その地位を固めたD型 ZZR1100 [D]
ライバルメーカーが懸命に開発を進める中、93年には高速ツアラーとして独り勝ちを続けるZZR1100が、その地位をさらに固めるべくモデルチェンジ。パワースペックは変わらないが、エンジン内部構成パーツが全面的に見直された。新型フレームの採用をはじめとしてシャシー関係も刷新し、圧倒的な加速と高速性能をそのままにより扱いやすさを高めた。象徴的なラムエアシステムも吸気ダクトをツイン化したD型にモデルチェンジはユーザー層をさらに拡大する。95年のD3型で騒音対策やサスセッティングの変更、シフト機構の改良、デジタル時計の装備など、熟成が進められた。96年にホンダからCBR1100XXスーパーブラックバードが、99年にスズキからGSX1300Rハヤブサが登場するまでの間、まさに敵なし状態で、ZZR1100は長きに渡って『世界最速マシン』の座を欲しいままにしていたのだ。
さらに、ZZR1100の大ヒットを受けて、カワサキはZZRをシリーズで展開していった。まずは90年3月、当時国内のメインマーケットだったミドルクラスにZZR400とZZR250を投入する。400はGPZ400Rベースのアルミクロスフレームに、同時期に発売されていたレーサーレプリカ、ZXR400とはボア╳ストローク比の異なる、専用設計の水冷4気筒エンジンを、一方の250は専用のツインスパーフレームにGPX250Rベースのツインエンジンを搭載。ともにウインカー部分をスポイラー風にデザインした、シリーズ共通のスタイルでまとめられたモデル。
いずれも1100と違って動力性能はフツーだったけど、フルカウルフォルムにアップライトなライディングポジションを組み合わせた、今のニンジャシリーズにも通じるスポーツツアラーとして人気を集めた。
その3の「D型の系譜」に続く。
オートバイ&RIDE 2016年8月号