画像: 朝フリーの成田 相変わらずのスピードですが、そう多くラップしていなかったのもケガのせいだった?

朝フリーの成田 相変わらずのスピードですが、そう多くラップしていなかったのもケガのせいだった?

この週末は全日本モトクロス最終戦MFJグランプリがスポーツランド菅生モトクロスコースで行なわれました。前戦の第8戦埼玉オフロードビレッジ大会に続いて、行ってきました。言っときますけど、急にハマったわけじゃありませんからね。前回も書きましたけど、モトクロスって、ロードレースとカブっていたり、他のイベントがあったりで、なかなか取材に行くチャンスがなかったんです。アメフッタライクキナクシチャウシ……すいませんw
この最終戦は、IA1(国際A級4ストローク450cc)とIA2(国際A級4ストローク250cc)、ふたつのクラスのチャンピオンが決まる戦いでした。MFJグランプリということで、外国人ライダー(コール・シーリー=AMAスーパークロスでランキング6位!)のスポット参戦があったんだけど、その日本人vs外国人はひとまず置いといて。ここではまず、タイトル争いのお話をしましょう。とにかくネタが渋滞するほどたくさんあって、この最終戦だけで3本くらい書きたいくらいなんだもん……。
IA1は、成田亮(ホンダ)が、前人未到の11回目のタイトル目前で、IA2は今シーズンからホンダワークスに抜擢された能塚智寛が初タイトルへ王手! このふたり、実に対照的なタイトル決定戦に臨んでいたんです。

画像: ㉘能塚をピタリマークする㉜渡辺 渡辺が前に出ても、能塚は焦らず騒がず!

㉘能塚をピタリマークする㉜渡辺 渡辺が前に出ても、能塚は焦らず騒がず!

画像: 今シーズンからHRC入りし、カワサキからホンダにマシンをスイッチ 抜擢に応えてのチャンピオン!

今シーズンからHRC入りし、カワサキからホンダにマシンをスイッチ 抜擢に応えてのチャンピオン!

先に行なわれたのはIA2クラスのヒート1。能塚がホールショットを決め、逃げ始めようにも、すぐに今シーズン初優勝を飾った渡辺祐介(ヤマハ)がトップへ。能塚もそれを逃さずにピタリとつけて、いい位置取り。逃げる渡辺、それを追う能塚には余裕が感じられましたね。
レース中盤で能塚がトップに出ると、今度は渡辺がこれを逃がさずに背後につけるものの、能塚がこれをジリジリ引き離し、そのままトップでゴール! 勝ってチャンピオンを決めました! さらに能塚は、ヒート2もスゴかった! このレースでも渡辺との争いになって、渡辺がかなり2番手以降を引き離してブッチギリのレースをするんですが、スタートで出遅れた能塚が、本当にいつのまにかスルスルと前に出て、それでも2番手に上がった時には、すでに渡辺ははるか先……だと思ったんですが、アレヨアレヨと追いついて、最終ラップでギリギリ届いて、ここでも優勝しちゃったんです!
最終ラップだけで3秒くらい詰めたんじゃないかな、それくらいスゴイ集中力で、届きそうもない差を詰めてみせたんです。勝ってチャンピオンを決めて、消化試合のはずの最終ヒートも勝ち切るという、強い気持ちをみせましたね。

画像: 序盤、逃げる山本、慌てないシーリー、その二人を追う成田 このあと成田は転倒で順位を落とします

序盤、逃げる山本、慌てないシーリー、その二人を追う成田 このあと成田は転倒で順位を落とします

画像: 7~8番手を着実に走り、ポジションをキープした成田 新井の位置を見極めての周回でした

7~8番手を着実に走り、ポジションをキープした成田 新井の位置を見極めての周回でした

IA1の成田は、ランキング2位の新井宏彰(カワサキ)に35ポイント差をつけていますから、ヒート1を終えて30ポイント差があればチャンピオン確定、というレース。新井がヒート優勝しても、3位に入ればOK。ここSUGOをホームコースとする成田は、もちろん勝ってチャンピオンを決めたいし、シーリーも来てるしで、ひと意地見せたいところなんだけれど、実は9月に行われた「モトクロスネイションズ」で負傷していて、それが完治しないまま乗り込みも不足して、関東大会でもちょっと精彩を欠いていたんです。
レースは、オープニングの2~3ラップこそ世界モトクロス選手権帰りの山本鯨(=けい、って呼びます ホンダ)、AMAからのゲスト、シーリーとトップ争いを演じますが、シーリーが逃げ始めた序盤に後退。どうやら転倒したようで、ここで足を強打し、この後は痛みと戦うレースを強いられてしまいます。

画像: 「ケガさえなければチャンピオンは獲れる。今年は勝率5割。来年はもっと勝率を上げていきたい」(成田)

「ケガさえなければチャンピオンは獲れる。今年は勝率5割。来年はもっと勝率を上げていきたい」(成田)

それでも、もちろんレースを途中でやめるわけにはいきません。自分のコンディションが悪いのを知っているからこそ、このレース1で決めてしまいたい――レース中盤から後半に向けて、あたりを見回しながら走っていたのは、おそらく新井の位置を確認していたんだと思います。
結局、レースはシーリーが独走で優勝をかっさらっていくんですが、成田は8位。対して新井は7位で、新井が19ポイント(MFJグランプリだからボーナスポイントで+5Pです)、成田は18ポイント。これで成田357ポイント、新井は323ポイントで、ヒート2を残して34ポイント差がつき、見事に11回目のチャンピオンを獲得しました。成田はこのまま、ヒート1で足を痛めたことでヒート2を欠場。これでシーズンを終えてしまいます。

画像: 勝ってチャンピオンを決めた能塚 渡辺(左)も来季が楽しみな走りを見せてくれました

勝ってチャンピオンを決めた能塚 渡辺(左)も来季が楽しみな走りを見せてくれました

能塚のように勝ってチャンピオンを決めるもよし、成田のようにチャンピオンを獲るために最低のポイントだけを獲得する、というのもタイトルを獲るために必要な強さでしょう。なにせ成田は、ここSUGOがホームコースですから、家族や親類、友達も含め、おそらくシリーズ中いちばん応援が多いレースでしょう。そのレースに出ないという決断は、よほどコンディションが悪かったという証拠なんだと思います。
ともあれ、これで能塚は初チャンピオン、成田はV11を達成! ふたりのチャンピオンが見せた、ふたつの「強さ」を感じたレースとなったのです。
ちなみにIA1は両ヒートともコール・シーリーがブッチギリ! いやはや強いアメリカンでした! この続きはまたの機会に!

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