鈴鹿サーキットで行なわれた全日本ロードレース最終戦「MFJグランプリ」は、ウィークを通して好天に恵まれ、いいレースの連続で2016シーズンの幕を下ろしました。日曜に取材を終え、深夜に東京へ戻り、月曜の朝からシゴトをはじめ、そうだ、鈴鹿でアゲたぶんのWebをチェックしておかなくちゃ、と見てみたら……J-GP3のレポートが載ってなーい! あれ!書いたはず! え!アップしたはず!と思ってアップ画面を見てみると「下書き」状態で残っておりました…す、すいません。現地では結構スケジュールに追っかけられるので、レース中にコースサイドにいて、戻って写真整理しながら記者会見、んでわずかな時間で原稿書きとアップ作業……お弁当も食べなきゃだしコーヒーも飲まなきゃいけないから、なかなか追いつかないんです。なのであらためてアップします。速報の必要がなかったから、じっくりレース展開を見直して加筆修正しております(笑)

ではあらためてJ-GP3クラスのレポートを^^

快晴の鈴鹿サーキット、オープニングレースはJ-GP3クラス。きのう(http://www.autoby.jp/_ct/17010057)もお伝えしたように、チャンピオン争いは徳留真紀(クラブPLUS ONE)と栗原佳祐(ハルクプロ)の一騎打ち。両者ともここまで4戦2勝で、栗原が前戦・岡山大会で転倒→再スタートで表彰台を外したことで、徳留の4ポイントリードで最終戦を迎えています。4Pといったら、徳留が優勝したら文句なしに徳留、栗原が優勝しても徳留が2位ならば徳留、栗原が優勝して徳留3位ならば栗原が逆転チャンピオン、というビミョーなポイント差。もちろん、どちらも優勝狙い、そうすればチャンピオンがついてくる、というレースにしたいはずだけど、徳留は栗原を前に出しても2位でフィニッシュすればOK、ほんのちょっと精神的にも有利だったかもしれません。
朝のフリー走行から、両者の戦いは始まっているようでした。J-GP3といえば、世界選手権のmoto3クラスでもわかるように、限られたパワーを最大限に発揮するように、すんごいたくさんの台数でスリップの使い合い、引っ張り合い、速いライダー探しで予選も決勝も展開されることが多いんですが、朝のフリー走行ではふたりとも集団をやり過ごして単独で走行を重ねていました。これは、予選を終えて徳留が語ったように「自分のペースでどれだけ走れるかが勝負」というポイントの表われでしょうね。セッションは10台以上の大集団がぶおーんとふたつくらい走り去った後に、栗原、徳留が単独走行。ここでこの日の風向きとかストレートの伸びをチェックするんですね。トップタイムは徳留が取りました。このウィーク、とにかく徳留の調子よさ、仕上がりのよさが目立っています。

決勝レース 主導権は徳留が握る

画像: オープニングラップはこの形。#36徳留-#634栗原-#31伊達が見えます

オープニングラップはこの形。#36徳留-#634栗原-#31伊達が見えます

決勝レースでも、スタートから主導権を握ったのは徳留。もちろん栗原もこれを逃がさず、ここに中村大輝(ホンダチームアジア)、伊達悠太(バトルファクトリー)、安村武志(プリミティブレーシング)も続きます。しかし、オープニングラップを終えて徳留についてこられたのは栗原と伊達のみ。安村、中村はこのハイペースについて行けず、セカンドグループに飲み込まれてしまうのです。先頭集団は徳留、栗原、そして伊達の3人。栗原にとっても徳留にとっても、伊達のポジション取りが重要になってきます。トップ争いが2台なら徳留のチャンピオンはほぼ決まりですから、栗原にとっては心強かったでしょうね。「ゆーた、早く来い!」って感じだったかも。

