MotoGP一色となった今週末ですが、海の向こう、スペイン・ヘレスでは、ワールドスーパーバイク(=WSBK)/ワールドスーパースポーツ(=WSSP)のスペイン・ヘレス大会が行なわれました。全13戦26レースで行なわれるWSBKの第12戦、つまりラス2です。
ここまでのWSBKは、ご存じのようにカワサキが絶対優位に立っています。今シーズンどころか、少なくともこの5年は、カワサキがWSBKのトップチームのひとつ。ちなみに2012年、当時アプリリアに乗っていたマックス・ビアッジがチャンピオンとなっていますが、その時わずか0.5ポイント差でランキング2位となったのが、カワサキ3年目のトム・サイクスだったんです。
それからは、13年にはサイクスが初チャンピオンとなると、14年こそチームメイト(いまMotoGPを走っているL・Bです・笑)といざこざしているうちにアプリリアのシルバン・ギュントーリにタイトルをさらわれますが、15年にはホンダから移籍してきたジョナサン・レイが初チャンピオンを獲得。そして今シーズンは、ここまでの12戦24レースで、カワサキ勢が14勝(レイが9勝、サイクスが5勝)、残りはドゥカティが9勝(チャズ・デイビス)、ホンダがニッキー・ヘイデンで1勝しています。こういう勢力バランスなんです、いまのWSBKは――。
ヘレスでは表彰台の顔ぶれ変わらず
このヘレス大会でも、やはり優勝争いはレイ、サイクス、デイビスの3人。サイクスがスタートから飛び出て、4周目にデイビスがトップへ。このままいつものような接戦にはならず、デイビスが2番手以降を引き離し、2番手サイクスはレイとのセーフティリードをキープし、3番手レイは中盤から追い上げるいつものスタイルが不発。とはいえ4番手のヘイデンははるか後方で、ゴール時にはトップ3が4位ヘイデンに10秒以上の差をつけてのレースでした。
レース2では、デイビスが最初からトップに出て、後方にサイクス&レイのカワサキデュオ、そこから離れてヘイデン、という展開は変わらず。ただし、レース2ではデイビスがさらに独走を見せて、サイクスとレイがずっと2番手争いを繰り広げる、という状態。今度は、レース中盤にレイが前に出て、4番手ヘイデンはレース1ほど離されずにフィニッシュ、という結果に終わりました。
デイビス、これで4回目のダブルウィンを果たして、レイと並ぶ9勝目をゲット。けれど、12戦を終わってポイントでレイに大きく離されているのは、やはり好不調の波が大きいからでしょうね。ちなみに2位/3位の回数で比べてみると、レイは8/4回と、デイビスは2/4回。転倒やマシントラブルでのノーポイントは、レイが2回、デイビスが3回で、やはり優勝できないときの順位の収め方が、レイの方が断然上なんですね。
MotoGP撤退で強化されたカワサキWBSKチーム
これで12戦24レースを終えてのランキングは以下の通り。
①ジョナサン・レイ(カワサキ)462P ②トム・サイクス(ドゥカティ)414P ③チャズ・デイビス(ドゥカティ)395P ④マイケル・Vd・マーク(ホンダ)255P ⑤ニッキー・ヘイデン(ホンダ)228P
これで最終戦を残して、ランキングトップのレイに対し、サイクスが48P差、デイビスが67P差なので、ライダーチャンピオンはレイかサイクスに決定! とはいえ、レイはあと2ポイント(つまり14位ですね)獲ったら2連覇達成です。デイビスはランキング2位の可能性をわずかに残すのみで、マニュファクチャータイトルはカワサキが2年連続で獲得しました。カワサキ、強いな!
思えば、MotoGPを撤退したのも、WSBKにリソースを集中させるという理由がありましたから、この強さも納得ですね。2017年は、ホンダ、スズキがニューマシンをデビューさせ、しかも各マシンとも「レース仕様」を追加発売しますから、さらに激戦になるかもしれない。来シーズン、久々に日本の4メーカーとドゥカティ、アプリリア、BMWという7メーカーの実力が拮抗した戦いが見られそうです。これって、MotoGPよりタイトルコンテンダーが多いってことですからね。
WSSPでも2冠を達成
さらにワールド・スーパー・スポーツ(=WSSP 600ccクラス)では、ケナン・ソフォーグルが2年連続のライダーチャンピオンを獲得しました。マニュファクチャータイトルもカワサキが2連覇し、WSBKとのダブルタイトルも目前です。WSBKとWSSPでは、MotoGPの3冠(ライダー/マニュファクチャー/チーム)タイトルはあまりクローズアップされませんが、その分ライダー/マニュファクチャーの2冠が完全制覇を意味します。となると、カワサキのWSBKとWSSP合わせて4冠は達成されましたから、まさにカワサキ最強イヤーと言っていいと思います。
最終戦は9月28~30日、カタールはロサイルサーキットで行なわれます。