品。そこでネイキッドスタイルながら結構ヤンチャな性格のMT-09で峠道を駆け回ることを想定し、レース対応タイヤとツーリングスポーツタイヤの中間に位置するミシュランのパワースーパースポーツ・エボ(以下PPS)を装着した。
市街地から高速道路を経由し、走り慣れたワインディングロードへ。最初は車両指定空気圧のフロント250kPa、リア290kPaで走ったが、ハンドリングが軽快を通り越して落ち着きがなく、ギャップ通過時の突き上げも硬質。コーナーでも接地感が薄い。もちろん乗りにくいとか危ないということはないからツーリングペースなら指定空気圧でもいいが、PPS本来の性能をMT-09で堪能するには指定空気圧だと高過ぎるようだ。
そこで前後とも220kPaに設定して走ってみると、まったく違うタイヤに履き替えたようにフィーリングが激変。ハンドリングがしっとりして乗り心地も大幅に良くなった。コーナーではフロントの一次旋回力が高まり、オートバイまかせにバンクさせるだけで想定したラインをきれいにトレースするし、脱出加速での二次旋回力が強力で、特にリアタイヤのグリップ状態が明確に伝わってくる。タイヤや路面と意志疎通しながら走る感覚なので、いきなりスリップダウンする不安感は皆無。オートバイの挙動を感じながらコーナーをクリアする楽しさを存分に味わえる。グリップ力も充分過ぎるほどで、ステップから火花が散るようなバンク角でのスタビリティも文句なしだ。
それ以上のペースになると「車体よりタイヤが勝っている」状態になり、MT-09のサスペンションが音を上げる。より積極的なスポーツライディングを望むなら、前後サスペンションの減衰を高め、プリロードも増やす方向でセッティングした方がいいだろう。ただ、個人的にはサスが暴れ始める手前のペースに留めておいたほうがPPSの特性を堪能できるし、楽しく爽快に走れると思う。走りの質を求めるライダーなら、十分な満足感を得られるはずだ。
スタッフ・ボイス
愛車ストリートトリプルRにも装着。往復90kmの通勤や、サーキットでのスポーツ走行を繰り返しながら使っています。メーカーのWebサイトには、サーキットでの推奨空気圧(冷間時)が掲載されていて、それによるとフロント210kPa、リア170kPa(タイヤウォーマー使用時はリアのみ150kPa・一般公道は「車両メーカー指定の空気圧を遵守」となっています)という表記もあります。実際土砂降りの通勤走行でも、何の不安もありませんでしたし、トレッド面のデザインから受ける印象より、はるかにウエット性能が高いことも、このタイヤの特徴。自分の使い方には調度良いと感じています。(福助)
商品スペック
2015年7月に発売が開始され、多くのスポーツライディング愛好者に支持される人気タイヤ。最新技術の投入により、ハンドリングの向上、ドライ&ウェット両方のグリップ性能確保を実現。サーキットからツーリングまでを視野に入れたタイヤなのだ。
サイズ一覧
フロント
120/70ZR17 M/C (58W) TL
リア
180/55ZR17 M/C (73W)TL
180/60ZR17 M/C (75W) TL
190/50ZR17 M/C (73W) TL
190/55ZR17 M/C (75W) TL
200/55ZR17 M/C (78W) TL
(写真/南 孝幸、小松信夫、ミシュラン 車両協力/スペシャルパーツ忠男)