画像: トップ集団が3台となって栗原がトップへ。このオーダーなら栗原がチャンピオンです

トップ集団が3台となって栗原がトップへ。このオーダーなら栗原がチャンピオンです

画像: ノープレッシャーの伊達がトップへ! このオーダーだと徳留がチャンピオンです

ノープレッシャーの伊達がトップへ! このオーダーだと徳留がチャンピオンです

3周目には栗原がトップに浮上。栗原にしてみたら、伊達を間に挟んで栗原-伊達-徳留の順でフィニッシュするのが理想。けれど、栗原も逃げられずに、次に伊達がトップに浮上。伊達-栗原-徳留の順では、徳留がチャンピオン――このあたりまでは各ライダーともきちんと計算していたはずです。どっちにしろ、優勝狙いはもちろん、2位でもいい徳留が、精神的にはまだ有利ですね。
レース中盤には再び栗原がトップに浮上。一時は伊達を間に挟みましたが、徳留もすぐに2番手に上がり、徳留はそのまま栗原をもかわして再びトップに浮上します。絶対に負けられない栗原も、ラスト3周で徳留をかわし、再び栗原-伊達-徳留の理想的オーダーができながらのファイナルラップ! この1周、栗原にとっては長かったでしょうねぇ!

画像: 最終ラップのシケイン 入り口で伊達が先行するも、栗原がかわして、このオーダーでは栗原がチャンピオン ここから徳留が信じられないような立ち上がり加速を見せて最終コーナーで伊達をかわして2位フィニッシュ!

最終ラップのシケイン 入り口で伊達が先行するも、栗原がかわして、このオーダーでは栗原がチャンピオン ここから徳留が信じられないような立ち上がり加速を見せて最終コーナーで伊達をかわして2位フィニッシュ!

ラストラップ突入時には、栗原-伊達-徳留の順。1コーナーで徳留が2番手に浮上し、デグナーで徳留がトップへ。でもすぐに栗原が抜き返し、伊達が2番手へ。スプーン、バックストレッチ、130Rでもこの順位で、シケインのブレーキングで伊達がトップに立ったと思いきやシケインひとつめで栗原がトップ、この時点で3番手にいた徳留ですが、シケイン2コ目を立ち上がって徳留が伊達にインから並びかけ、そのまま最終コーナーはアウトから伊達を抜き去って、栗原-徳留-伊達の順でフィニッシュ! これで徳留の4年ぶりのチャンピオンが決定しました。
よくMotoGPで「このまま終わればこうなる=現段階での瞬間ポイントランキング」が表示されますが、それだと最終ラップで何度表示を変えなきゃいけなかったことか(笑)。それくらいギリギリの展開で、徳留がチャンピオンを決めたわけです。獲得ポイントはわずかひとつ差! それにしても、レース中何度もガツンとマシンや体が当たるシーンはあったでしょうが、寄せやラインふさぎのない、クリーンなバトルでした。

画像: チャンピンフラッグを高々と掲げる徳留! 現役生活20年をゆうに超える大ベテランの晴れ舞台です

チャンピンフラッグを高々と掲げる徳留! 現役生活20年をゆうに超える大ベテランの晴れ舞台です

栗原は、2015年も、この最終戦でチャンピオンを獲り逃がしたんでしたっけね。前戦・岡山で栗原は、徳留とのトップ争いの最中に最終ラップに転倒し、再スタートして5位フィニッシュしていますが、あそこで仕掛けずに2位フィニッシュしていたら……なんて、結果論だもんね。そんな「チャンピオン狙いの2位OK」なんて消極的なレースしたら、ハルクプロの本田会長がなんて言うか、コワイコワイ(笑)。でも、こうやって若いライダーがひとつ成長するわけです。栗原は速いライダーですからね、次に「強さ」を身につけますよ、きっと。
2位でチャンピオンを獲得した徳留は、5戦2勝で2位2回、3位1回。ひとつも表彰台を外さずに2度目のチャンピオンを獲得しました。J-GP3は若手がグングン伸びていく最初のステップ、というイメージがありますが、どっこい徳留のようなベテランの「壁」があって初めて、若手は伸びていくわけです。徳留、めざせ2連覇! そして若手はまず徳留をやっつけろ!

画像: 徳留は1990年レースデビュー。94年に世界GPへ挑戦をはじめ、96年に最多勝を上げながらランキング2位、この時は青木治親がチャンピオンを獲ったんですね。ハルちゃんや坂田さん、もちろんバレンティーノ・ロッシとGP125を走っている大ベテランなんです

徳留は1990年レースデビュー。94年に世界GPへ挑戦をはじめ、96年に最多勝を上げながらランキング2位、この時は青木治親がチャンピオンを獲ったんですね。ハルちゃんや坂田さん、もちろんバレンティーノ・ロッシとGP125を走っている大ベテランなんです

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