快晴の鈴鹿サーキットはST600クラスのレースも終わりました。勝ったのはモトバムホンダの榎戸育寛! まさに大逆転のチャンピオン獲得でした! きのうの公式予選を終わって、ここ鈴鹿をホームとする前田恵助(伊藤レーシング)が自信を持ってポールポジション、チャンピオン獲得に王手!という展開だったんですが、その前田がなんとオープニングラップで転倒! チャンピオン獲得は幻に終わってしまいました。ここから鈴鹿サーキットがザワつき始めます。
トップに立ったのはタイランドヤマハのチャランポール・ポラマイ、そしてデチャ・クライサルトも2番手に上がって、ヤマハYZF-R6の1-2フォーメーション。この2台が逃げると、チャランポールが逆転チャンピオン、と思われたものの、そうは簡単に事が運びませんでした。
レース中盤まえあたりから、トップに立ったのはクライサルト。クライサルトはここまでランキング11位とチャンピオン争いの圏外ですが、このままポラマイが2番手だと、ポラマイがチャンピオン…と思ったんですが、クライサルトの快走とともに、ポラマイはペースが落ちてしまい、ポジションを下げてしまうんです。
ここでクライサルトに食らいついたのは、榎戸、岩戸亮介(チーム高武)、そして名越哲平(ハルクプロ)のCBRトリオ。この3人、トップに立てばチャンピオンの可能性アリ!と色めき立ちますが、走っている方はそんなことまで頭が回らないはず。そのまま周回は進み、榎戸2番手、名越が3番手、岩戸はちょっと間隔を空けてしまいます。
12周のレース、8周目に2番手に上がったのは名越。開幕戦・筑波大会のウィナーにがぜんチャンピオンの可能性が出てきましたが、ラスト3周で猛然とペースを上げてきたのが榎戸でした! 榎戸はラスト2周のシケインで2番手に上がると、懸命にクライサルトをチェイス! その差はじりじり縮まり、東コースを過ぎ、スプーンを通過する頃にはピタリと背後につけ、バックストレッチでスリップから抜け出すとトップに浮上! そのまま130R、シケインをクライサルトを抑えきって、見事に全日本初優勝を上げたのでした!
ん? じゃあチャンピオンは? って僕が猛烈にポイントを計算したころには、榎戸は全日本初優勝の嬉しさでクールダウンラップへ! そしてS字で「ゼッケン9」と書いたボードへ近づくと、なんとチャンピオンフラッグを渡されたのです!
「チャンピオンの可能性なんて考えてもみなかったし、とんびかくレース中はトップに追いつけー! 追いついたら抜けー!としか考えていなかったんです。最後の最後でデチャさんを抑えきって、130Rの立ち上がりで2回も3回も転びそうになりながら、なんとか抑えきって、そのあとはウーーーーッ!てフィニッシュしました。やったー、やっと勝てたー、と思ったら、なんかフラッグを渡されて、え?え?え?って……」
そのあとのことは、また後ほど!
さぁ鈴鹿サーキットは、J-GP2クラスの最終レースが始まるんです!