MotoGP 第13戦サンマリノGPが終わりました。GPもいよいよ終盤戦、チャンピオン争いはもちろん、このところレースごとに新しいウィナーが登場するという激しいシーズンなので、今日は誰だろう、ビニャーレス2連勝あったりして、いやまたクラッチローが勝ったりして、いやいや去年のミザノは雨のフラッグtoフラッグでロレンソが転んでマルケスが勝ったんだっけ……とかなんとか、レース前の勝手な妄想ってホントに楽しい(笑)。
予選は「ハンマー」ロレンソが久々に登場しました。ミザノはこの2年、ロレンソが連続ポールポジションを獲っていて、今シーズンはここのところロレンソ、元気ないからどうかなぁ、と思ったら、自らのレコードを大幅に塗り替えるタイムをたたき出しての3年連続ポールポジション!
「最初に出たタイムを見て信じられなかったんだけど、もうひと踏ん張り、リミットを越えたらもっとタイムが縮められたんだ。人生最高のラップだったかも」(ロレンソ)
確かにこのところ、オランダ・アッセンの雨から、天候に翻弄されてロレンソは明らかに調子を崩していたけれど、リズムを取り戻したら優勝候補の筆頭に上がってくるのは当然。
場内はロッシ一色! そのロッシがレース大半をリード
となるとこのサンマリノGPは、ロレンソを筆頭にマルケス、フロントローに食い込んだビニャーレス、そしてなにより、超地元のロッシも優勝を狙ってくるはず。ロッシの故郷であるタブーリアは、ここミザノ・ワールドサーキット・マルコ・シモンチェッリからすぐ、クルマで20分くらいのところで、カットリアとかペザーロって場所、坂田和人さんも現役のころお住まいになってたはず。一度ミサノに行ったことあるんですが、GP期間になると、街じゅうにロッシの黄色い旗が飾られていて、あぁ地元のヒーローってこういうことを言うんだなぁ、って圧倒された覚えがあります。
とにかくフォルツァ・バレンティーノ!一色のミサノですが、決勝レース途中までは、まさにその通りのレース展開だったんです。スタートで飛び出したのはロレンソで、徐々に2番手以下を引き離す……のがロレンソの必勝パターンなんだけど、引き離せない! すぐにロレンソをかわしたのはロッシで、レース中盤は完全にロッシの優勝パターンな感じでした。
それでも、ロッシもなかなか後方を引き離せないで、2番手集団からロッシに迫りきたのはなんとペドロサでした! ペドロサは、スタート後からずっと先頭集団の後方につけて、マルケスをパスしたと思ったら、ロレンソを抜いて、みるみるロッシの背後へ。そして、しばらくロッシをつつきまわしたと思ったら、なんとロッシまでをもスパッと抜き去って、そのまま追撃を許さず、今シーズン初優勝を達成してしまいました。
ペドロサとHRCのみなさんには申し訳ないけど、これは本当にノーマークでした。だってペドロサ、ここまで2回表彰台に上がっているけれど、ロレンソ、ロッシ、マルケスの誰かがミスしたときに3位になるのが精一杯、というレースが多かったんです。4位5位なんてレースが多かったけれど、前戦イギリスはロッシ、マルケスに続いての5位。しかし、好不調の波も激しく、なかなか優勝候補に上げるには至ってなかった、のが正直なところだったんです。
そしてミザノでも、予選は8番手、決勝日朝のウォームアップは12番手と、ここには張れないよね。スタート前にオッ、と思ったのはタイヤ選択で、ほとんどのライダーが前後にミディアムを履いている中、ビニャーレスがフロントにハードを、そしてペドロサはフロントにソフトを履いていたんです。気温が上がり、路面温度も50℃に迫る中、あぁペドロサはタイヤギャンブルしくじったか……と思たんですが、さにあらず、でしたね。普通はソフトタイヤを履いた時には、序盤に飛ばして終盤はガマン、って展開が多いんですが、タイヤってホントにわからない(笑)。灼熱のコンディションでソフトタイヤの方が最後まで機能する、ってレースもあったりしますからね。
8人目のウィナーは「シーズン1回くらいは勝つ記録」wを更新
ペドロサにかわされたものの、レースの大半をリードして観客を熱狂させたロッシが2着、序盤に逃げ切れなかったロレンソが3着に入り、マルケスはちょっとらしさがなかったかな、の4着。これでマルケスは、イギリス-サンマリノと、2レース連続して表彰台を外しました。うむむ、珍しい。
これで、今シーズン8人目のウィナーが誕生しました! 考えてみたら、ペドロサの優勝は、あのロッシvsマルケスのゴタゴタが話題をさらった「2015セパンの変」以来で、そういえば去年もアラゴンでロッシと大バトルしながら打ち負かして、続く日本GP、マレーシアGPを連勝したんですよね。シーズンインしてこのあたりにならないと本調子にならないのかな、ペドロサ。ともあれ、ペドロサの個人記録としても、「最低シーズン1回は勝つ」連続記録が、11年連続まで伸びましたね。
これでチャンピオンシップは、ロッシもロレンソもマルケスに先行したため、ポイント差は縮み、ロッシはマルケスへの差をさらに7p縮めることに成功しました。
①マルケス 210→223P
②ロッシ 160→180P -43p
③ロレンソ 146→162P -61p
④ペドロサ 120→145P -78p
⑤ビニャーレス 125→136P -87p
これで残るGPは、アラゴン-日本-オーストラリア-マレーシア-バレンシアの5戦。ロッシがマルケスまでの43pを縮めるためには1レースにつき9pずつ、ロレンソが61p差を縮めるためには12pずつ縮めなきゃならない。残り5レースで43pかぁ……届かなそうで、アクシデントひとつで届いちゃうポイント差になってきたかな……、というサンマリノGPとなりました。
次のレースは1週インターバルを置いてのアラゴンです。その次がもてぎね!