今年の日本グランプリは10名の日本人ライダーが参戦!
もてぎは15日土曜、きょうもいいお天気です。走行2日目の今日は、各クラスのFP(=フリープラクティス)と公式予選が行なわれますが、MotoGP/moto2/moto3の各クラス、レギュラー、ワイルドカード合わせて10人の日本人ライダーが参戦しています。
MotoGPのワイルドカードに中須賀克行、ペドロサの負傷欠場で急きょ代役出場が決まった青山博一、moto2レギュラーが中上貴晶に、CEV(スペイン選手権)から長島哲太、ワイルドカードの浦本修充に関口太郎、moto3レギュラーが、尾野弘樹に、ワイルドカードの岡崎静夏と佐藤励。1、2、3、4…と、あれ、9人、ひとり足りないじゃん…と思ったら、ひとり忘れていました。外国製マシンに乗り、海外のチームに所属する日本人ライダー、鈴木竜生(たつき)です。
昨年の月刊オートバイ本誌(たしか2015年12月号)でも取り上げましたが、タツキは全日本選手権を経由せずにグランプリにデビューしたライダーです。中学を卒業して、GPへのより近道を探して、全日本にデビューするよりも海外修業を選び、スペイン選手権に挑戦。2015年から、マヒンドラを使用するチームCIPに所属、今年がグランプリ2年目の生活なのです。
とはいえ、まずはマシン面から、日本のファンには未知でしょう、マヒンドラて!(笑) いまmoto3はKTMとホンダが2大勢力として戦っています。マヒンドラはインドのメーカーですが、そこはブランド名だけで、マシン製作はスッターエンジニアリングが行なっています。そう、あのmoto2シャーシメーカーのスッターね。
全日本を経由していないタツキにとっては、ここもてぎは実はホームコースじゃありません。去年の日本GPがもてぎでのデビューレースで、その前にスポーツ走行を1回したっきり(笑)。1年ぶりほぼ2度目のもてぎなのです。
マルケスより4歳も若い日本の秘密兵器
1年ぶりに会うタツキは、身長も伸びてるし、顔つきもずいぶん大人っぽくなりました。切れ長の目で髪もショートに刈りこんで、ちょっとイケメンになってきたじゃん(笑)。97年9月生まれですから、19歳になったばっかり! なんとマルケスより4歳も若いからね。
「去年のもてぎは、雨でジッとガマンのレースをして13位フィニッシュできました。雨だとマシンの性能差が小さくなるから少しは戦えるんですが、ドライだとちょっと厳しいです。マヒンドラは、エンジンパワーはKTMにもホンダにもまるで敵わないし、昨年は武器になっていたハンドリングも、今年は他のメーカーに追いつかれてしまった感じ。それでも、粘っていいとこを見つけて、全力でやるしかないです!」とタツキ。
昨日までの走行では、なにせ1年ぶりのコースってことで、ライン取りの確認やマシンのセッティング、タイヤの選定からスタート。日本人ライダーがヨーロッパでレースするのと変わんない。FP2では終了間際に新品タイヤを入れて、さぁアタックするぞ!ってタイミングで、タイヤ交換の時に、メカニックがリアのアクスルシャフトを締め忘れて、残り時間がなくなっちゃったみたいでした。
「もー、ありえないっすよ!(笑) 残り時間とか計算してピットに入って、アタックするのを何周、って決めてるのに、ピットから出られないんだもん。タイヤが温まったくらいでチェッカー出ちゃってました…。新品タイヤ、もったいないぃ」
結果、FP2の結果は26番手。1分58秒595ってタイムは、それでもトップのバスティアニーニからわずか1秒6遅れ。あと1周走れたらな…ってタツキは言います。
2回目のもてぎとはいえ、それでもタツキにとってのホームGP。友人や家族も応援に来てくれて、そこでアピールしたいのは当然のこと。金曜は、ちょっとしたアクシデントでアタックの機会がなくなっちゃっただけで、きょう、あす頑張ればいいじゃん、タツキ!
「予選は10番手とかに入れたら最高なんだけどなぁ。もてぎはストレートが長くて多いから、うまく速いマシンのスリップに入ればタイムがグンと伸びるんです。決勝も、まずポイントを獲って、10位とかでフィニッシュしたいですね」
土曜のFP3では一時2番手を快走!いいぞタツキ!
タツキの言葉と態度には、グランプリ生活2年目の落着きが漂っていました。自分のポジションも冷静に分かっているし、トップチームの速さ、長所も短所もよく知っている。よく、同じマヒンドラのバニャイヤは優勝もしてるのに……って思うことはあるんですが、言ってみればバニャイヤのマシンはワークスマシンで、タツキのそれはサテライトスペック……どころか市販レーサーのノーマル、といった感じかもしれません。
そして、土曜朝のFP3では、なんとタツキは一時2番手までポジションを上げて、最終的にはトップタイムまでわずか0秒777の10番手につけてみせました! マヒンドラ勢のトップで、タイムは目標のひとつにしていた57秒に入れての1分57秒423! セッション中盤で2番手にいて、速いライダーをキッチリとマークするところまでは良かったんだけど、最後はやっぱり離されちゃいました。
与えられた条件で全力で走って、最高の結果を残すのがプロライダー。タツキの走りが誰かに認められて「お、コイツにうちのマシン乗せてみようかな!」って思わせないとね。
さぁ、あとは午後の公式予選、あすが決勝レースです。みなさんも、もてぎで、またはTVで、ネット画面で、そんな目でタツキを応援してあげてください!
<速報>moto3クラス、トップタイムはHondaチームアジアの尾野弘樹~! 尾野はじめてのポールポジション! と思ったら、実は尾野、昨日のFP1でセッション中にペナルティを受けていて、3グリッド降格なのです…… なんでも、セッション中にチームメイトを後ろにつかせて引っ張ってあげたとか何とかが「自分勝手な行為に相当してのペナルティだそうです いいじゃんねぇ、そんなの…それでもトップタイムって事実は消えませんからね! 明日の決勝は2列目4番グリッドからロケットスタートだっ!